9 へんか
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「ねね、志保!一緒にコスメショップ行こうよ!」
「普段使ってるやつ教えて欲しい」
「いいけど、それより2人に合ったもの選んでもいいかしら」
「是非!!」
紗奈と声を合わせて答えれば、嬉しそうに志保が笑う。それが嬉しくて、私たちも笑顔になる。
「ああやって見ると、宮野も普通の女の子やな」
「ああ。とても悪の組織を裏切った凄腕科学者には見えねぇな」
「あれを素でやっとんやから、ほんま凄いわ。見るからに気遣われてとかやったら、宮野嫌がるやろし」
「…なぁ、お前らほんとは昨日なんかあったんじゃねぇの」
「は?なんかて何や」
「進展がだよ。野々村がお前を見る目、ちょっと変わったように見えたけど」
「はん。その手にはのらへんで。ほれ、さっさと飯行くで」
「あ、おい!…マジで言ってんだけどなぁ」
放課後は志保と紗奈とコスメショップに行く約束をしたし、苦手な講義も珍しく眠くならなかった。今日はとてもいい日だ。
「うげ!今日の日替わり魚かよ」
「好き嫌いは大きくなれないぞ黒羽」
「ガキじゃねぇっての。俺A定食」
「ほな俺は日替わりにしよ」
「服部って魚好きなの?」
「ん?いや特別好きなわけちゃうけど、旬のもんは食いたなるかな」
「なるほど。じゃあ私もそれにしよっかな。志保は?」
「梅と野菜の和風パスタ」
「あ、美味しそ〜」
食堂の発券機でそれぞれ好きなものを頼んでおばちゃんに渡して行く。受け取った料理と一緒にテーブルへ。
「志保、真ん中ね」
「はいはい」
「野菜沢山食べるのもやっぱ美の秘訣?」
「秘訣ってほどじゃないけど、とるようにはしてるわ」
「意識高ぁ」
「見習えよお前ら」
「明日から本気出す」
「善処します」
「どっちもやらんやつやんけ」
相変わらず食べるのが早い服部が一番に食べ終わって、黒羽、紗奈、志保の順でお皿が空になる。
「あ、工藤くんから電話。ちょっと出てくるから」
「はーい」
「お皿と荷物は任せとけい」
「ありがとう。頼むわ」
「…あの宮野が自分の荷物託しよったで」
「一大事だなこれは」
「おーい、黒羽!さっき教授が呼んでたぜ」
「げ。まじで?サンキュー!てことで、お先」
「お皿下げて行きな」
「わかってるよ!」
ちらっと服部を見れば、やっぱりスマホも何も見てなくて目が合う。
「なんや。腹いっぱいなんか?」
「ううん。そうじゃないけど」
「あ、服部。今いいか?ちょっと相談あるんだけど」
「すまん。急ぎやないなら後でもええか?声かけるわ」
「おー、わかった。じゃあ後で」
「…いいの?」
「ん?ああ、急ぎやないみたいやし、かまへん」
「私はいつもの如く昼寝するので、もう行く」
「あ、うん。後でね紗奈」
いつものように、服部と2人になる。今まで食後はゆっくりしたい派なのかな、特に優先することがないのかな、とか思ってたけど。
「いつも私の為に、わざわざ時間作ってくれてるんだね」
「なんや、今更気付いたんかいな」
「今更気付きました。ありがとう。ね、服部もなんかあったら言ってね!私に出来ることなら何でもするから!」
「せやな。とりあえず止まっとる手動かして飯食え。間に合わんぞ」
「いえっさー!」
黙々とご飯を食べる私を、やっぱり優しい目で見てる服部。今までも、こんな風な顔をしてたんだろうか。
(気にしたことなかったな…)
「今日のデザートはなんなん?」
「今日はね、プチシュー!1個食べる?」
「デザートわけてくれるとか珍しいやんけ」
「いっぱいあるし、服部にならあげる」
「…おおきに。貰うわ」
「うん。生地固めで美味しいでしょ」
「甘すぎやな」
「もー。それがいいのに」
いつも通りだけど、いつもと少し違う昼下がり。何度も食べたことあるシュークリームだけど、なんだか今日はいつもより甘い気がした。
へんか