9 へんか
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「あ、服部!よかった!熱ぶり返さなかったんだね!」
「おう。見ての通りピンピンしとんで」
いつも通り元気な服部の姿に嬉しくなる。紗奈の横に座りながら、みんなの顔を見渡す。
「みんなもおはよ!」
「はよ。朝から元気だな」
「とゆうか、なんだかご機嫌ね?」
「いい事あったのか?」
「わかった。今日の占い1位だったんだ」
「占いは10位だった。でも、今日も変わらずみんなが居てくれるから私は幸せなのです」
「え、恥ず。なんだよ急に」
「あら。当たり前の日常の有難みがわかるのって、素晴らしい事じゃない。ねぇ?工藤くん」
「そうだな。俺も今日もおめーらが元気で嬉しいよ」
「おいおい、工藤までなんなんだよ」
どうやらこの空気が恥ずかしいらしい黒羽。紗奈と目が合って、からかってやろうと意思疎通する。
「はい。私も大好きなみんなと一緒にいれてとっても嬉しい」
「めちゃくちゃ真顔で何言ってんだ堤」
「薄情な奴やなー。お前はなんとも思わへんのか?黒羽」
「服部〜。お前だってなんも言ってねぇだろうが!」
「俺はいっつも感謝してんで?みんなでおれるこの時間に」
「そんなの…俺だって、感謝してるっての」
「もう一声!!」
「野々村〜。からかってやろうって顔に書いてあんぞ」
和やかな雰囲気を遮るように、工藤のスマホが鳴った。彼は画面を見ると真剣な面持ちになって席を立つ。
「珍しな。あいつがマナーにしてへんなんて」
「朝から誰かからの電話を待ってたみたいだから、緊急かもね」
「浮気なんじゃねぇの?」
「あら。私とやり合う気?」
「すみませんでした」
「志保に挑もうなんて100年早いよ黒羽」
「うるせぇ。お前に言われたかねぇよ」
「あ、工藤からメッセージきた」
紗奈に言われてスマホを見れば、グループトークに工藤からメッセージが入っていた。早退すると。
「こら事件やな」
「お前は行かなくていいのか?服部」
「なんも聞いてへんし、あの感じやと毛利の姉ちゃん絡みやろうから俺はええわ。手伝って欲しいことあったら連絡くるやろし」
「ふーん。毛利の…って、元カノじゃねぇか!いいのかよ?!」
「アホ。声でかいねん」
「あ、悪い。宮野」
「お気づかいなく」
どうやら工藤は元カノに呼び出されたらしい。工藤と黒羽が気まずそうにしている。私と紗奈は顔を見合わせて立ち上がる。
「じゃあ今日は志保独り占めし放題って事だね!やった!」
「志保、私達の間に座って」
「…ええ。ありがとう」
「お礼を言うのはこっちだよ〜。いつも工藤ばっか隣でずるいと思ってたんだよね!」
「それな。志保の定位置は俺の隣ですが?って顔してるもんね」
「ふふ。そんな顔してる?」
「してるよ!こうゆう顔」
「え、意外と似てるんだが」
「似てないわよ。もう、バカね」
クスクスと笑う志保。美人の笑顔の破壊力ってすごいな、なんて思ってると斜め後ろの服部と目が合う。
(…なんか、めっちゃ優しい目してる。てゆうか、あれ?ハットリってあんなかっこよかったっけ)
「なんやじっと見て。腹でも減ったんか」
「…腹、減ってる!」
「言われて気付いた、みたいな顔しとるやんけ。ほれ」
「ありがとう!わーい。このグミ好き」
「服部くん、俺もお腹空いた〜」
「知るか。空気でも食うとけ」
「扱いの差!!」
「私のグミはあげないからね」
「いらねぇよ。この鈍ちん」
服部からもらったグミをひと粒口に入れる。そういえばいつも彼は私の好きな物をくれる。ドラえもんみたいに。
(それって、いつも私の為に買ってくれてるって事だよね?やっぱり優しい)
「美衣、そのピンキーリング、レトロで可愛いわね。どこで買ったの?」
「可愛いでしょ!これね、昨日服部にもらったの!」
「ほほう。やるな、服部」
「ちゃう。俺が買ったチョコエッグの中から出てきた指輪や」
「あらそう。ピンキーリング送るなんてなかなかロマンチストだと思ったのに。違ったのね」
「やかましわ」
「だから特に反応しなかったのか。新しいのに服部がなんも言わねぇの珍しいと思ってたんだよ」
「ネイルの違いがわからへん男でもさすがに指輪は気付くんやな」
後ろで服部と黒羽が何やらバチバチやってるけど、教授が入ってきたのが見えて気にせず前を向いた。