7 りゆう
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「え?風邪?」
「ああ。熱が結構高いみたいで今日は休むってよ」
服部が熱を出すなんて珍しい。そう思いながら、紗奈の隣の席に座る。
「そっか。心配だね」
「まぁ、薬とか常備してないような奴じゃないし、本当にやばかったら連絡してくるだろうし」
「元気づけてやろうぜ。ほら、野々村。ポーズ」
「いえーい」
言われるままに両手でピースすると、黒羽が写真を撮る。それをグループトークへ送った。
「いやそこは個人に送れよ」
「野々村も反応見れた方が楽しいだろ?」
「反応してくれるかが怪しいけども」
「元気だして♡って送っとこ」
「紗奈ってば悪ノリして〜。これ無視されたら私だけダメージじゃん」
「あら。服部くんにかぎって無視はないわよ。相手があなたなら尚更」
「え?なんで?」
「なんでって…おめー、本当鈍いよな」
「お、返事きたぞ。やかましいだってさ」
「元気そうね」
服部はちゃんとしてるし薬や食べ物は心配ないだろうけど、体調悪い時って心細くなるもんだ。そう思って服部に個別メッセージを送る。
ー寂しい時は話し相手になるよ!
余計なお世話だって言われそうだけど。なんて思ってると、返事が届く。
ーおおきに。頼むわ
(え…えー!意外!やっぱり服部も弱ってると寂しいんだ!まかせて!って送っとこ!)
普段頼られることなんてないから嬉しくて。講義中も休み時間もチラチラとスマホを気にしていたけど。
「全く送ってこないじゃん!?」
「うわ、びっくりした!なんだよ急に」
「あ、ごめん黒羽。や、服部から全然メッセージこなくて」
「服部?そりゃ寝てんだろ。熱あるんなら」
「そ、そっか!寝るよねそりゃ!って、あれ?工藤と志保と紗奈は?」
「みんなとっくに食べ終わってどっか行ったよ」
「えー!全然気付かなかった!」
「スマホばっか気にしてるからだろ。感謝しろよー。お前が1人になるから俺が仕方なく残ってやってんだから」
「…服部はそんなこと言わずに待ってくれるのに」
「俺は服部じゃねぇからな。残して行ってもいいんだぞ」
「嘘です。ありがとうございます黒羽くん」
スマホを見ながら私が食べ終わるのを待ってる黒羽。そういえば、服部はいつも何もせず待ってくれてるなと思う。
「ご馳走様でした」
「お、食い終わったか?んじゃさっさと片付けて行こうぜ」
「え。待って黒羽。デザート食べたい」
「はぁ?デザート?」
「甘いもの食べないと口が終わらない」
「なんだそれ。でも悪い、野々村。俺この後ちょっと約束あってよ」
「え、そうなの?いいよ、行って。待っててくれてありがとね」
「悪いな。また後で」
急ぎ足で食堂を出ていく黒羽に手を振る。約束あるのに待たせてしまって悪いことしたな、と思いながらプリンの蓋をあけた。
「あれ。野々村、1人?珍しい」
「うん。みんなどっか行っちゃった」
「ふーん。今度また飲みにでも行こうや」
「行く気ないくせに」
「あるっつーの。じゃあな」
「お前、あの子と仲良かったん?いつも工藤達といる子だろ」
「ああ、元カノ。高校一緒でさ。バカだし幼稚すぎてすげぇ疲れるからすぐ別れたけど」
「おい聞こえるって」
ゲラゲラ笑いながら去っていく男達。元カノなんて、よく言う。私は付き合ってるつもりなんてこれっぽっちもなかったのに。
(みんながいる時は話しかけてなんてこないくせに。ふんだ。タンスの角に小指ぶつけてしまえ)
でも、バカだし幼稚すぎて疲れるってのは、あの男の言う通りなんだと思う。工藤達にもよく鈍いって言われるし。
(…ご飯1人で食べたくないから待ってて欲しいとか、そうゆうとこが幼稚って言われるんだろうな)
自分でも、単純だなって思うとこは沢山ある。志保みたいに賢くないし、紗奈みたいに芯がしっかりしてる訳でもない。
(あー、なんか…久しぶりにメンタル落ち込む)
せっかくのデザートもちっとも美味しくない。なんて思ってると、スマホにメッセージが届いた。
ー飯食った?
なんてことない普通の言葉。だけどなんだか泣きそうだ。ぐっと唇を噛んで返事を送る。
ー食べたよ!服部は?
ー今から。講義遅れんと行きや
離れてても面倒見いい。落ち込んでた気持ちが少し浮上したのがわかる。OKのスタンプを送って、残りのプリンを口に流し込んだ。