4 とれーどまーく
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ちゃんとデートだと思わせる為に、服装も抜かりなく。志保のアドバイス通り、お気に入りのワンピースを着てメイクもちゃんとして、髪も巻いた。
(完璧!必ずミッションを成功させてみせる!)
そう意気込んで向かった待ち合わせ場所。早めに来たつもりだったのに、そこには既に服部がいた。
「ねぇ、ちょっと!あそこにいるのって大学生探偵の服部平次じゃない?!」
「うそ!私ファンなんだよね!写真撮ってほしー!」
声をかけようとして、隣にいた2人組みの女の子がそう話してたのが聞こえて思わず言葉を飲み込む。
(そっか。服部って有名人なんだ…)
さっきの女の子達と話してる服部は、なんだか知らない人みたいだ。そう思ってると、彼がこちらを向いて目が合う。
(あ、目合った。こっち来る…)
「何してん。来たんなら声かけろや」
「あ、ごめん。あの子達、服部のファンみたいだったから邪魔しちゃ悪いかなって」
「はぁ?なんやそれ。アホらし。俺が約束しとんのはお前なんやから変な気使わんでええねん」
「…うん、そうだね!今度からそうする!」
話したらちゃんと、私の知ってる服部で安心した。足取り軽く、映画館に向けて歩き出す。
「にしても、私今日結構お洒落してきたつもりなのになぁ。すぐわかった?」
「当たり前やろ」
「さすが探偵だ」
「別に探偵は関係あらへん。それに…」
「それに?」
「か…、可愛ええで」
「…そんな照れるなら言わなきゃいいのに」
「やかましわ!!素直に喜べどアホ!」
「あはは。うん、ありがとう!嬉しい!」
頬を赤くして視線を逸らしながら可愛いと褒めてくれた服部。あんな照れてるところ、初めて見た。
(恥ずかしくてもちゃんと褒めてくれるんだ。服部ってやっぱり優しいな〜)
「そういや映画何見るん?」
「迷探偵五郎!」
「はあ?!それあれやろ。毛利のおっさんをモデルにしたへっぽこ探偵が何故か事件を解決していくっちゅうクソみたいなストーリーの」
「あれ。嫌だった?推理ものだから服部好きかと思ったんだけど」
「…まぁええわ。見る前から決めつけるんもあれやしな」
「やっぱり毛利小五郎とも知り合いなんだね」
「まぁな。昔はよう事件現場でも会うてたし」
毛利小五郎は数々の難事件を解決し、誰もが知る名探偵。数年前の大きなテロ事件の解決にも貢献したらしい。
「最近はあんまり名前見ないけど、もしかして引退したの?」
「いや、まだ現役や。けど前ほど大々的には活動してへんな。一人娘がひとり暮らし始めたんを機に、奥さんとも別居解消して一緒に住んどるらしいで」
「めっちゃ詳しいじゃん」
「ほ、ほら、工藤がその一人娘と幼馴染やさかい。それでよう話聞くねん」
「へぇ。知らなかった」
「ちゅうか、元々探偵なんてそんなメディアに出るようなもんちゃうしな。顔割れとるのが不利になる事のが多いし」
「確かに!え、じゃあ毛利小五郎ってめちゃくちゃ凄い人?」
「まぁある意味な」
そんな話をしながら映画館へ。チケットを買って売店でポップコーンとジュースを頼む。
「映画といえばポップコーンだよね!服部は食べないの?」
「俺はええ。それより、ここ段差あんで」
「はーい。今更だけど、席1番後ろでよかった?」
「見れればどこでもええわ。ブランケットいるか?」
「うん。借りる」
「どっかに黒羽達もおったりしてな」
「あはは。確かに!でも紗奈、ヒーローアニメ見たいって言ってた」
「あー、好きそうやな。ド派手なやつ」
照明が落ちて、映画が始まる。推理ものだからって油断してたらめちゃくちゃ感動的で、ボロ泣きした。
「うう…吾郎…!なんて良い奴…!」
「マジ泣きやんけ」
「服部は?やっぱ面白くなかった?」
「いや、思ったよりおもろかったで。 毛利のおっさんのポンコツっぷりがリアルでな」
「そこがまた可愛かった!助手との掛け合いも面白かったし!」
「可愛いやと?あのポンコツが?女っちゅうんはようわからんな」
服部がポップコーンとジュースのゴミをゴミ箱へ捨ててるのを見て、いつの間にと思う。どちらも私のだ。
「ありがとう。服部って気が利くね」
「普通やろ」
「は!ブランケットも気付いたらなくなってるし!すご!」
「なんも凄ないわ。もう昼やし飯行こうで」
「うん!行こう!」
「っと、その前にトイレ寄ってくか?あんだけ泣いたし鏡見たいんとちゃう?特に化粧崩れてはへんけど」
「…寄りたい。実は女装が趣味だったりする?」
「アホなこと言ってないでさっさと行ってこい」
さすが探偵って感じの気配りよう。目ざといとこに気が付くと感心しながら、トイレへ向かった。