3 さくせんかいぎ
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ープレゼント何貰ったら嬉しい?
突然届いた女友達からのメッセージ。この空きコマは確か女子会をするとかで近くのカフェに出掛けているはず。
「堤から急にプレゼント何貰ったら嬉しいかってメッセージきた」
「誕生日近いんか?」
「いや全く」
「今って確か志保と野々村とカフェに行ってるんだろ?声掛けてたの野々村だったし、なんか相談にのってんじゃねぇの」
「やろうな。宮野に色々指摘されて、突然のそのメッセージなんとちゃうか」
「野々村が誰かにプレゼント送ろうとしてるってことか?」
「あるいは、全く関係ないなんの脈絡もないただの疑問だろ」
「堤ならありえるで」
「はは。確かに」
あれこれ考えても仕方ない。素直に今自分が貰って嬉しいもの。すなわち欲しいものを写真付きで送った。
「案外、服部にだったりしてな?」
「なんで俺がプレゼント貰うねん」
「それは知らねぇけど、1番可能性あるだろ。俺らの中なら」
「俺らの中やないかもしれへんやろ」
「でもそれなら、わざわざ女子会開く必要ないんじゃねぇの?」
「そうゆうこと」
「やめぇ。変に期待させんなや」
仲間内の中では、1番仲がいいように見える。工藤は宮野と付き合ってるからそもそもないし、自分と服部を比べた時、仲の良さは彼の方が上だろう。
「お、またメッセージ…え」
「今度はなんて?」
「あー、いや、今週末一緒に映画行こって」
「へぇ。映画。…それ、デートのお誘いじゃねぇの?」
「いやいや、違うだろ。みんなでだって」
「アホ。みんなで行く気なら今一緒におる宮野達と約束すればええ話や。わざわざメッセージ送ってきたっちゅうことは、お前と2人で行きたいんやろ」
「服部の言う通りだぜ、黒羽」
「マジか。なんでそんな急に」
みんなで遊びに行くことは今までもあったし、バイトの行き帰りに2人になる時とかもあった。でも最初から2人で何処か行こうなんてのは、初めてだ。
「最近バイトもあって2人でおる時間増えたやろ。あっちにも何かしら変化があったんちゃう?」
「人の心なんていつどう変わるかわからねぇしな」
「落ち着け早まるな。どうせ対した理由なんかないに決まってる。あいつはそうゆう奴だ」
「おもんないのー。もっとドギマギせぇよ」
「ま、お前の言う通り別に特別な理由なんてないだろうよ」
「お前らなぁ…」
すっかり興味を無くした探偵達にため息をこぼしながら、OKのスタンプを送った。視界の端で、服部が電話に出てるのが見えた。
「もしもし」
「あ、服部?今どこ?」
「2階の空き教室やけど」
「わかった!そこにいてね!」
スピーカーになっていて、会話は俺と工藤にも聞こえた。相手は野々村で、居場所を聞くなり電話は切れた。
「なんや。もう帰って来たんか?」
「次の講義まであと20分くらいあるのにな」
「プレゼント貰えるんじゃねぇの?服部」
「お前がくれてええで、黒羽。新しいヘルメット欲しいねん」
「たのもー!」
「うわ?!ビビった!」
「野々村。道場破りの入り方やんけ」
足音が聞こえてきたと思ったら、勢いよくドアが開いて野々村が入ってくる。まっすぐに服部の元へ。
「服部、今週末空いてる?」
「え?まぁ、予定はあらへんけど」
「よかった!じゃあ私とデートしよ!」
「は…」
「なっ…」
「なんだってぇ?!」
「ちょっと。外野は黙ってなさいよ」
少し遅れて現れた宮野が鋭くこちらを睨んできて、慌てて口をふさぐ。服部は驚きのあまり思考停止してるようだ。
「あれ。おーい、服部?聞いてる?」
「あ…ああ、すまん。聞いとるで。メチルフェニデートがなんやって?」
「めち…?」
「なんだよ、メチルフェニデートって」
「精神刺激薬だよ」
「混乱してるわね、服部くん」
「美衣もポカーンってしちゃってる」
堤も加わって小声で2人のやり取りを見守る。完全に混乱してる服部。どんな難事件に遭遇しても、あんな顔はしないだろう。
「えっと、デート!映画見に行きたいの!服部と2人で!」
「お、おまっ…デートの意味わかっとるんか?!」
「え?!う、うん!仲良しな男女が2人で出かけることでしょ?!ウィキペティアに書いてあった!」
「なにちゃんと調べてんねん!」
「ご、ごめん?!あの…もしかして、嫌?」
「嫌なわけあるかい!槍が降っても行ったるわ!」
「槍が降ったら行っちゃ駄目だよ?!」
混乱しつつも約束は決まったようだ。野々村は堤とハイタッチを交わしてる。
「感謝してよね。デートのお誘いは直接言うべきだって助言してあげたの、私なんだから」
「宮野…おおきに」
「どういたしまして。ま、精々頑張って…なによ、工藤くん。ニヤニヤしちゃって」
「いや?友達思いだなって思って」
「…うるさいわね」
「照れんなよ。俺達もするか?映画デート」
「してあげてもいいけど?」
「可愛くねぇやつ」
さり気なくイチャついてる工藤達も、デートひとつでそんな嬉しそうにしてる服部も、正直羨ましかった。悔しいから絶対言ってやらないけど。
「黒羽」
「ん?なんだよ、堤」
「ごめん、私知らなくて。デートの誘いは直接言うのが礼儀だって」
「え?ああ、いや、別に…てことはお前、あの映画の誘い、デートのつもりだったのか?」
「うん」
「…ふーん」
「なに?」
「いや?お洒落して来いよ。デートなら」
自分でも、少し驚くくらいに気分が良くて。週末が楽しみだと思った。
さくせんかいぎ