1 いつめん
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「恋に落ちるって言うじゃん。あれってやっぱズドーン!みたいな感じなのかな」
いつも通りのメンバーで、いつも通り大学の食堂でランチを食べながら、ふと思ったままを口にする。
「まーたなんかアホなこと言い出したで」
「恋に落ちる効果音ってことか。小説とかでもよく書かれるもんな。恋に落ちる音がした、とかって。俺はどっちかって言うと静かなイメージだけど」
「でも他にも稲妻にうたれるとかって言うじゃん?派手めな音でしょ」
「いやいや、もっと洒落た音なんじゃね?鐘の音的なさ」
「あら。もしかしたら銃声かもよ?」
「おいおい…。おっかねー事言うなっての」
各々が意見をだす中、これまたいつも通り1番早くご飯を食べ終えて頬杖をついてる服部に視線を向ける。
「服部は?どんな音だと思う?」
「あれちゃう。黒板爪で引っ掻いた音」
「ねぇ最悪!思い出して鳥肌たった!」
「夢がねぇなぁ、服部は」
「ロマンチックじゃない男はモテないわよ」
「やかましわ。放っとけ」
「モテると言えば、志保ったらまた告白されてたでしょ」
「ええ。よく知ってるわね」
「相変わらずモテモテだな、宮野は。彼氏としてはどーよ?このモテっぷり。心配になんねぇの?」
黒羽がからかうように、工藤の肩に腕をのせる。特に気にした様子もなく顔色ひとつ変えずに彼は言う。
「別に?志保が美人なのは事実だし、いくらモテようが付き合ってんのは俺だしな」
「はい!惚気頂きましたー!」
「べ、別に惚気けてねぇっての!」
「志保は?工藤もモテるし心配になったりする?」
「いいえ?誰にも負ける気しないもの」
「かっ、かっこいー!!志保超イケメン!」
「負けてんで工藤」
「どんまい工藤」
「うるせぇ」
ぽんっと工藤の肩を叩く黒羽と服部。大学内でも有名なカップルなだけあってか、確かに2人には誰にも付け入る隙のない絆のようなものを感じる。
「あ、やべ。志保。そろそろ行かねぇと」
「そうね。行きましょ」
「お?なんだ?デートか?」
「違ぇよ。阿笠博士と約束があんだよ」
「出ました!親公認アピ!」
「だから違ぇっての!ったく。じゃあな!」
「また明日」
「おー。またな」
「ばいばーい」
食堂を出ていく工藤と志保に手を振る。並んで歩くその後ろ姿はとてもお似合いで、頬が緩む。
「いーよなぁ。俺も美人の彼女ほしいぜ」
「黒羽っていつも友達止まりだもんね」
「うるせぇ。堤だって同じのくせによぉ」
「私は本気出せば彼氏くらいすぐ出来る」
「どっから来るんだよその自信」
「紗奈も私も可愛いのに、なんで彼氏出来ないのかね」
「自分で言いおったぞこいつ」
「私は本気出してないだけだから」
「だからどっから来るんだよ、その自信は」
彼氏なんていなくても、毎日楽しいから別にいいんだけど。そう思いながら最後のひと口を口に運ぶ。
「相変わらず食うの遅ぇな、野々村」
「みんなが早いんだって」
「次の講義、場所離れてるし私もう行くわ」
「えー!行っちゃうの?」
「あ、んじゃ俺も」
「黒羽まで!」
「悪いな。レポートまだ終わってなくてさ」
「そんなぁ」
紗奈と黒羽が席を立って、食堂を出て行く。少し口をとがらせながら、ちらっと服部を見る。
「あのさ、服部」
「デザートやろ。早う食え」
「ありがとう!さすが名探偵!」
「こんなもん幼稚園児でもわかるっちゅうねん」
「見て見て!コンビニで見つけたの!チョコレートラテとトゥンカロン!」
「うげ…なんべん見てもお前のその甘いもんと甘いもんの組み合わせ、気色悪いわ」
「気色悪くないし!最高の組み合わせだし!」
「そらよかったなぁ」
興味なさげに頬杖ついてスマホを見てる服部。見慣れたその光景を前に、デザートを頬張る。
「ね、やっぱりシャラララーンみたいな音かな?」
「まだ続いとったんかい。その話」
「それともラブソングが流れたりして!それロマンチックじゃない?」
「ホンマに脳内お花畑やな。音なんてするかいな」
「えー。わかんないじゃん」
「恋なんて、気付いたら落ちとんねん」
「な、なるほど…!なんかそれっぽい!」
「そんなことより早う食え。遅刻すんで」
「わ、ほんとだ!時間やば!」
呆れ顔の服部に急かされながら、急いでトゥンカロンを口に放り込んだ。
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