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<さまさぶ> 君と明日も

左馬刻と付き合って1ヶ月経った。
正直横浜と池袋って遠いっちゃ遠いし行くのも面倒。なのに会ってしまう自分は馬鹿なんだろうなあと思う。
昨日の夜、左馬刻からメールが来た。
「明日横浜来い」
それだけだった。意味分からないんだけど。もうちょっと詳しい内容かけないわけ?
ちょっとムカムカしながら布団に入る。
明日の服、何にしよう。もう5月だし寒くはないよな。1番悩む季節だなあ、左馬刻は何着てくるんだろう。いや、アロハとかなのかな。年中アロハ着てそう、怖。そんな事を考えながら意識はどんどん眠りに近づく。
気付いた時にはアラームが6:20を伝えていた。
ふあ、とあくびをしながら携帯を見るとメールがもう一通。
「横浜に11:30、遅れそうなら連絡よこせ」
相変わらず短いメール、それが左馬刻なんだろうけど。遅れるわけないじゃん、そう思いながら今日の服を決める。ちょっとデート前の彼女みたい…自分で考えて照れてる自分が恥ずかしい。でもやっぱり付き合ってからメールとかたまにするぐらいだったし。久し振りだから緊張する。結局ラフな格好になったけど、まあいいだろう。池袋から横浜まで40分、イヤフォンをつけて最近ハマった曲を流す。
どこか見覚えのある横浜の街が見えると、緊張してきてしまう。
「(自分もそこまで緊張する事ないだろ、早く降りる準備しなきゃ)」
横浜に着き、メールを送る。
「横浜着いたけど」
数分経つとメールの返信が来る。
「はえーよ、20分前に着いたんだな。そっち向かってるから待ってろ」
ドキドキと心臓の音は早くなる。
ポン、と横から頭を撫でられる。
ふと横を見ると、左馬刻がいた。

「おはよ、左馬刻。」
「ん。」
小さい言葉を交わしながら、左馬刻の車に乗る。
この車はいつ乗っても緊張するなあ、そう思いながら左馬刻は車を走らせる。
「…お前ホットケーキ」
「え??」
「あーーー…その、ホットケーキ奢ってやる」
左馬刻は少し顔を赤くしながら笑った。
「…よくホットケーキ好きって分かったね」
「あー?お前が前ファストフードではホットケーキが1番好きって言ってたから…」
そんな不意に言った言葉まで覚えているのか。
思わずニヤニヤしてしまう。
「おい、見えてんぞニヤニヤすんな気持ち悪い」
「は?ニヤニヤしてないし」

いつのまにか目的地に着いたのか、左馬刻が車を止める。
バタン、と扉を閉めて店のドアを開ける。
「いらっしゃいませ。」
店員がテーブルにお冷やを出してメニューを提示してくれる。
そこには代表作と言っていいだろう。
「分厚いホットケーキ」と書いてあった。

「わあ…!美味しそう…」
「おーおー美味そうだな」
パラパラとメニューを軽く一通り見る。
「僕これがいい!」
「おーおー、これな」
僕はホットケーキセット、左馬刻はタルトセットを頼んだ。
ふんわり甘くていい匂いがする店内は落ち着くて雰囲気でとても居心地が良かった。
コトリ、と僕の元にオレンジティーが置かれる。左馬刻にはアイスカフェオレ。
ブラックコーヒーじゃないんだね、と左馬刻に言うと「今日はカフェオレの気分なんだよ」と言われた。意外にブラックコーヒーとか飲めないのかな。
そんな想像をしながらオレンジティーを飲んでいると
「お待たせしました」と店員がホットケーキとタルトのプレートを置く。
僕が頼んだホットケーキが分厚くて、とてもいい匂いがした。
ナイフで切って口に運ぶ。
ふんわりとした甘さと、香りが美味しくて思わず「ん〜〜」と声が出る。
「美味しいか?」
と僕に聞いた左馬刻はニコニコと笑っていて、いつもの怖い顔はなかった。
「ん、美味しい!ホットケーキあまくてふわふわしてて家では作れないふわふわなんだよね」
「よかったなあ、おまえがそんなに喜ぶとは思ってなかった」
美味そうに食べるよなあ、と左馬刻はチーズタルトを口に運ぶ。
「左馬刻も美味しい?」
「ん?ああ、美味いよこのタルト。」
食うか?と左馬刻がチースタルトを一口分切って僕の前に出す。
「あーんしろ、ほら」
特に恥ずかしい気持ちもなくそうゆう事をするんだから、僕は少し食べるのをためらってしまう。
「口をあーけーろー、じゃねーと俺が食っちまうぞ」
「ぅ、」
口を少し開けるとフォークが近づいてタルトが口の中に入る。
「……!美味しい…!」
「だろ〜?お前のも食わせろ〜」
口を開けて「早くしろ」とねだる左馬刻が可愛くて笑ってしまう。
「笑うんじゃねーよ」と少しムスっとしたが、ホットケーキを食べさせてあげると「んまいな〜!」と目を輝かせて僕を見つめた
「でしょ、僕これ好き!」

「有難うございました」
店を出ると、左馬刻は車をまた車を動かす。
時間は17時を回ったところか、少し薄暗くなる。
「あれ、海……」
「そ」
車を止めて、左馬刻が「来い」と言う。先に行った左馬刻の後を追うように僕もついていく。
階段を上った先には海全体が見える高台だった。
「わ……!綺麗…」
「……そうだな」
左馬刻は夕日が沈みかけているオレンジ色の空と海を眺めながらポツリと呟いた。
左馬刻に近づき、銀色の髪の毛を触る。
サラサラしていて、夕日に照らされた髪はキラキラと輝いていた。
「…んだよ、急に」
少し照れながらも、僕が満足するまで触らせてくれる。
僕が左馬刻の髪の毛から手を離すと、ギュッと腰に手を回される。
相変わらず大人っぽいムスクの香りとどこか甘いバニラの香り。
心地良くて、目を閉じる。
「お前と一緒にいると時間があっという間だな」
そう呟きながら、僕の髪の毛にキスをする。
おでこ、ほっぺた、くち。

「ん、」
「口開けろ」
「ぇ、ここで…?ん、ふぁ…」
ちゅぷ、と水音が漏れる。なんだか恥ずかしいのに嬉しくて、心が暖かくなる。
左馬刻の舌が僕の舌を絡ませて離れない、自分も左馬刻の舌を追いかけて離れないで、と必死に絡ませる。
「んっはぁふ、ぅん、…んっ」
「……はあ…」
口を離すと左馬刻は僕の口の端から溢れたものを拭き取って、また唇を合わせる。

「時間…あるか…?」
「無い」
「…そうか、じゃあ池袋まで送ってく」
「嘘、今日泊まるって言ったから……ね」
「……あんま舐めた事するとブチ犯すぞ」
「左馬刻も疲れて倒れないようにね」
首に腕を回して、啄ばむようにキスを何度もする。

夜は左馬刻のお家のベットでホットケーキよりも甘いえっちをした。

「今日は左馬刻甘々だね」
「あー?お前は俺のだし、甘やかしたいのは当然だろー?」
左馬刻は僕を抱きしめて眠りについた。
僕も甘い気持ちでいっぱいのまま、ムスクの香りに落ちて行った。
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