ベレニケと真珠星【スピカを置き去り スピンオフ】
「ここは……?」
「俺の実家の神社だよ」
知らなかった神代さんの実家が神社なんて。
「あそこで話聞くから、もう少し我慢して」
俺は何もない小屋みたいなところに連れられた。神代さんはお茶を出してくれた。俺はこの一連のことは何から何まで話した。儀式で使われた髪を燃やしてしまったから人魚様の怒りを買ってしまい呪われた、と。彼は黙って聞いていた。
「……事情は分かった。一つ質問いいか?」
「はい。なんでしょう」
「なぜ、岡田は『燃やした髪の持ち主である女の呪い』ではなくて、『人魚の呪い』だと思うんだ?」
なぜそんなことを聞くのだろうと、神代さんの意外な質問に驚いた。
「当り前じゃないですか、たとえあんな女の髪でも自分のものを燃やされたら怒るに決まっています。人魚様は自分の所有物を壊した俺に怒っているんです」
俺の言葉を聞いて神代さんは少し考え込んでしまった。何かおかしいことを言ってしまったのだろうか。
「……そうか、岡田はそう思うんだね。分かった。何とかしてみよう」
「えっ、本当ですか!」
「ああ。あともう一つ質問いいか?」
「はい」
「その長い自分の髪の毛に何か思い入れはあるか?」
「えっと、いや、別に?」
「そう、よかった」
神代さんそう言って立ち上がり俺の背後に座り、
シャキン
「……はっ?えっ?」、
俺の一つにくくっていた髪の毛を束ごと切った。
「うん。いい感じに切れた。ちょうど良かったよ、岡田の髪が長くて」
「なっ、なななななっな何を!?」
「岡田の考えが正しいと仮定すると、解決方法は一つ。もう一度その「人魚の儀式」を再現して、改めて人魚様に貢物を捧げることだよ。儀式には髪の毛が必要だろう?」
「確かに一理ありますが……」
人魚様の貢物を奪ってしまったのなら新たに髪を捧げればいい。再度「人魚の儀式」を行い、人魚様の怒りを鎮めてもらう。「人魚の儀式」には髪の毛が必要なのは知っている。だけど……。
「いきなりすぎます……。しかも俺は女ではありません」
「ははっ。ごめん、ごめん。確かに君の言う通り本当の儀式は女の髪を使う、でもたとえ疑似的でもやるこの儀式を価値はあると思う。それと後で髪は整えてあげる。俺は準備をしてくるから待ってて」
そう言って神代さんは奥に行ってしまった。まあ、髪は熱くなる前に切ろうかなと思っていたからよしとした。
しばらくすると、神代さんが戻ってきた。彼は女が着るよう白い着物を着ていて少し化粧をしていた。女より美しいじゃないないかと思う神代さんの姿に俺はどぎまぎした。
「じゃあ、始めるよ」
彼は手にしていた鈴をリーンと鳴らし、神楽舞のような踊りを踊り始めた。それはまるで天女が舞い降りたようだった。俺はその光景に目を奪われた。
「……きれいだ」
儀式はあっという間に終わり、神代さんに駆け寄った。
「神代さん!ありがとうございます。……それと舞すごくきれいでした」
「ははっ。ありがと。じゃあ最後の仕上げと行きますか」
「えっ」
これで終わりじゃないのか。
「おそらく俺の予想だと、最後にもう一度人魚様は岡田に会いに来る」
いやな予感がする。これはよくあるオカルトのパターンではないか。
「それってつまり……?」
「話が早くて助かるよ。この小屋で一晩待つんだ。決して声をかけられても返事したり、出て行ったりしてはいけないよ」
「俺の実家の神社だよ」
知らなかった神代さんの実家が神社なんて。
「あそこで話聞くから、もう少し我慢して」
俺は何もない小屋みたいなところに連れられた。神代さんはお茶を出してくれた。俺はこの一連のことは何から何まで話した。儀式で使われた髪を燃やしてしまったから人魚様の怒りを買ってしまい呪われた、と。彼は黙って聞いていた。
「……事情は分かった。一つ質問いいか?」
「はい。なんでしょう」
「なぜ、岡田は『燃やした髪の持ち主である女の呪い』ではなくて、『人魚の呪い』だと思うんだ?」
なぜそんなことを聞くのだろうと、神代さんの意外な質問に驚いた。
「当り前じゃないですか、たとえあんな女の髪でも自分のものを燃やされたら怒るに決まっています。人魚様は自分の所有物を壊した俺に怒っているんです」
俺の言葉を聞いて神代さんは少し考え込んでしまった。何かおかしいことを言ってしまったのだろうか。
「……そうか、岡田はそう思うんだね。分かった。何とかしてみよう」
「えっ、本当ですか!」
「ああ。あともう一つ質問いいか?」
「はい」
「その長い自分の髪の毛に何か思い入れはあるか?」
「えっと、いや、別に?」
「そう、よかった」
神代さんそう言って立ち上がり俺の背後に座り、
シャキン
「……はっ?えっ?」、
俺の一つにくくっていた髪の毛を束ごと切った。
「うん。いい感じに切れた。ちょうど良かったよ、岡田の髪が長くて」
「なっ、なななななっな何を!?」
「岡田の考えが正しいと仮定すると、解決方法は一つ。もう一度その「人魚の儀式」を再現して、改めて人魚様に貢物を捧げることだよ。儀式には髪の毛が必要だろう?」
「確かに一理ありますが……」
人魚様の貢物を奪ってしまったのなら新たに髪を捧げればいい。再度「人魚の儀式」を行い、人魚様の怒りを鎮めてもらう。「人魚の儀式」には髪の毛が必要なのは知っている。だけど……。
「いきなりすぎます……。しかも俺は女ではありません」
「ははっ。ごめん、ごめん。確かに君の言う通り本当の儀式は女の髪を使う、でもたとえ疑似的でもやるこの儀式を価値はあると思う。それと後で髪は整えてあげる。俺は準備をしてくるから待ってて」
そう言って神代さんは奥に行ってしまった。まあ、髪は熱くなる前に切ろうかなと思っていたからよしとした。
しばらくすると、神代さんが戻ってきた。彼は女が着るよう白い着物を着ていて少し化粧をしていた。女より美しいじゃないないかと思う神代さんの姿に俺はどぎまぎした。
「じゃあ、始めるよ」
彼は手にしていた鈴をリーンと鳴らし、神楽舞のような踊りを踊り始めた。それはまるで天女が舞い降りたようだった。俺はその光景に目を奪われた。
「……きれいだ」
儀式はあっという間に終わり、神代さんに駆け寄った。
「神代さん!ありがとうございます。……それと舞すごくきれいでした」
「ははっ。ありがと。じゃあ最後の仕上げと行きますか」
「えっ」
これで終わりじゃないのか。
「おそらく俺の予想だと、最後にもう一度人魚様は岡田に会いに来る」
いやな予感がする。これはよくあるオカルトのパターンではないか。
「それってつまり……?」
「話が早くて助かるよ。この小屋で一晩待つんだ。決して声をかけられても返事したり、出て行ったりしてはいけないよ」