ベレニケと真珠星【スピカを置き去り スピンオフ】
あるとき、俺は怪しげなオークションサイトで「人魚の儀式」に使われたという女の髪の毛を手に入れた。
そう、これは人魚の怒りを買い、恋人と一緒に村人に殺された女の髪の毛で、いわゆるいわくつきってやつだ。髪の毛は古い木の箱に入って送られてきた。長い髪はひものような物で束ねられていて、色あせた黒色とも茶色ともいえるなんとも形容し難い色をしていた。
実物に使われた髪の毛を手にして、伝説が身近にあることに興奮した。俺は胸を弾ませながら心霊現象が起きるか待っていたが、何日立ってもちっとも何も起こらなかった。
「偽物を掴まされたか……」
俺はため息をついた。そして、いつまでも気味の悪い髪の毛を手元に置いておくわけにもいかなかった。どうしたものかと考えていると、ふと喫煙者の友人が自分の部屋にライターを置き忘れたことを思い出した。
俺はちょうどいいと思い、友人のライターを拝借して髪の毛を燃やして処分した。
まるで畜生を焼き殺したような匂いが微かに部屋に残った。
俺が部屋の換気をしているとふと自分のスマホにメッセージが来ていることに気が付いた。
それはこのライターの持ち主からだった。
『今日全休だろ?昼から遊ばない?』
俺はこのメッセージの送り主に電話をした。ツーコール目でそいつは電話に出た。
「もしもし、黒斗くんメッセージ見てくれたみたいだね」
「まあな。別に今日は一日中暇だけど、遊ぶって何するんだ?」
「実は、今美術館でやってる企画展の券があるんだ。よかったら一緒にいかない?」
「美術展?」
「そう。内容は何百年前の人々の暮らしをテーマにしているんだけど。民俗学的な要素もある企画展なんだって。黒斗くんそういうの好きだろう?」
「……確かに、興味があるな」
「なら決まりだね。じゃあ2時に駅の西口の噴水前に待ち合わせでいい?」
「大丈夫だ」
俺は民俗学とか都市伝説とかオカルトチックなものに惹かれる質だ。友人の誘いにワクワクしながら出かける準備をした。
そう、これは人魚の怒りを買い、恋人と一緒に村人に殺された女の髪の毛で、いわゆるいわくつきってやつだ。髪の毛は古い木の箱に入って送られてきた。長い髪はひものような物で束ねられていて、色あせた黒色とも茶色ともいえるなんとも形容し難い色をしていた。
実物に使われた髪の毛を手にして、伝説が身近にあることに興奮した。俺は胸を弾ませながら心霊現象が起きるか待っていたが、何日立ってもちっとも何も起こらなかった。
「偽物を掴まされたか……」
俺はため息をついた。そして、いつまでも気味の悪い髪の毛を手元に置いておくわけにもいかなかった。どうしたものかと考えていると、ふと喫煙者の友人が自分の部屋にライターを置き忘れたことを思い出した。
俺はちょうどいいと思い、友人のライターを拝借して髪の毛を燃やして処分した。
まるで畜生を焼き殺したような匂いが微かに部屋に残った。
俺が部屋の換気をしているとふと自分のスマホにメッセージが来ていることに気が付いた。
それはこのライターの持ち主からだった。
『今日全休だろ?昼から遊ばない?』
俺はこのメッセージの送り主に電話をした。ツーコール目でそいつは電話に出た。
「もしもし、黒斗くんメッセージ見てくれたみたいだね」
「まあな。別に今日は一日中暇だけど、遊ぶって何するんだ?」
「実は、今美術館でやってる企画展の券があるんだ。よかったら一緒にいかない?」
「美術展?」
「そう。内容は何百年前の人々の暮らしをテーマにしているんだけど。民俗学的な要素もある企画展なんだって。黒斗くんそういうの好きだろう?」
「……確かに、興味があるな」
「なら決まりだね。じゃあ2時に駅の西口の噴水前に待ち合わせでいい?」
「大丈夫だ」
俺は民俗学とか都市伝説とかオカルトチックなものに惹かれる質だ。友人の誘いにワクワクしながら出かける準備をした。