このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

ベレニケと真珠星【スピカを置き去り スピンオフ】

それは、うんざりするような梅雨の日々の出来事だった。そのとき俺はある一つの伝承に振りまわされていた。それは、世界各地に散らばっている「人魚の呪い」というものだった。
「人魚の呪い」の概要はこういうものだ。

我が国のとある村では豊作の儀式として、村の信仰の対象である「人魚」に清らかな若い女の髪の毛を捧げる「人魚の儀式」というのがあった。

しかしある年、髪を捧げる一人が選ばれたが、その若い女は恋人がいた。そう、彼女は清い身体ではなかった。彼女はそれを村人たち黙ったまま人魚に髪を捧げた。清い身体の若い女の髪を使うという儀式の約束を破ったため、人魚の怒りを買ってしまった。
嵐によって村の田畑は荒れ、大凶作となった。村人は髪を捧げた若い女に詰め寄った。若い女は自分には恋人がいて清い身体ではないことを白状した。

村人は怒り狂い、若い女とその恋人である男を殺し、二人分の血肉を再び人魚に捧げた。しかし、人魚の怒りはおさまらず次の年も、また次の年も凶作は続いた。村人は人魚の怒りを鎮めるため髪だけではなく生贄を捧げるようになった。凶作や生贄による人口の現象によって、やがてその村は跡形もなく消えてしまった。

そして、いまだに「人魚の呪い」というもの消えておらず。
「人魚」は自らの怒りを鎮めるため生贄を探し求めている……。

と言うものだ。この話の面白いところは多少の違いはあるものの世界各地に似たような伝承があるという点だ。

ではなぜ、俺が「人魚の呪い」せいでとんでもないことになったか話していこう。
3/13ページ
スキ