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スピカを置き去り


 土曜日。バイト初日である今日。銀星は美術館の人に仕事内容の説明を聞いていた。
 企画展の内容は人類が0から歴史を数え始めて千年たった頃。この国から見て西の大陸の国々の庶民の暮らしをテーマにした絵画展だ。農民働く様子や神に祈っている様子など当時の生活を知ることができる企画展となっている。
 銀星はその企画展が終わるまでの1週間、閉館作業の手伝いと1、2時間の見回りを行う。閉館作業は職員と行い、その後は一人で見回りをして美術館の施錠をして帰る。施錠は職員用のドアのみで暗証番号で施錠するためカギをなくす心配はない。難しい作業内容ではなかったため銀星は胸を撫で下ろした。一通り説明を受けた後、初日ということで職員の人と2人で見回りを行い今日の業務は終了となった。
 次の日、銀星は初日に説明を受けた通り閉館作業手伝ったあと、館内の見回りをしていた。異常がないか見ていると同時に一枚一枚絵を見て回った。農作業をしている絵、宴をしている絵など様々な絵画があった。中には当時に描かれた宗教画も展示されていた。
「じっくり見てみると。なかなか面白いな」
 銀星の学部は理系なため、絵画などを学ぶ機会も少ない。また、今まで興味もわかなかった。改めてじっくり見てみると当時のことが手に取るように知ることができ、面白く感じた。
「来期の授業で絵画史でも取ってみようか」
と思うほどだった。
 一通り見回りを終えて異常がないか確認し、その日は何事もなくバイトは終わった。

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