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掌篇集

「まぁ、みんな一度はやるから、気にしないで」
「うえええ優しくしないでください好きになっちゃう〜」
「好きになってもいいけど私はラブラブなダーリンが居るのでごめんね?」
「うえええええ〜〜振られた〜〜〜〜」
 仕事でミスをして地の底まで落ち込んでいる後輩を誘い、休憩スペースの片隅でココアなどおごってやったのが今。
 後輩は休憩スペースのテーブルにほっぺたをつけ、ぐずぐずとぐずりながら器用にココアを啜っている。器用なやつである。
「優しくしてほしくないなら今後スパルタで行きますけどー?」
「あ、うそうそ嫌です優しくしてくださいでろっでろに甘やかしてください褒められて伸びる子なんで!」
 がばっと起き上がって、今度は子犬のようにきゃんきゃんと鳴いて主張してくる。
「仕方ないなー。じゃあとりあえず始末書の書き方から教えてやるかー」
「うああああ始末書書くんだああああ」
「安心しな、みんな山ほど書いてっから」
「それはそれでどうなんです?」
 ココアの缶を捨てながら、二人で執務室に戻る。
 何だかんだ立ち直りの早いやつである。
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