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掌篇集

 君が死んで、僕の世界から色は消えた。
 もちろん、比喩表現だ。僕の目に色は変わらず映っている。
 けれど、何も美しいとは思わない。思えない。
 君のために用意した宝石も、君の為に作らせた服も、僕が君のために選んだ美しい物たちみんな、君がいなくなったらガラクタも同然だ。
 色の褪せた世界で、僕はただ君を待つ。
「ちゃんと、お前のもとに帰ってきますから。待っていて」
 そう、約束したから。
 君が、生まれてくるのを待っている。
 君が、僕を見つけてくれるのを待っている。
 本当は、今すぐ君を探しに世界中を回りたいけれど、あのいけ好かない皇帝陛下を守ると約束してしまったし。君との約束を破ることなんて出来ないし。
 僕は、今日も君を待ち続ける。
 早く帰ってきて、僕の番。
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