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掌篇集

 恋をしている。
 あの、キラキラと煌く舞台に、恋をしている。
 スポットライトの当たるあの場所で、鮮やかな衣装を着て踊る自分に、恋をしている。
 焦がれて焦がれて、藻掻いて藻掻いて。
 なお、届かない、想い。
 不合格のオーディションの通知を握り潰して、今日もひたすらに踊る。
 諦めてなどやるものか。今は届かぬとも、絶対にあの場所に立ってやる。

 恋をしている。
 あの、キラキラと煌く舞台に恋をする彼女に、恋をしている。
 頑張って、と誰よりも応援する気持ちは本当なのに、彼女があの場所に行ってしまうことに怯えている。
 誰よりも光り輝く彼女を、私以外の誰かが見つけてしまう事に怯えている。
 彼女は私を振り返りはしない。
 あの煌めく舞台しか見ていないから。
 いつか、と。願うことすら出来ず、ただ彼女の背中を見つめている。
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