自由な空
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ワイルドエリア巨人の鏡池にて、キャンプをしていた時のこと。
「電話が来たロ〜!早く出たほうがいいロト!」
仕事用のスマホロトムが騒ぐ。
「ユウリ、悪い。仕事の電話。カレー任せてもいいか」
「はーい!」
お玉をユウリに渡し、スマホロトムのボタンを押す。
「こちらマソラ。どうした?」
「マソラさん!今ワイルドエリアに居ますか!?」
「居るよ。……もしかしてまた?」
「はい……、ワイルドエリアのげきりんの湖です」
「ウチにも行ける範囲がある、って明言してるはずなんだけどね。全く……」
「お任せしても良いですか?」
「他の社員に無理はさせたくないからね。こういう案件は全部俺に回して構わないよ。他の社員にも伝えといてくれる?」
「畏まりました。よろしくお願いします」
通話を切り、溜め息を吐く。
「ママ、また救助?」
「そう。まあ、すぐそこだし、いいけどな。ちょっと行ってくるわ」
「行ってらっしゃーい」
ゴーグルとマスクを付け、自分のポケモンであるアーマーガアのオニキスに乗り、目的地へ向かう。
「よりにもよって、吹雪か」
視界が遮られて、人を探すには最悪の天候。しかしワイルドエリアに慣れているマソラからしたら、なんの問題もない。
「オニキス」
向かって欲しい方の肩をトントンと叩く。アーマーガアはその指示通り方向転換しながら飛ぶ。
「いた」
テントが立っているのが見えた。そこに向かって降りていく。テントの外でポケモンと闘っている姿が見える。
「オブシディアン、頼むぞ」
ボールから出し、そのポケモンめがけてドリルくちばしを繰り出す。急所を狙ったため、驚いたそのポケモンは逃げ出した。そのタイミングでアーマーガアの背中から飛び降り、その場に降り立つ。
「こんにちは、空飛ぶタクシーです」
「あ、あ、貴方が!助けてくださったんですね!?ありがとうございます!」
「いえ。お怪我はありませんか?」
「……足を、捻ってしまって。本当はダメだって分かっていたのですが、パニックになっちゃって……こんなところまで来てもらってすいません……」
申し訳なさそうに言うトレーナーに、安心するようにゴーグルとマスクをとって笑いかける。
「構いませんよ。今後もご贔屓にしてくださればそれで。人助けも、私達の仕事のうちです」
傷薬を塗り、包帯で固定しておく。キャンプ道具を手馴れた動きで片付け、アーマーガアにタクシー用の装具を付ける。
「オブシディアン」
声をかけると少しだけ飛び上がる。人が乗りやすいようになったら、怪我をしたトレーナーをお姫様抱っこをしてそこに乗せる。落ちないようにしっかりベルトなどで固定する。
「気休めですが、これと、これ。寒いと思うので」
自分が着ていたジャケットと、予備の帽子とゴーグルを渡す。
「それじゃ貴方が!」
「平気です。慣れてるんで」
ニッと爽やかに笑い、自分のゴーグルとマスクをつける。
「それじゃ、行きますよ」
自分が乗ってきたアーマーガアのオニキスをボールにしまい、客を乗せたオブシディアンの背中に飛び乗る。そして、ポンポンと背中を叩き飛び立つ。向かうは近くにあるナックルシティ。5分から10分程で目的地に着く。流石に街のど真ん中のポケモンセンターに行く訳にも行かず、街ハズレのポケモンセンター近くで降ろす。
「よっと」
アーマーガアから飛び降り、荷物を抱えて再びお姫様抱っこをする。
「あ、あの!もう大丈夫ですよ!?」
「だめ。あんな寒いところにいたんだ、無理はしない方がいいですよ」
慌てる客を窘め、そのままポケモンセンターに入っていく。
「ジョーイさん、すいません。空飛ぶタクシーです。怪我人と傷ついたポケモンが居るんで、お願いしても良いですか?」
「もちろんです!いつもありがとうございます」
ジョーイさんは自分の手持ちであるエルレイドを出し、怪我人を受け取る。なので荷物を渡し、そのまま去ろうとした。
「あの!ありがとうございました!」
それに振り返ることなく、手を振り立ち去った。外で待っていたアーマーガアのオブシディアンの頭を撫で、タクシー用の装具を外し、片付ける。そして、背中に飛び乗り、再び飛び立つ。目的地は巨人の鏡池。キャンプしていた場所。
「ただいまー……」
「ママ!おかえり!カレー出来てるよ!ちょっと冷めちゃったけど……」
「大丈夫。もらっていいか?」
「うん!あ、オニキスとオブシディアンの分もちゃんとあるよ」
「サンキュー」
カレーを三人前よそう。マソラはオニキスを出し、椅子に座る。
「いただきます」
手を合わせたあと、口いっぱいに頬張る。
「あー、うまっ!ユウリ、隠し味入れた?」
「うん、チイラの実を入れてみたの」
「美味いよ、かなり!ユウリの方が、カレー作りの才能があるな」
近くにいたユウリの頭を撫でる。ユウリは嬉しそうに微笑む。
「ママがいろいろ教えてくれたからだよ」
「そうか?俺は少しだけコツを教えただけだし、あとはユウリの努力と才能だ」
「へへ、ありがとうママ」
カレーを綺麗に平らげ、ごちそうさま、と手を合わせる。片付けはユウリが自分の手持ちのキャモメとやってくれたため、マソラはテントの中で寝るための準備をする。自分の手持ちポケモンたちを全員出し、テントの外で自由にさせておき、寝袋と毛布を出しておく。片付けが終わったユウリが自分のポケモンたちも出してから、スマホロトムを持って中に入ってくる。
「ママー!また撮られてるよー!」
「えー?」
「コレ見て!」
Poketterを開き、とある呟きを見せる。
「なになに……?助けてくれたタクシーの人、凄くイケメンだった……ん??俺じゃないだろ、これ」
「無自覚……ママだよ、確実に!ほら!」
今度はその呟きに付け足すように付けられた写真を見せる。
「あー……これは俺だわ」
ポケモンセンターでお姫様抱っこをしているところ撮られたらしい。フライトキャップとゴーグルとマスクをつけ、ワイシャツにカーゴパンツにジョッキーブーツという格好は間違いようがない。
「もう!ママ、もう少し気をつけないと!」
「そうだなー、油断してたわ」
「あ、空飛ぶタクシーがトレンドになってる……」
反応がかなり多かったのか、トレンドに入ってる。私も助けてもらったことがある!とか、俺はバトル指導してもらった!とか。写真もかなり上げられている。
「ママ……お人好し」
「偶然通りかかっただけだよ、基本的にはな」
今回のように、呼ばれて行くこともあるが、基本的には通りがかった時に放っておけずに助けることがしばしばある。顔を見せることは滅多にないため、誰なのかは未だにバレずにいるのだが、関わりが深い人達にはバレバレだった。
「電話ロト〜!」
個人用のスマホロトムが騒ぐ。相手は分かっていた。
「……なあに?」
「なあに?じゃないだろ。マソラ、お前またやったな」
「あー、みたいだな?」
「はあ、バレたらどうするんだよ……」
「仕事だし、仕方ないだろ?」
「そうだけど。キバナとかダンデに場所特定されるぞ」
「それは……メンドクサイ。マクワ、何とかしてくれ」
「無理だよ。とりあえず、今のところはバレてはないと思うが」
「ならいいや」
マソラはゴロンと寝転がる。それにならってユウリも寝転がった。マクワとの会話は続く。
「マソラ、明日は帰ってくるだろ?」
「その予定ではある」
「明日、バトルに付き合ってくれ」
「いいよ。ネズも呼ぶ?」
「いいな、その方がいろいろ試せる」
「じゃあ連絡しとく」
「よろしく。昼食と夕食は用意するって言ってくれ」
「はいよ。じゃあまた明日」
「おう、おやすみ」
「おやすみ」
ぷちり、と電話を切る。ユウリの方を見ると、もう既にpokkeで連絡をしていた。
「マリィが、兄貴には伝えておく、お迎えよろしく、だって」
「わかった、ありがとうユウリ」
「いーえ!明日も早いし、寝よう!」
ぎゅっとマソラに抱きつく。
「そうだな、寝るか」
一枚の毛布を二人でかけて、目を閉じた。明日のことを楽しみにして。
空の救世主
(強くて、格好良い、名もなきヒーロー)
「電話が来たロ〜!早く出たほうがいいロト!」
仕事用のスマホロトムが騒ぐ。
「ユウリ、悪い。仕事の電話。カレー任せてもいいか」
「はーい!」
お玉をユウリに渡し、スマホロトムのボタンを押す。
「こちらマソラ。どうした?」
「マソラさん!今ワイルドエリアに居ますか!?」
「居るよ。……もしかしてまた?」
「はい……、ワイルドエリアのげきりんの湖です」
「ウチにも行ける範囲がある、って明言してるはずなんだけどね。全く……」
「お任せしても良いですか?」
「他の社員に無理はさせたくないからね。こういう案件は全部俺に回して構わないよ。他の社員にも伝えといてくれる?」
「畏まりました。よろしくお願いします」
通話を切り、溜め息を吐く。
「ママ、また救助?」
「そう。まあ、すぐそこだし、いいけどな。ちょっと行ってくるわ」
「行ってらっしゃーい」
ゴーグルとマスクを付け、自分のポケモンであるアーマーガアのオニキスに乗り、目的地へ向かう。
「よりにもよって、吹雪か」
視界が遮られて、人を探すには最悪の天候。しかしワイルドエリアに慣れているマソラからしたら、なんの問題もない。
「オニキス」
向かって欲しい方の肩をトントンと叩く。アーマーガアはその指示通り方向転換しながら飛ぶ。
「いた」
テントが立っているのが見えた。そこに向かって降りていく。テントの外でポケモンと闘っている姿が見える。
「オブシディアン、頼むぞ」
ボールから出し、そのポケモンめがけてドリルくちばしを繰り出す。急所を狙ったため、驚いたそのポケモンは逃げ出した。そのタイミングでアーマーガアの背中から飛び降り、その場に降り立つ。
「こんにちは、空飛ぶタクシーです」
「あ、あ、貴方が!助けてくださったんですね!?ありがとうございます!」
「いえ。お怪我はありませんか?」
「……足を、捻ってしまって。本当はダメだって分かっていたのですが、パニックになっちゃって……こんなところまで来てもらってすいません……」
申し訳なさそうに言うトレーナーに、安心するようにゴーグルとマスクをとって笑いかける。
「構いませんよ。今後もご贔屓にしてくださればそれで。人助けも、私達の仕事のうちです」
傷薬を塗り、包帯で固定しておく。キャンプ道具を手馴れた動きで片付け、アーマーガアにタクシー用の装具を付ける。
「オブシディアン」
声をかけると少しだけ飛び上がる。人が乗りやすいようになったら、怪我をしたトレーナーをお姫様抱っこをしてそこに乗せる。落ちないようにしっかりベルトなどで固定する。
「気休めですが、これと、これ。寒いと思うので」
自分が着ていたジャケットと、予備の帽子とゴーグルを渡す。
「それじゃ貴方が!」
「平気です。慣れてるんで」
ニッと爽やかに笑い、自分のゴーグルとマスクをつける。
「それじゃ、行きますよ」
自分が乗ってきたアーマーガアのオニキスをボールにしまい、客を乗せたオブシディアンの背中に飛び乗る。そして、ポンポンと背中を叩き飛び立つ。向かうは近くにあるナックルシティ。5分から10分程で目的地に着く。流石に街のど真ん中のポケモンセンターに行く訳にも行かず、街ハズレのポケモンセンター近くで降ろす。
「よっと」
アーマーガアから飛び降り、荷物を抱えて再びお姫様抱っこをする。
「あ、あの!もう大丈夫ですよ!?」
「だめ。あんな寒いところにいたんだ、無理はしない方がいいですよ」
慌てる客を窘め、そのままポケモンセンターに入っていく。
「ジョーイさん、すいません。空飛ぶタクシーです。怪我人と傷ついたポケモンが居るんで、お願いしても良いですか?」
「もちろんです!いつもありがとうございます」
ジョーイさんは自分の手持ちであるエルレイドを出し、怪我人を受け取る。なので荷物を渡し、そのまま去ろうとした。
「あの!ありがとうございました!」
それに振り返ることなく、手を振り立ち去った。外で待っていたアーマーガアのオブシディアンの頭を撫で、タクシー用の装具を外し、片付ける。そして、背中に飛び乗り、再び飛び立つ。目的地は巨人の鏡池。キャンプしていた場所。
「ただいまー……」
「ママ!おかえり!カレー出来てるよ!ちょっと冷めちゃったけど……」
「大丈夫。もらっていいか?」
「うん!あ、オニキスとオブシディアンの分もちゃんとあるよ」
「サンキュー」
カレーを三人前よそう。マソラはオニキスを出し、椅子に座る。
「いただきます」
手を合わせたあと、口いっぱいに頬張る。
「あー、うまっ!ユウリ、隠し味入れた?」
「うん、チイラの実を入れてみたの」
「美味いよ、かなり!ユウリの方が、カレー作りの才能があるな」
近くにいたユウリの頭を撫でる。ユウリは嬉しそうに微笑む。
「ママがいろいろ教えてくれたからだよ」
「そうか?俺は少しだけコツを教えただけだし、あとはユウリの努力と才能だ」
「へへ、ありがとうママ」
カレーを綺麗に平らげ、ごちそうさま、と手を合わせる。片付けはユウリが自分の手持ちのキャモメとやってくれたため、マソラはテントの中で寝るための準備をする。自分の手持ちポケモンたちを全員出し、テントの外で自由にさせておき、寝袋と毛布を出しておく。片付けが終わったユウリが自分のポケモンたちも出してから、スマホロトムを持って中に入ってくる。
「ママー!また撮られてるよー!」
「えー?」
「コレ見て!」
Poketterを開き、とある呟きを見せる。
「なになに……?助けてくれたタクシーの人、凄くイケメンだった……ん??俺じゃないだろ、これ」
「無自覚……ママだよ、確実に!ほら!」
今度はその呟きに付け足すように付けられた写真を見せる。
「あー……これは俺だわ」
ポケモンセンターでお姫様抱っこをしているところ撮られたらしい。フライトキャップとゴーグルとマスクをつけ、ワイシャツにカーゴパンツにジョッキーブーツという格好は間違いようがない。
「もう!ママ、もう少し気をつけないと!」
「そうだなー、油断してたわ」
「あ、空飛ぶタクシーがトレンドになってる……」
反応がかなり多かったのか、トレンドに入ってる。私も助けてもらったことがある!とか、俺はバトル指導してもらった!とか。写真もかなり上げられている。
「ママ……お人好し」
「偶然通りかかっただけだよ、基本的にはな」
今回のように、呼ばれて行くこともあるが、基本的には通りがかった時に放っておけずに助けることがしばしばある。顔を見せることは滅多にないため、誰なのかは未だにバレずにいるのだが、関わりが深い人達にはバレバレだった。
「電話ロト〜!」
個人用のスマホロトムが騒ぐ。相手は分かっていた。
「……なあに?」
「なあに?じゃないだろ。マソラ、お前またやったな」
「あー、みたいだな?」
「はあ、バレたらどうするんだよ……」
「仕事だし、仕方ないだろ?」
「そうだけど。キバナとかダンデに場所特定されるぞ」
「それは……メンドクサイ。マクワ、何とかしてくれ」
「無理だよ。とりあえず、今のところはバレてはないと思うが」
「ならいいや」
マソラはゴロンと寝転がる。それにならってユウリも寝転がった。マクワとの会話は続く。
「マソラ、明日は帰ってくるだろ?」
「その予定ではある」
「明日、バトルに付き合ってくれ」
「いいよ。ネズも呼ぶ?」
「いいな、その方がいろいろ試せる」
「じゃあ連絡しとく」
「よろしく。昼食と夕食は用意するって言ってくれ」
「はいよ。じゃあまた明日」
「おう、おやすみ」
「おやすみ」
ぷちり、と電話を切る。ユウリの方を見ると、もう既にpokkeで連絡をしていた。
「マリィが、兄貴には伝えておく、お迎えよろしく、だって」
「わかった、ありがとうユウリ」
「いーえ!明日も早いし、寝よう!」
ぎゅっとマソラに抱きつく。
「そうだな、寝るか」
一枚の毛布を二人でかけて、目を閉じた。明日のことを楽しみにして。
空の救世主
(強くて、格好良い、名もなきヒーロー)