君と共に歩む
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
朝、目を開けると、既にホップは居らず、そばで寝ていたのはメッソンと共に気持ちよさそうに寝ているヒバニーとサルノリだった。寝る時は居なかったのに、いつ来たのか不思議に思いながら起き上がる。時計を見ると短い針は九を指していた。少し寝すぎてしまったな、と思いながらも起き上がる。ベッドの近くには着替えが置いてある。恐らくミナトの母がもってきたのだろう。すぐに着替えて、そのあと、気持ちよさそうに寝ているポケモンたちに声をかける。
「ブルーネ、ヒイロ、ワカバ、朝だよ。そろそろ起きよう」
ヒバニーはピョンと元気良く飛び起き、にばっ!と挨拶をしたので、おはようと言って頭を撫でる。サルノリは目をパチパチさせながら、ゆっくりと動く。おはようと声を掛けると、小さくきー、と鳴く。メッソンは寝起きが悪いのかなかなか動かない。ミナトがそっと抱きかかえると、めしょおと鳴くが完全には覚醒していない。それを見て笑いながら、三匹を連れて一階に降りる。
「おはようございます」
ダイニングキッチンにいる母親とホップの母親に挨拶をする。
「おはよう、ミナトくん。ご飯食べる?」
「いただきます。すいません、お手伝い出来なくて」
「いいのよ~気にしなくて!ナツミさんも手伝ってくれたし、ホップがね、起こすなよ!って言ってミナトくんの分まで働いてくれたから」
「そうなんですか?」
「ホップくん、いつもミナトがぐっすり眠れてないのを知ってたから。だからね、ぐっすり寝てるから起きるまで起こしちゃダメ!って言ってくれたのよ」
「そうなんだ……ホップに、お礼言わなきゃ」
連れてきた三匹を下に降ろし、それぞれにご飯を与える。そのあとに、椅子に座って、いただきますをしてご飯を食べた。
「そういえば、ホップとダンデさんは?」
「外でポケモンたちを遊ばせてくるって言ってたわよ。ミナトくんも食べ終わったら、外に行ったらどう?」
「そうですね」
よく味わって食べ、ごちそうさまでしたと食器を片付けたあと、食べ終わった三匹を連れて外に出る。すると、自分の手持ちポケモンたちを出して遊ばせて、楽しそうに話し合っている二人を見つける。サルノリとヒバニーはそれぞれの主人の元へと駆け寄っていった。
「お、きたのかワカバ!」
「ヒイロ、よく眠れたかー?」
それぞれを抱え上げ挨拶を交わす。二匹は元気よく返事をしていた。二匹が来たことで、ミナトが来たことに気づいた二人が笑顔で迎え入れる。
「お!ミナト!ブルーネ!起きたんだなー!おはよう!」
「おはよう、ミナトくん!ブルーネ!」
「おはようございます」
メッソンもめしょーと挨拶を返す。
「ホップ、ありがとう。ゆっくり寝れたよ」
「いーえ!寝れる時に寝なきゃな!」
先程母親たちに聞いた事を元に、お礼を言う。ホップは気にすんな!と元気に笑う。
「さてと、ミナトくんと相棒たちが起きてきた事だし……な?ホップ」
「おう!ミナト、俺とポケモンバトルしよう!」
「え?」
どうやらホップとダンデは何かを話し合っていたらしい。ミナトに提案をしてきた。
「ミナトくんがポケモントレーナーに復帰した記念……というのかな。感覚を取り戻すという意味でも、ホップとバトルしてみたら楽しいんじゃないかと思ってね!」
「俺も、初めてのバトルはミナトがいいと思ってたんだ!……どうする?無理だったら、いいからな」
ミナトを気遣いながらも、前に進めるようにと引っ張り上げようとしてくれる二人に、感謝をする。ぎゅっとネックレスを握り、二人を強い瞳で見つめる。
「やるよ。俺には強い味方が、出来たから」
メッソンを抱え上げ、頭を撫でる。
「よし!じゃあ決定だな。二人の戦い、この俺が見届けよう!」
ダンデは自分の手持ちポケモンたちをしまい、バトルコートに二人を立たせる。
「いいか、ポケモントレーナー!自分とポケモンを信じろ!お互いを信じ合い、戦い続けて、いつかは……無敵のチャンピオンである俺のライバルとなれ!」
不敵に笑い、二人に投げかける。二人はそれに対し挑戦的な瞳で見つめ返す。
「必ず、そこまで行ってやる!待ってろよ兄貴!」
「……頑張ります」
「楽しみだ!まずは、お前達がポケモントレーナーとしてやっていけるのか確かめる!さあ、バトル開始だ!」
ダンデが開始の合図をする。
「兄貴の試合は全部見てる!兄貴が置いていった本や雑誌は全て読んだ!どうすれば勝てるか分かってる!ハク!行け!」
ホップはウールーを出した。
「ブルーネ、頼むよ」
ミナトは抱え上げていたメッソンを地面に置く。
「俺は二匹ポケモンがいる!ミナト!お前はどうやって戦う!?」
ミナトはいつもは見せない不敵な笑みを見せる。
「さて、それではバトルを始めよう!」
ダンデの掛け声でバトルを開始する。
「ハク!たいあたりだ!」
ウールーがメッソン目掛けて転がってくる。しかし、ホップの手が読めていたミナトはメッソンに指示をする。
「ブルーネ、なきごえ」
めしょお、と可愛く鳴く。少しだけ怯んだウールーの攻撃は、完全には当たらず、掠っただけだったため、大きなダメージは負っていない。
「はたく」
たいあたりで出来た隙を狙い、尻尾ではたく。偶然にも急所に当たったらしく、ウールーへのダメージが大きかった。
「ハク!頑張れ!もう一度たいあたりだ!」
しかしホップの声援もあり、立ち上がりもう一度たいあたりをしてくる。
「ブルーネ、今だ」
ミナトの言いたいことを汲み取り、向かってきたウールー目掛けて尻尾で思いっきり叩いた。今度こそ、ウールーは目を回し倒れた。
「くそっ、ミナト、やるな!でも俺にはまだもう1匹いるんだぜ!ヒイロ!いけっ!」
にばーッ!と勢い良く飛び出してくる。タイプ相性的にはメッソンのが上だ。しかし、油断は出来ない。
「様子見……かな。はたく、だ」
「ヒイロ、なきごえで怯ますんだ!」
それを読んでいたのか、先程ミナトがやった鳴き声で対応してくる。そのため、尻尾は上手くあたらない。
「いまだ!たいあたり!」
ヒバニーのたいあたりが、メッソンに思いっきり当たる。吹き飛ばされ、めしょお!と泣き始めた。隙ができた!と思ったホップはもう一度たいあたりを仕掛けた。しかし、ミナトに焦りはない。
「ブルーネ、みずてっぽう」
もう少しで当たる、というタイミングで繰り出したみずてっぽう。タイプ相性にプラスして、急所に当たり、ヒバニーは目を回し倒れた。
「ヒイロ!」
「勝負あり!勝者、ミナト!」
ダンデがヒバニーが倒れたのを見て、バトル終了を告げる。
「俺の、勝ちだよ」
ミナトは誇らしげに笑う。メッソンを抱え上げ、傷ついたところにキズぐすりを塗った。
「ブルーネ、よく頑張ったね。ありがとう」
額にキスをする。すると嬉しそうにめしょお!と返事をし、鼻の先にキスをした。
「くそーっ!負けた!強いな、ミナト!」
ヒバニーをげんきのかけらで復活させて、キズぐすりで完全回復させる。
「ありがとう。でも、ホップも凄かったよ。直ぐに戦術を学んで使ってくるなんて、びっくりしちゃった」
「使えるもんは使わないとな!バトルってそういうもんだろ?」
「たしかに、そうだね」
二人で握手を交わす。
「次は負けない!俺とコイツらはもっと強くなるぞ!」
「……俺も、負けないよ」
バトルがいい刺激になったのか、ホップとミナトは更に絆を深めた。ダンデはそれを満足そうに見て笑う。
「どちらのポケモンもナイスファイト、グッドファイト!とても熱くて素晴らしいバトルだった!思わずエンブ出して参加するところだったぜ!」
「兄貴にそう言ってもらえるなら、いいバトルだったんだな!」
「二人にポケモンを託して正解だった!二人がライバルとして切磋琢磨して、俺と同じステージ立つイメージが出来たぞ!」
ホップと肩を組み、とても嬉しそうに豪快に笑う。
「そうだ、兄貴!俺、もっともっと強くなりたい!ポケモンジムに挑ませてくれ!」
「ポケモンジム……ガラル最大イベント、ジムチャレンジ……」
「一年に一度、チャンピオンに挑むチャンスがある。それがジムチャレンジ、チャンピオンカップ!」
ホップが期待した目でダンデを見るが、うんとは言わなかった。
「……ふむ、もう少し二人が強くなったら考えよう!」
「えーっ!?なんでだよ!」
「まだまだお前たちはガラルではポケモントレーナーとして新米だからな。まだ早い!」
「むむむ……確かにそうだけど!」
兄として、そしてチャンピオンとしての判断。ミナトは仕方ないかな、なんて思っていたが、ホップは納得していなかった。しかし、ダンデが話を逸らしてジムチャレンジの話はそこで一度終わった。
「そういえば、ミナトくんはまだポケモン図鑑を持っていないよな?」
「はい、スマホロトムはあるんですが、まだインストールしてないです」
「それなら、ポケモン研究所に行ってすぐにインストールしてもらおう!ポケモンの強さや概要が乗っているから便利だぞ!しかし、ポケモン図鑑に詰まっているのはデータではなく、愛と情熱!ぜひ実感して欲しい!博士には俺から伝えておく!俺は先に向かっているから、後から二人で来るんだぞ!」
それを伝えて、ダンデは先にポケモン研究所に向かってしまった。
「兄貴、話逸らしたぞ!てか、一人で行ってたどり着けるのか!?」
「……うーん、多分大丈夫……と思いたいね」
「……まあいいや、俺達も行くか」
「そうだね、母さん達に声をかけてから行こうか」
ホップと共に家の中にいた二人の母親に出かけてくることを伝え、向かおうとする。しかし1番道路に出ようと思ったら、ガシャン!と音がする。ミナトの家の方からだ。
「……まさか、ウールーがアソコの柵、壊したんじゃ?」
「ヤバい!行くぞ!」
二人で走って向かうと、予想通り、まどろみの森への道を塞いでいた柵が開け放たれていた。
「ヤバいな……ウールーが危ない!だけど、ここは入っちゃいけないところだって兄貴達が言ってたんだよな……」
うむむ、と悩むホップの背中を押すように、ミナトはホップの手を握り引っ張る。
「行こう。ウールーを助けに」
「……そうだよな!ウールーを探しに行こう!」
いけないことでもやらなきゃいけないときはある。そうして二人はまどろみの森へと入っていった。
「ウールー、居ないな……」
「見つからないね……」
野生のポケモンたちを退けながら、二人で進んでいくが中々見つからない。結構奥まで来た。奥に行けば行くほど霧が濃くなっていく。すると、ワオーン、と何かの鳴き声が聞こえてくる。
「なんだ、いまの!?」
「なにかの鳴き声……みたいだね……」
「ヤバいぞ……ウールー、どこだ!?」
「ウールー……」
二人はウールーの為に奥へと進んでいく。お互いの姿がやっと見える位の霧の濃さになった。
「何だか嫌な感じの霧だな。入っちゃいけないのもわかるぞ……」
「こわい、ね」
その時、ミナトは不穏な気配を察知した。
「なにか……いる!」
二人で後ろを振り向くと、不思議なオーラを纏う二匹のポケモンが近づいてきた。
「なんだ……!?コイツら!」
先程聞こえた鳴き声と同じように二匹が鳴く。二人はとりあえず自分のポケモンを出し、立ち向かった。
「ブルーネ、はたく」
「ハク、たいあたりだ!」
お互い、目の前にいるポケモンに攻撃をする。しかし、当たったはずなのに当たらなかった。
「どういうことだ!?」
「分からない……とりあえず、いろいろ試すしかない」
不思議なオーラを纏う二匹のポケモンたちは、ただただ二人を見つめているだけだった。とりあえず持っている技を全て使ってみるが、どれも当たらず、そのポケモンたちの技なのか、霧も段々と濃くなってきて、何も見えなくなった。すると意識も持っていかれて、二人はその場に倒れた。
「う、ううん……」
しばらくして、ホップが目を覚まし辺りを見回すとミナトが倒れているのが目に入り、駆け寄る。
「おい!ミナト!しっかりしろ!」
「ん……あ、れ?ここ、は……」
「まどろみの森……だな。俺たち、しばらく気を失ってたみたいだ」
ミナトが目を覚ましたことにほっとしつつ、今の状況を整理する。
「ホップ!ミナト!」
そんな時、ダンデが慌てて走って二人の元に向かってきた。慌てていたからか、ミナトの事を呼び捨てにしている。
「兄貴?方向音痴なのに、よくここに来れたな」
ホップが呑気なことを言っているのに対し、ダンデは少し怒ったような口調で喋る。
「心配させておいて何を言っているんだ!いつまでたっても来ないから、迎えに来たんだぞ!」
「あ……もう、1時間近く経ってる……」
そこで気付いた。自分たちがかなり、心配をかけたことを。
「「ごめんなさい」」
「まあいい。無事でよかった」
素直に謝った二人に、思いっきり怒ることも出来ず、頭を優しく撫でた。
「!そうだ、ウールーは!?俺たち、ウールーを助けにきたんだよ!」
どうしよう、と二人が頭を抱えると、ダンデは後ろを振り向き、リザードンの方を見る。リザードンの傍には一匹のウールーが居た。
「無事だよ」
「よかった……」
「気絶していただけで、元気だ。お前らも大丈夫か?」
「はい、身体に異常はありません」
「元気だぞ!」
思ったよりも元気そうな二人に、ふう、と息を吐く。
「とりあえず、事情はわかった。黙って森に入ったのはアウトだが、お前たちの勇気は認める!よくやったぞ!」
ニッコリと笑ったダンデに、少し安心した。
「よかったな、ミナト!深い霧に包まれたり、不思議なポケモンと戦ったのも、無駄じゃなかったぞ!」
「……そうだね。いい、経験になった、かな?」
二人で笑い合っている後ろで、ダンデがそのポケモンに興味を持ったらしく詳しく聞いてくる。
「不思議な……?何を見たというんだ」
「すごい威厳があってさ、とんでもない存在感がなのに、技が効かなくて……、というか技がすり抜けていったみたいで」
「技がすり抜ける……?まどろみの森にいると言われるポケモンは幻なのか?」
首を傾げ、ポケモンの考察をする。しかし、答えは出てこない。
「もしかして、お前らが鍛えて強くなれば、いつか秘密を解き明かせるかもな」
ダンデは二人の可能性を見い出し、期待する。もしかしたら、二人は凄いことを成し遂げるのではないかと。いままで、誰も目撃した事の無いポケモンは二人の前に姿を現したのだから。
「さて、まずはまどろみの森から出よう!俺がいる、安心しろ」
切り替えたダンデが、二人に言う。二人もそれには素直に従った。
「兄貴には怒られたけど……、すごい体験をしたな」
「うん……貴重な体験をした、ね」
「ここが、俺たちの伝説の1ページになるかもな!」
「……そんな、気もするね」
今日はきっと特別な日だ!と言いながら、ダンデの後ろをついて行った。時折違う所に行こうとするダンデを引き止め、目的地に向かう方向に誘導しながら、三人は無事ハロンタウンへ帰っていったのだった。
伝説たちと出会ったミナトとホップ。これからどう成長していくのか、彼らはきっと見ていることだろう。そしてまた、出会える日を待ち侘びるのだ。
One today is worth two tomorrow.
(今日という日は明日と比べ物にならないくらい特別な日)
「ブルーネ、ヒイロ、ワカバ、朝だよ。そろそろ起きよう」
ヒバニーはピョンと元気良く飛び起き、にばっ!と挨拶をしたので、おはようと言って頭を撫でる。サルノリは目をパチパチさせながら、ゆっくりと動く。おはようと声を掛けると、小さくきー、と鳴く。メッソンは寝起きが悪いのかなかなか動かない。ミナトがそっと抱きかかえると、めしょおと鳴くが完全には覚醒していない。それを見て笑いながら、三匹を連れて一階に降りる。
「おはようございます」
ダイニングキッチンにいる母親とホップの母親に挨拶をする。
「おはよう、ミナトくん。ご飯食べる?」
「いただきます。すいません、お手伝い出来なくて」
「いいのよ~気にしなくて!ナツミさんも手伝ってくれたし、ホップがね、起こすなよ!って言ってミナトくんの分まで働いてくれたから」
「そうなんですか?」
「ホップくん、いつもミナトがぐっすり眠れてないのを知ってたから。だからね、ぐっすり寝てるから起きるまで起こしちゃダメ!って言ってくれたのよ」
「そうなんだ……ホップに、お礼言わなきゃ」
連れてきた三匹を下に降ろし、それぞれにご飯を与える。そのあとに、椅子に座って、いただきますをしてご飯を食べた。
「そういえば、ホップとダンデさんは?」
「外でポケモンたちを遊ばせてくるって言ってたわよ。ミナトくんも食べ終わったら、外に行ったらどう?」
「そうですね」
よく味わって食べ、ごちそうさまでしたと食器を片付けたあと、食べ終わった三匹を連れて外に出る。すると、自分の手持ちポケモンたちを出して遊ばせて、楽しそうに話し合っている二人を見つける。サルノリとヒバニーはそれぞれの主人の元へと駆け寄っていった。
「お、きたのかワカバ!」
「ヒイロ、よく眠れたかー?」
それぞれを抱え上げ挨拶を交わす。二匹は元気よく返事をしていた。二匹が来たことで、ミナトが来たことに気づいた二人が笑顔で迎え入れる。
「お!ミナト!ブルーネ!起きたんだなー!おはよう!」
「おはよう、ミナトくん!ブルーネ!」
「おはようございます」
メッソンもめしょーと挨拶を返す。
「ホップ、ありがとう。ゆっくり寝れたよ」
「いーえ!寝れる時に寝なきゃな!」
先程母親たちに聞いた事を元に、お礼を言う。ホップは気にすんな!と元気に笑う。
「さてと、ミナトくんと相棒たちが起きてきた事だし……な?ホップ」
「おう!ミナト、俺とポケモンバトルしよう!」
「え?」
どうやらホップとダンデは何かを話し合っていたらしい。ミナトに提案をしてきた。
「ミナトくんがポケモントレーナーに復帰した記念……というのかな。感覚を取り戻すという意味でも、ホップとバトルしてみたら楽しいんじゃないかと思ってね!」
「俺も、初めてのバトルはミナトがいいと思ってたんだ!……どうする?無理だったら、いいからな」
ミナトを気遣いながらも、前に進めるようにと引っ張り上げようとしてくれる二人に、感謝をする。ぎゅっとネックレスを握り、二人を強い瞳で見つめる。
「やるよ。俺には強い味方が、出来たから」
メッソンを抱え上げ、頭を撫でる。
「よし!じゃあ決定だな。二人の戦い、この俺が見届けよう!」
ダンデは自分の手持ちポケモンたちをしまい、バトルコートに二人を立たせる。
「いいか、ポケモントレーナー!自分とポケモンを信じろ!お互いを信じ合い、戦い続けて、いつかは……無敵のチャンピオンである俺のライバルとなれ!」
不敵に笑い、二人に投げかける。二人はそれに対し挑戦的な瞳で見つめ返す。
「必ず、そこまで行ってやる!待ってろよ兄貴!」
「……頑張ります」
「楽しみだ!まずは、お前達がポケモントレーナーとしてやっていけるのか確かめる!さあ、バトル開始だ!」
ダンデが開始の合図をする。
「兄貴の試合は全部見てる!兄貴が置いていった本や雑誌は全て読んだ!どうすれば勝てるか分かってる!ハク!行け!」
ホップはウールーを出した。
「ブルーネ、頼むよ」
ミナトは抱え上げていたメッソンを地面に置く。
「俺は二匹ポケモンがいる!ミナト!お前はどうやって戦う!?」
ミナトはいつもは見せない不敵な笑みを見せる。
「さて、それではバトルを始めよう!」
ダンデの掛け声でバトルを開始する。
「ハク!たいあたりだ!」
ウールーがメッソン目掛けて転がってくる。しかし、ホップの手が読めていたミナトはメッソンに指示をする。
「ブルーネ、なきごえ」
めしょお、と可愛く鳴く。少しだけ怯んだウールーの攻撃は、完全には当たらず、掠っただけだったため、大きなダメージは負っていない。
「はたく」
たいあたりで出来た隙を狙い、尻尾ではたく。偶然にも急所に当たったらしく、ウールーへのダメージが大きかった。
「ハク!頑張れ!もう一度たいあたりだ!」
しかしホップの声援もあり、立ち上がりもう一度たいあたりをしてくる。
「ブルーネ、今だ」
ミナトの言いたいことを汲み取り、向かってきたウールー目掛けて尻尾で思いっきり叩いた。今度こそ、ウールーは目を回し倒れた。
「くそっ、ミナト、やるな!でも俺にはまだもう1匹いるんだぜ!ヒイロ!いけっ!」
にばーッ!と勢い良く飛び出してくる。タイプ相性的にはメッソンのが上だ。しかし、油断は出来ない。
「様子見……かな。はたく、だ」
「ヒイロ、なきごえで怯ますんだ!」
それを読んでいたのか、先程ミナトがやった鳴き声で対応してくる。そのため、尻尾は上手くあたらない。
「いまだ!たいあたり!」
ヒバニーのたいあたりが、メッソンに思いっきり当たる。吹き飛ばされ、めしょお!と泣き始めた。隙ができた!と思ったホップはもう一度たいあたりを仕掛けた。しかし、ミナトに焦りはない。
「ブルーネ、みずてっぽう」
もう少しで当たる、というタイミングで繰り出したみずてっぽう。タイプ相性にプラスして、急所に当たり、ヒバニーは目を回し倒れた。
「ヒイロ!」
「勝負あり!勝者、ミナト!」
ダンデがヒバニーが倒れたのを見て、バトル終了を告げる。
「俺の、勝ちだよ」
ミナトは誇らしげに笑う。メッソンを抱え上げ、傷ついたところにキズぐすりを塗った。
「ブルーネ、よく頑張ったね。ありがとう」
額にキスをする。すると嬉しそうにめしょお!と返事をし、鼻の先にキスをした。
「くそーっ!負けた!強いな、ミナト!」
ヒバニーをげんきのかけらで復活させて、キズぐすりで完全回復させる。
「ありがとう。でも、ホップも凄かったよ。直ぐに戦術を学んで使ってくるなんて、びっくりしちゃった」
「使えるもんは使わないとな!バトルってそういうもんだろ?」
「たしかに、そうだね」
二人で握手を交わす。
「次は負けない!俺とコイツらはもっと強くなるぞ!」
「……俺も、負けないよ」
バトルがいい刺激になったのか、ホップとミナトは更に絆を深めた。ダンデはそれを満足そうに見て笑う。
「どちらのポケモンもナイスファイト、グッドファイト!とても熱くて素晴らしいバトルだった!思わずエンブ出して参加するところだったぜ!」
「兄貴にそう言ってもらえるなら、いいバトルだったんだな!」
「二人にポケモンを託して正解だった!二人がライバルとして切磋琢磨して、俺と同じステージ立つイメージが出来たぞ!」
ホップと肩を組み、とても嬉しそうに豪快に笑う。
「そうだ、兄貴!俺、もっともっと強くなりたい!ポケモンジムに挑ませてくれ!」
「ポケモンジム……ガラル最大イベント、ジムチャレンジ……」
「一年に一度、チャンピオンに挑むチャンスがある。それがジムチャレンジ、チャンピオンカップ!」
ホップが期待した目でダンデを見るが、うんとは言わなかった。
「……ふむ、もう少し二人が強くなったら考えよう!」
「えーっ!?なんでだよ!」
「まだまだお前たちはガラルではポケモントレーナーとして新米だからな。まだ早い!」
「むむむ……確かにそうだけど!」
兄として、そしてチャンピオンとしての判断。ミナトは仕方ないかな、なんて思っていたが、ホップは納得していなかった。しかし、ダンデが話を逸らしてジムチャレンジの話はそこで一度終わった。
「そういえば、ミナトくんはまだポケモン図鑑を持っていないよな?」
「はい、スマホロトムはあるんですが、まだインストールしてないです」
「それなら、ポケモン研究所に行ってすぐにインストールしてもらおう!ポケモンの強さや概要が乗っているから便利だぞ!しかし、ポケモン図鑑に詰まっているのはデータではなく、愛と情熱!ぜひ実感して欲しい!博士には俺から伝えておく!俺は先に向かっているから、後から二人で来るんだぞ!」
それを伝えて、ダンデは先にポケモン研究所に向かってしまった。
「兄貴、話逸らしたぞ!てか、一人で行ってたどり着けるのか!?」
「……うーん、多分大丈夫……と思いたいね」
「……まあいいや、俺達も行くか」
「そうだね、母さん達に声をかけてから行こうか」
ホップと共に家の中にいた二人の母親に出かけてくることを伝え、向かおうとする。しかし1番道路に出ようと思ったら、ガシャン!と音がする。ミナトの家の方からだ。
「……まさか、ウールーがアソコの柵、壊したんじゃ?」
「ヤバい!行くぞ!」
二人で走って向かうと、予想通り、まどろみの森への道を塞いでいた柵が開け放たれていた。
「ヤバいな……ウールーが危ない!だけど、ここは入っちゃいけないところだって兄貴達が言ってたんだよな……」
うむむ、と悩むホップの背中を押すように、ミナトはホップの手を握り引っ張る。
「行こう。ウールーを助けに」
「……そうだよな!ウールーを探しに行こう!」
いけないことでもやらなきゃいけないときはある。そうして二人はまどろみの森へと入っていった。
「ウールー、居ないな……」
「見つからないね……」
野生のポケモンたちを退けながら、二人で進んでいくが中々見つからない。結構奥まで来た。奥に行けば行くほど霧が濃くなっていく。すると、ワオーン、と何かの鳴き声が聞こえてくる。
「なんだ、いまの!?」
「なにかの鳴き声……みたいだね……」
「ヤバいぞ……ウールー、どこだ!?」
「ウールー……」
二人はウールーの為に奥へと進んでいく。お互いの姿がやっと見える位の霧の濃さになった。
「何だか嫌な感じの霧だな。入っちゃいけないのもわかるぞ……」
「こわい、ね」
その時、ミナトは不穏な気配を察知した。
「なにか……いる!」
二人で後ろを振り向くと、不思議なオーラを纏う二匹のポケモンが近づいてきた。
「なんだ……!?コイツら!」
先程聞こえた鳴き声と同じように二匹が鳴く。二人はとりあえず自分のポケモンを出し、立ち向かった。
「ブルーネ、はたく」
「ハク、たいあたりだ!」
お互い、目の前にいるポケモンに攻撃をする。しかし、当たったはずなのに当たらなかった。
「どういうことだ!?」
「分からない……とりあえず、いろいろ試すしかない」
不思議なオーラを纏う二匹のポケモンたちは、ただただ二人を見つめているだけだった。とりあえず持っている技を全て使ってみるが、どれも当たらず、そのポケモンたちの技なのか、霧も段々と濃くなってきて、何も見えなくなった。すると意識も持っていかれて、二人はその場に倒れた。
「う、ううん……」
しばらくして、ホップが目を覚まし辺りを見回すとミナトが倒れているのが目に入り、駆け寄る。
「おい!ミナト!しっかりしろ!」
「ん……あ、れ?ここ、は……」
「まどろみの森……だな。俺たち、しばらく気を失ってたみたいだ」
ミナトが目を覚ましたことにほっとしつつ、今の状況を整理する。
「ホップ!ミナト!」
そんな時、ダンデが慌てて走って二人の元に向かってきた。慌てていたからか、ミナトの事を呼び捨てにしている。
「兄貴?方向音痴なのに、よくここに来れたな」
ホップが呑気なことを言っているのに対し、ダンデは少し怒ったような口調で喋る。
「心配させておいて何を言っているんだ!いつまでたっても来ないから、迎えに来たんだぞ!」
「あ……もう、1時間近く経ってる……」
そこで気付いた。自分たちがかなり、心配をかけたことを。
「「ごめんなさい」」
「まあいい。無事でよかった」
素直に謝った二人に、思いっきり怒ることも出来ず、頭を優しく撫でた。
「!そうだ、ウールーは!?俺たち、ウールーを助けにきたんだよ!」
どうしよう、と二人が頭を抱えると、ダンデは後ろを振り向き、リザードンの方を見る。リザードンの傍には一匹のウールーが居た。
「無事だよ」
「よかった……」
「気絶していただけで、元気だ。お前らも大丈夫か?」
「はい、身体に異常はありません」
「元気だぞ!」
思ったよりも元気そうな二人に、ふう、と息を吐く。
「とりあえず、事情はわかった。黙って森に入ったのはアウトだが、お前たちの勇気は認める!よくやったぞ!」
ニッコリと笑ったダンデに、少し安心した。
「よかったな、ミナト!深い霧に包まれたり、不思議なポケモンと戦ったのも、無駄じゃなかったぞ!」
「……そうだね。いい、経験になった、かな?」
二人で笑い合っている後ろで、ダンデがそのポケモンに興味を持ったらしく詳しく聞いてくる。
「不思議な……?何を見たというんだ」
「すごい威厳があってさ、とんでもない存在感がなのに、技が効かなくて……、というか技がすり抜けていったみたいで」
「技がすり抜ける……?まどろみの森にいると言われるポケモンは幻なのか?」
首を傾げ、ポケモンの考察をする。しかし、答えは出てこない。
「もしかして、お前らが鍛えて強くなれば、いつか秘密を解き明かせるかもな」
ダンデは二人の可能性を見い出し、期待する。もしかしたら、二人は凄いことを成し遂げるのではないかと。いままで、誰も目撃した事の無いポケモンは二人の前に姿を現したのだから。
「さて、まずはまどろみの森から出よう!俺がいる、安心しろ」
切り替えたダンデが、二人に言う。二人もそれには素直に従った。
「兄貴には怒られたけど……、すごい体験をしたな」
「うん……貴重な体験をした、ね」
「ここが、俺たちの伝説の1ページになるかもな!」
「……そんな、気もするね」
今日はきっと特別な日だ!と言いながら、ダンデの後ろをついて行った。時折違う所に行こうとするダンデを引き止め、目的地に向かう方向に誘導しながら、三人は無事ハロンタウンへ帰っていったのだった。
伝説たちと出会ったミナトとホップ。これからどう成長していくのか、彼らはきっと見ていることだろう。そしてまた、出会える日を待ち侘びるのだ。
One today is worth two tomorrow.
(今日という日は明日と比べ物にならないくらい特別な日)
4/4ページ