君と共に歩む
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これは、バーベキューの後の話。
「ブルーネ、おいで」
メッソンを呼び、抱き上げる。めそ?と首を傾げ、不思議そうな顔をしているので、ミナトはくすり、と笑って頭を撫でた。めしょー!といってキャッキャと喜ぶ。
「木の実スムージーか、ポロックの方が、食べやすいよね、きっと」
「ポロック?」
ホップが首を傾げる。ガラルには無いものだから、知らないのも当たり前だろう。
「ホウエンで流行ってる四角いポケモンのお菓子だよ。専用の機械があって、木の実を入れて作るんだ」
「へぇ!」
「たぶん、家にあったと思うんだけど……、一度家に戻って探してこようかな……?」
「それもいいと思うぞ!俺も行く!」
「ポロックか……俺も興味がある!一緒に行ってもいいか?」
「はい、大丈夫ですよ。母さん、おばさん、ちょっと家に行ってきます」
「「行ってらっしゃい」」
母親たちに声をかけて、ポケモン達を連れてミナトの家に向かう。
「「お邪魔します!」」
元気に挨拶して、中に入る二人。
「リビングで、待っててね。えっと、ホップはエネココアにする?それともロズレイティーがいい?ダンデさんは、なにか好きな飲み物はありますか?」
「今日はロズレイティー!」
「俺は何でもいいぞ!」
「じゃあ、一緒にしちゃいますね。えーと……クッキーがあったかな……」
キッチンで忙しなく動く。お湯を沸かして、クッキーをお皿に出す。
「よかったら、食べてくださいね」
「やった!手作りだろ?」
「うん、いつものだけど」
「凄いな!ミナトくんが作ったのか?」
「はい、好きなんです、作るの」
沸いたお湯を茶葉を入れたポットに注ぎ、少し蒸らす。少し揺らしてからカップに注ぐ。
「ゆっくりしててくださいね。俺、探してきます」
ミナトは二人を残して自分の部屋に向かった。そこから二人の小さなバトルという名の言い合いが始まる。
「兄貴、俺言ったはずだけど?」
クッキーを口に放り込みながら、キッ、とダンデを睨む。
「何がだ?」
ダンデはロズレイティーを飲みながら、とぼけたフリをする。ホップは畳み掛けるように言う。
「ミナトを刺激するようなことはしないでくれって。結果的にはいい方に転がったけど、もしかしたら悪化してたかもしれない。兄貴はその時のことも考えてたか?」
「考えてたさ。考えた上で、彼のために言わなければいけないと判断したんだ」
ダンデは冷静に返す。ホップはその態度に苛立ちを露わにする。
「じゃあ、もしミナトがパニックになってたらどうするつもりだったんだ」
「落ち着くまで傍に居る。無理をさせて済まない、もう二度としないと約束するつもりだった」
「そんなんじゃダメなんだよ、兄貴」
爪がくい込むくらい強く拳を握る。
「ミナトがここまで戻るのに、3年かかったんだぞ。もしまた拒絶したら……もう、二度とポケモンたちと一緒に生きていくことが出来なかったかもしれない」
「ホップ……」
「ミナトには、ポケモンたちと一緒に、幸せになって欲しいんだよ。だから、一か八かの賭けのようなことはしないでくれ、絶対に」
今度は睨むのではなく、決意に満ちた瞳でダンデを見つめる。
「もし、ミナトの幸せを崩すようなことしたら、俺、絶対許さないからな!」
「……わかったよ、ホップ」
ふう、と溜息をつき、困ったような顔で笑った。
「やっと見つかりました。遅くなってごめんなさい」
タイミング良くミナトも戻ってきたので、そこで二人のバトルは終わった。
「これがポロックキットです」
「へぇ!ミキサーみたいだな!」
「木の実を何種類か混ぜて作るんです。今ある木の実だと……虹色ポロック作れるかなぁ?」
オレンの実、モモンの実、ヒメリの実、ナナシの実を冷蔵庫から取り出す。入れやすくするために小さく切り、ミキサーに入れ、蓋をした。そして時間などを調節して、ボタンを押す。しばらくすると、コロリ、と四粒の虹色ポロックが出てきた。
「うん、ちゃんと出来た」
「へぇ、結構小さいなぁ」
「これをあげると、コンディションが上がるんだ」
「コンディション?」
「バトルでは使わないんだけどね、コンテストとかでは見た目で判断されるんだ。そのために必要な数値だよ」
「ふむ、ガラルにはコンテストはないからな!なるほど、面白い!」
「ブルーネ、これなら、食べやすいと思う。食べてごらん」
ヒバニー、サルノリ、リザードンと遊んでいたメッソンを呼び、1つ差し出す。不思議そうにしていたが、パクリと口に入れると、美味しかったのか破顔した。そんなメッソンの頭をミナトは優しく撫でる。ヒバニー、サルノリ、リザードンも気になったのか、欲しい!とアピールしてきたため、1つずつ渡す。皆美味しそうに頬張っていた。リザードンは少し物足りなさそうだったので、木の実を渡した。
「そういえば、ミナトくんは、ポケモンにニックネームを付けるんだな」
「はい、その方が、仲良くなれると思って」
「俺のウールーにも、ハクって付けてくれたんだぞ!」
「へぇ、そうなんだな!」
そんな話をしているとヒバニーとサルノリが騒ぎ出す。ヒバニーはホップに向かって突撃し、サルノリはダンデの足をスティックでぺちぺち叩く。
「どうしたんだヒバニー?」
「サルノリも。……もしかして、ニックネームが欲しいってことか?」
そうだ!とでも言うかのように二匹が鳴く。
「ふーむ……そうだ、ミナトくん、君が付けてくれないか?」
「え?俺が、ですか?」
「さんせーい!」
「ホップまで。……ヒバニーとサルノリは、いいの?」
目線を合わせて、二匹に聞く。二匹は元気よく鳴いた。
「いいって、ことかな。……うーん、そうだなァ……」
二匹を見て、真剣に考える。
「ヒバニーは……ヒイロ、かな」
「ヒイロ?」
「緋色っていう色に、ヒーローという意味も乗せて。ホップの子だからピッタリかな、なんて。どうかな」
「おお!!ヒイロ!いいな!お前は今日からヒイロだ!」
ヒバニーも飛び跳ねて嬉しそうだ。
「サルノリは……ワカバ、かな?」
「ワカバか!」
「はい、夏前の爽やかな木々の葉のように、強く育てばいいな、と」
「なるほど、いい名前だなサルノリ!いや、ワカバ!」
スティックを振ってニコッと笑う。そのタイミングで、木の実を食べ終わったリザードンがばぎゅあ、と少し控えめに鳴く。
「リザードン、お前もせっかくだし、付けてもらうか?」
ダンデが相棒の気持ちを汲み取り、そう聞くと今度は元気よく鳴いた。
「ミナトくん、頼むよ」
「うーん……ダンデさんのリザードン、か……」
ダンデが十歳の時からの相棒。思い入れが強いだろう、とよく考える。
「エンブ、かな」
「エンブ?」
「えんは炎の意味もあるんです。そこに、演舞……バトル魅せることに長けていることも入れて、さらにエンブレム、ダンデさんがチャンピオンである象徴、ということで、エンブ。リザードン、どう?」
ミナトがリザードンを見上げて聞いてみる。リザードンは満足そうに頷いた。
「俺の相棒は今日からエンブだな!いい名前をありがとう!」
「いえ、よかったです、みんな気に入ってくれたみたいで」
にへら、とミナトが笑う。それを見て、兄弟二人は顔を見合わせて笑った。
その後はポロックをいくつか作り、余ってたポロックケースに入れてダンデとホップにおすそ分けして、ホップとダンデの家に戻った。
「今日は泊まっていけよミナト」
「……そうだね、そうしようかな」
ミナトの母親もどうやら泊まっていくらしいので、いつもと同じように、ホップの部屋にお邪魔することにした。パジャマはホップのものを借りる。
「ホップの服は、やっぱり大きいね」
体格差があるため、全体的にブカブカだ。
「まあ、俺の方がミナトより全体的にでかいからな~」
ケラケラと笑う。実はミナトサイズのものもあるのだが、わざと大きめのものを渡している。ホップは確信犯であった。内心では可愛いを連呼しながら、平静を装う。
「よし、ミナト!ポケモンをもらった記念にさ、写真撮っとこうぜ!」
「うん」
ホップはヒバニーを、ミナトはメッソンを抱えて、ホップのスマホロトムで写真を撮る。皆が笑顔で素敵な写真になった。
「ベッドに入って話そうぜ!」
「そうだね」
二人とも着替え終わってるので、ホップのベッドに二人(と二匹)で入る。
「だいぶ狭くなってきたな~」
「ホップが、成長期だからじゃない?」
「ミナトも大分伸びたじゃん!」
「ホップに比べたら、全然……だって、10センチも違う」
少しだけ口を尖らせて、拗ねる。ホップは笑って優しくミナトの背中を叩く。
「でも、出会った時は15センチ差だったぞ?ミナトの方が、実は伸びてるんだぞ!」
「確かにそうだけど……」
「これからだぞ!な?」
「むぅ……」
納得は出来てないが、仕方ない、と話を変える。
「ホップは、これからどうするの?」
「ん?なにが?」
「ダンデさんから、ヒイロもらったでしょ。トレーナーになって、チャンピオン目指すの?」
「そうだな、出来るなら……してみたい気持ちもあるぞ」
「そっか……」
目を瞑り、少し考える。
「どうした?」
「ホップは、俺のために、旅に出るの我慢してる、よね?」
「え?」
目を開き、じっとホップの目を見る。
「俺が、不安にならないように……ずっとそばに居てくれた」
ぎゅっとホップの手を握る。
「ありがとう、ホップ」
他の人には見せない優しい微笑みで言う。
「ダンデさんに言われて、気づいた。もうそろそろ、俺は前に進まなきゃ……いつまでも、このままじゃ、いられないんだ……」
「ミナト……」
「でも、まだ、不安はある。ホップが、傍に居ると心強い。でも、ホップには自由に生きてほしいし、旅にも出てほしい」
「俺は別に大丈夫だぞ!旅に出なくったって出来ることはいっぱいある!」
「……でも、ダンデさんを、目指すんでしょ?」
「それは……」
「チャンピオンになるためには、旅は絶対必要だよ」
「でも!」
「大丈夫。俺もホップと……ブルーネと一緒に旅に出るよ」
メッソンの頭を撫でて言う。
「もう一度、挑戦してみたくなったんだ、俺も。チャレンジャーとして、チャンピオンに」
アクアマリンの瞳がホップを強く射抜いた。初めて見る表情。静かに燃え上がる闘志を感じさせた。その表情を兄がさせていることに気付いたホップは少し悔しかった。でも、それを表情には出さず同じように強く見つめ返した。
「よし、じゃあ明日が、俺達の旅立ちの日だな!」
「うん」
「へへっ、楽しみだな!」
「うん、すごく、楽しみ」
二人が話しているうちにヒバニーとメッソンは寄り添って眠っていた。二人も、楽しく話しているうちに眠くなってきて、次の日に備えて眠った。
「ブルーネ、おいで」
メッソンを呼び、抱き上げる。めそ?と首を傾げ、不思議そうな顔をしているので、ミナトはくすり、と笑って頭を撫でた。めしょー!といってキャッキャと喜ぶ。
「木の実スムージーか、ポロックの方が、食べやすいよね、きっと」
「ポロック?」
ホップが首を傾げる。ガラルには無いものだから、知らないのも当たり前だろう。
「ホウエンで流行ってる四角いポケモンのお菓子だよ。専用の機械があって、木の実を入れて作るんだ」
「へぇ!」
「たぶん、家にあったと思うんだけど……、一度家に戻って探してこようかな……?」
「それもいいと思うぞ!俺も行く!」
「ポロックか……俺も興味がある!一緒に行ってもいいか?」
「はい、大丈夫ですよ。母さん、おばさん、ちょっと家に行ってきます」
「「行ってらっしゃい」」
母親たちに声をかけて、ポケモン達を連れてミナトの家に向かう。
「「お邪魔します!」」
元気に挨拶して、中に入る二人。
「リビングで、待っててね。えっと、ホップはエネココアにする?それともロズレイティーがいい?ダンデさんは、なにか好きな飲み物はありますか?」
「今日はロズレイティー!」
「俺は何でもいいぞ!」
「じゃあ、一緒にしちゃいますね。えーと……クッキーがあったかな……」
キッチンで忙しなく動く。お湯を沸かして、クッキーをお皿に出す。
「よかったら、食べてくださいね」
「やった!手作りだろ?」
「うん、いつものだけど」
「凄いな!ミナトくんが作ったのか?」
「はい、好きなんです、作るの」
沸いたお湯を茶葉を入れたポットに注ぎ、少し蒸らす。少し揺らしてからカップに注ぐ。
「ゆっくりしててくださいね。俺、探してきます」
ミナトは二人を残して自分の部屋に向かった。そこから二人の小さなバトルという名の言い合いが始まる。
「兄貴、俺言ったはずだけど?」
クッキーを口に放り込みながら、キッ、とダンデを睨む。
「何がだ?」
ダンデはロズレイティーを飲みながら、とぼけたフリをする。ホップは畳み掛けるように言う。
「ミナトを刺激するようなことはしないでくれって。結果的にはいい方に転がったけど、もしかしたら悪化してたかもしれない。兄貴はその時のことも考えてたか?」
「考えてたさ。考えた上で、彼のために言わなければいけないと判断したんだ」
ダンデは冷静に返す。ホップはその態度に苛立ちを露わにする。
「じゃあ、もしミナトがパニックになってたらどうするつもりだったんだ」
「落ち着くまで傍に居る。無理をさせて済まない、もう二度としないと約束するつもりだった」
「そんなんじゃダメなんだよ、兄貴」
爪がくい込むくらい強く拳を握る。
「ミナトがここまで戻るのに、3年かかったんだぞ。もしまた拒絶したら……もう、二度とポケモンたちと一緒に生きていくことが出来なかったかもしれない」
「ホップ……」
「ミナトには、ポケモンたちと一緒に、幸せになって欲しいんだよ。だから、一か八かの賭けのようなことはしないでくれ、絶対に」
今度は睨むのではなく、決意に満ちた瞳でダンデを見つめる。
「もし、ミナトの幸せを崩すようなことしたら、俺、絶対許さないからな!」
「……わかったよ、ホップ」
ふう、と溜息をつき、困ったような顔で笑った。
「やっと見つかりました。遅くなってごめんなさい」
タイミング良くミナトも戻ってきたので、そこで二人のバトルは終わった。
「これがポロックキットです」
「へぇ!ミキサーみたいだな!」
「木の実を何種類か混ぜて作るんです。今ある木の実だと……虹色ポロック作れるかなぁ?」
オレンの実、モモンの実、ヒメリの実、ナナシの実を冷蔵庫から取り出す。入れやすくするために小さく切り、ミキサーに入れ、蓋をした。そして時間などを調節して、ボタンを押す。しばらくすると、コロリ、と四粒の虹色ポロックが出てきた。
「うん、ちゃんと出来た」
「へぇ、結構小さいなぁ」
「これをあげると、コンディションが上がるんだ」
「コンディション?」
「バトルでは使わないんだけどね、コンテストとかでは見た目で判断されるんだ。そのために必要な数値だよ」
「ふむ、ガラルにはコンテストはないからな!なるほど、面白い!」
「ブルーネ、これなら、食べやすいと思う。食べてごらん」
ヒバニー、サルノリ、リザードンと遊んでいたメッソンを呼び、1つ差し出す。不思議そうにしていたが、パクリと口に入れると、美味しかったのか破顔した。そんなメッソンの頭をミナトは優しく撫でる。ヒバニー、サルノリ、リザードンも気になったのか、欲しい!とアピールしてきたため、1つずつ渡す。皆美味しそうに頬張っていた。リザードンは少し物足りなさそうだったので、木の実を渡した。
「そういえば、ミナトくんは、ポケモンにニックネームを付けるんだな」
「はい、その方が、仲良くなれると思って」
「俺のウールーにも、ハクって付けてくれたんだぞ!」
「へぇ、そうなんだな!」
そんな話をしているとヒバニーとサルノリが騒ぎ出す。ヒバニーはホップに向かって突撃し、サルノリはダンデの足をスティックでぺちぺち叩く。
「どうしたんだヒバニー?」
「サルノリも。……もしかして、ニックネームが欲しいってことか?」
そうだ!とでも言うかのように二匹が鳴く。
「ふーむ……そうだ、ミナトくん、君が付けてくれないか?」
「え?俺が、ですか?」
「さんせーい!」
「ホップまで。……ヒバニーとサルノリは、いいの?」
目線を合わせて、二匹に聞く。二匹は元気よく鳴いた。
「いいって、ことかな。……うーん、そうだなァ……」
二匹を見て、真剣に考える。
「ヒバニーは……ヒイロ、かな」
「ヒイロ?」
「緋色っていう色に、ヒーローという意味も乗せて。ホップの子だからピッタリかな、なんて。どうかな」
「おお!!ヒイロ!いいな!お前は今日からヒイロだ!」
ヒバニーも飛び跳ねて嬉しそうだ。
「サルノリは……ワカバ、かな?」
「ワカバか!」
「はい、夏前の爽やかな木々の葉のように、強く育てばいいな、と」
「なるほど、いい名前だなサルノリ!いや、ワカバ!」
スティックを振ってニコッと笑う。そのタイミングで、木の実を食べ終わったリザードンがばぎゅあ、と少し控えめに鳴く。
「リザードン、お前もせっかくだし、付けてもらうか?」
ダンデが相棒の気持ちを汲み取り、そう聞くと今度は元気よく鳴いた。
「ミナトくん、頼むよ」
「うーん……ダンデさんのリザードン、か……」
ダンデが十歳の時からの相棒。思い入れが強いだろう、とよく考える。
「エンブ、かな」
「エンブ?」
「えんは炎の意味もあるんです。そこに、演舞……バトル魅せることに長けていることも入れて、さらにエンブレム、ダンデさんがチャンピオンである象徴、ということで、エンブ。リザードン、どう?」
ミナトがリザードンを見上げて聞いてみる。リザードンは満足そうに頷いた。
「俺の相棒は今日からエンブだな!いい名前をありがとう!」
「いえ、よかったです、みんな気に入ってくれたみたいで」
にへら、とミナトが笑う。それを見て、兄弟二人は顔を見合わせて笑った。
その後はポロックをいくつか作り、余ってたポロックケースに入れてダンデとホップにおすそ分けして、ホップとダンデの家に戻った。
「今日は泊まっていけよミナト」
「……そうだね、そうしようかな」
ミナトの母親もどうやら泊まっていくらしいので、いつもと同じように、ホップの部屋にお邪魔することにした。パジャマはホップのものを借りる。
「ホップの服は、やっぱり大きいね」
体格差があるため、全体的にブカブカだ。
「まあ、俺の方がミナトより全体的にでかいからな~」
ケラケラと笑う。実はミナトサイズのものもあるのだが、わざと大きめのものを渡している。ホップは確信犯であった。内心では可愛いを連呼しながら、平静を装う。
「よし、ミナト!ポケモンをもらった記念にさ、写真撮っとこうぜ!」
「うん」
ホップはヒバニーを、ミナトはメッソンを抱えて、ホップのスマホロトムで写真を撮る。皆が笑顔で素敵な写真になった。
「ベッドに入って話そうぜ!」
「そうだね」
二人とも着替え終わってるので、ホップのベッドに二人(と二匹)で入る。
「だいぶ狭くなってきたな~」
「ホップが、成長期だからじゃない?」
「ミナトも大分伸びたじゃん!」
「ホップに比べたら、全然……だって、10センチも違う」
少しだけ口を尖らせて、拗ねる。ホップは笑って優しくミナトの背中を叩く。
「でも、出会った時は15センチ差だったぞ?ミナトの方が、実は伸びてるんだぞ!」
「確かにそうだけど……」
「これからだぞ!な?」
「むぅ……」
納得は出来てないが、仕方ない、と話を変える。
「ホップは、これからどうするの?」
「ん?なにが?」
「ダンデさんから、ヒイロもらったでしょ。トレーナーになって、チャンピオン目指すの?」
「そうだな、出来るなら……してみたい気持ちもあるぞ」
「そっか……」
目を瞑り、少し考える。
「どうした?」
「ホップは、俺のために、旅に出るの我慢してる、よね?」
「え?」
目を開き、じっとホップの目を見る。
「俺が、不安にならないように……ずっとそばに居てくれた」
ぎゅっとホップの手を握る。
「ありがとう、ホップ」
他の人には見せない優しい微笑みで言う。
「ダンデさんに言われて、気づいた。もうそろそろ、俺は前に進まなきゃ……いつまでも、このままじゃ、いられないんだ……」
「ミナト……」
「でも、まだ、不安はある。ホップが、傍に居ると心強い。でも、ホップには自由に生きてほしいし、旅にも出てほしい」
「俺は別に大丈夫だぞ!旅に出なくったって出来ることはいっぱいある!」
「……でも、ダンデさんを、目指すんでしょ?」
「それは……」
「チャンピオンになるためには、旅は絶対必要だよ」
「でも!」
「大丈夫。俺もホップと……ブルーネと一緒に旅に出るよ」
メッソンの頭を撫でて言う。
「もう一度、挑戦してみたくなったんだ、俺も。チャレンジャーとして、チャンピオンに」
アクアマリンの瞳がホップを強く射抜いた。初めて見る表情。静かに燃え上がる闘志を感じさせた。その表情を兄がさせていることに気付いたホップは少し悔しかった。でも、それを表情には出さず同じように強く見つめ返した。
「よし、じゃあ明日が、俺達の旅立ちの日だな!」
「うん」
「へへっ、楽しみだな!」
「うん、すごく、楽しみ」
二人が話しているうちにヒバニーとメッソンは寄り添って眠っていた。二人も、楽しく話しているうちに眠くなってきて、次の日に備えて眠った。