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「エキシビションマッチ、始まるロ〜!」
スマホロトムが騒ぐ。うたた寝していたため、その声にびっくりして身体がビクッと震えた。
「早くするロト!もう始まっちゃうロ〜!」
「ん……ゴメン。ありがとう、スマホロトム」
スマホロトムを手に取り、PokeTUBEでエキシビションマッチの生放送のページを開く。
「確か、今回はガラル地方のPRも兼ねてるんだっけ」
開いたらちょうど生放送が始まった所だった。リーグ委員長のローズが会場、そして生放送を見ている人達に語りかける。ガラル地方がいかに素晴らしいか、ポケモン、ポケモントレーナーとはなにか。盛り上がってきたところでローズがとある人物を呼ぶ。
「ガラル地方で最強のポケモントレーナー……チャンピオンダンデの戦いを皆様にお見せしましょう!!」
歓声が上がり、大きな音と共に煙の中から現れたのは、チャンピオンマントを羽織ったダンデ。周りを見渡し、いつものあのポーズ、リザードンポーズを決めた。観客たちは最高に盛り上がり、同じようにリザードンポーズをする。
「ダンデ!エキシビションといえど、お前の無敗記録、終わらせる!」
今回の相手は、ジムリーダーの最高峰、キバナ。闘争心剥き出しで立ち向かってくる。
「どんな試合でも負けないぜ!……リザードン、ダイマックスだ!」
繰り広げられる最高峰のポケモンバトル。胸が熱くなる。自分もあそこに混ざって勝負がしたい、とミナトは思った。
そのままその戦いを見続けていると、ピンポーンとインターホンが鳴った。ミナトは夢中で戦いを見ていたため、はーい、とミナトの母がドアを開ける。
「あら、ホップ君!いらっしゃい」
「お邪魔します!ミナト居ますか?」
「リビングに居るわ」
軽く挨拶を交わして、ホップはミナトが居るリビングへ向かう。
「ミナトー!迎えに来たぜ!」
しかし、返事はない。スマホロトムに映った試合に魅入っていたから。
「たく、相変わらず、何かに集中すると気付かないんだなー」
ホップは、優しくミナトの肩を叩く。すると、ピクリと反応し、ゆっくり振り向く。
「……ホップ、ごめん、気づかなかった」
「いいよ、別に!おニュースマホ買ったんだな」
「うん、母さんが、あった方が便利よ、って言うから、買ったんだ」
「そうか!よし、連絡先交換しようぜ!」
「うん」
電話番号とpokkeのIDを交換する。
「これでいつでも連絡取れるな!」
「そうだね」
二人で目を合わせて笑い合う。
「あ、そういや、今兄貴の試合見てただろ!エキシビションマッチ!」
「うん、見てた。やっぱり、凄い。トップ同士の戦いは、レベルが違うなって思った。どっちが勝ってもおかしくないくらいだったけど、やっぱりダンデさんの戦略は凄い。どんなにピンチになっても、逆転するんだ」
「だろだろ〜!兄貴はすげぇんだ!」
この二人がチャンピオンであり、ホップの兄貴であるダンデのことを語り始めると長くなる。ホップは生粋のファンであるのは周知の事実だし、そんなホップと一緒にいるミナト、散々話を聞かされているうちに詳しくなり、語れるほどにまでなった。だから二人が揃うと朝から晩まで語れるほどなのだ。それを知っているミナトの母が、ダンデのことを語り始めてしまったことに気付き、声を掛けた。
「ホップ君、今日は大事な日じゃないの?」
「あ!そうだった、そうだった!だからミナトを迎えに来たんだった!兄貴のことを語ってる場合じゃないぜ」
ガシリ、とミナトの手を取り、もう片方の手には近くにあったミナトのカバンを手に取る。
「今日は兄貴とミナトの初対面の日!へへ、やっと兄貴を紹介できる!俺はすっごく嬉しい!」
破顔し、ミナトの母に言う。ミナトの母も嬉しそうに微笑む。
「そうね、素晴らしい日だわ、今日は」
「母さん…」
「行ってらっしゃい。何かあったら、直ぐに連絡なさいね?」
「うん、行ってきます」
母に手を振り、ミナトはホップと共に家を飛び出す。ホップが持ってくれたカバンをしっかり受け取り、背負う。
「お邪魔しました!……ん?」
ホップが何かに気づく。ミナトもガンガンぶつかる音が聞こえたため、音が聞こえた方向を見た。そこには家の近くにある柵に突進しているウールーが居た。
「どうしたんだ?そっちはまどろみの森へ行く道だぞ?」
「もしかして、ここを開けようと、してる?」
「え、まじで!?おい、ウールー、ダメだぞ!禁止されてるんだから!」
身体を割り込ませてとっしんを止める。普通なら怪我をするんだが、ホップは自分の牧場で育てているウールーや手持ちのウールーといつも戯れている為、扱いに慣れており怪我はしなかった。
「ウールー、ここはダメだ!他の所にしろ!」
すると、渋々といった感じで動きを止め、その後コロコロとどこかに転がって行った。
「よかった、これで大丈夫……かな?」
「大丈夫さ!」
「ホップ、凄いね」
「そーかー?これぐらい当たり前だぜ!」
「さすがホップ」
ウールーが去っていってから、二人はホップの家に向かう。
「たっだいまー!」
着いてから直ぐにホップの母が出てくる。
「あら、ホップ。お帰りなさい、早かったわね?」
「ミナト連れてきただけだからなー」
「こんにちは、お邪魔します」
「あら、ミナト君、こんにちは。そういえば、今日はその日なのね!」
「そゆこと!」
「ダンデが帰ってくるまでまだ時間がかかるから、少しゆっくりしていくといいわ」
「ありがとうございます」
リビングの椅子に向かい合って座る。先程のように、語り始めて時間を忘れると良くないと思い、あと30分程度で来るだろうと予測して、スマホロトムでタイマーを30分後に設定した。ホップの母が用意してくれた飲み物を片手に語り合った。
「時間ロ〜!」
スマホロトムがタイムアップを告げる。まだ、ダンデは帰ってこない。
「兄貴、もしかして駅で迷ってる?」
「あの子ならやりかねないわね……ホップ、迎えに行った方がいいんじゃない?」
「だな!行ってくる!」
「ミナト君はどうする?ここに居ても良いわよ」
顔を伏せ少し考えた後、
「俺も、行ってきます。ホップが居るし、今日はその為に来たので」
と、言った。ホップの母は、そう、じゃあ行ってらっしゃい、と返して、笑って二人を見送った。
「ほら、行こうぜ」
「うん」
手を繋ぎ、駅があるブラッシータウンへ向かう。
「しかし、何で兄貴は家に帰ってくる道で迷うんだろうな。一本道だぜ?」
「うーん、多分だけど、草むらに入ってポケモン達を観察してるからじゃないかな。夢中になってどこに向かっていたのか分からなくなるのかも」
「ああ、なるほど。兄貴だもんなー」
ダンデのことを話しながら、草むらには入らず、真っ直ぐ向かっていくと五分もかからない。直ぐにブラッシータウンが見えた。そこには人集りが出来ている。
「兄貴だな、絶対」
「人気だもんね、ダンデさん」
二人は一番後ろから様子を伺う。リザードンは既にいた。チャンピオン!と呼ぶ声が飛び交い、ダンデが現れる。ワーッと盛り上がる人達の為に、ファンサービスとしてリザードンポーズをビシッと決めた。
「ブラッシータウンの皆さん!チャンピオンのダンデです!皆さんの為にもこれからも最強の勝負をします!!」
「我らが無敵のチャンピオン!あんたとリザードンは最高だ!」
「サンキュー!皆もポケモンを育てて勝負してくださいよ!そしてチャンピオンの俺に挑戦してくれ!」
ニコニコと手を振りながらそんなことを言う。その為、ファンの人達は大盛り上がり。
「私たちもダンデさんに憧れてポケモン勝負してます!」
「でもチャンピオンのリザードン強すぎるんだもん!」
女の人も子供たちも、嬉々としてダンデに話しかける。
「確かにリザードンは強い!他のポケモンたちも強い!だからこそ、最強のチャレンジャーと戦いたい!俺の願いは、ガラル地方のポケモントレーナー皆で強くなることだからね!」
リザードンもばぎゅあ!と鳴き、ダンデの言葉に賛同する。ミナトは少しだけ昔のことを思い出し、不安になる。無意識にネックレスを握っていると、ホップが繋いでいた手を力強く握り、安心させるように笑う。
「大丈夫だぞ!俺がいる!」
「……うん、ありがとう、ホップ」
強ばっていた身体の力がふっと抜ける。それが分かったのか、ホップは大きな声で手を振りながらダンデを呼んだ。
「兄貴ー!」
「!ホップ!!世界一のチャンピオンファンがわざわざ迎えに来てくれたか!」
ホップの声に気付き、ホップの方に歩いてくる。
「ホップ!お前背が伸びたな!そうだな……ズバリ、3センチ!」
「正解!流石兄貴、無敵の観察力だな!」
兄弟二人で楽しそうに笑い合う。やっぱり兄弟だから似てるなぁ、なんてミナトが思いながら見ていると、ダンデがホップの隣にいたミナトの存在に気づく。
「君は……?」
じっと瞳を見つめる。ミナトも緊張はしたが、ちゃんと見つめ返す。
「その瞳の色……わかった!君がミナト君だね?」
「はい、はじめまして」
ぺこり、と頭を軽く下げる。
「弟からアレコレ聞いているぜ!」
「ちょ、兄貴!それは秘密だって言ったろ!?」
「そうだったか?すまんすまん!」
焦るホップに、けらけらと笑うダンデ。アレコレってなんだろうなぁ、とミナトは思いながら、二人を見ていた。
「さて、知っているとは思うが、自己紹介しようか」
ミナトの方を向き、ニコッと笑う。
「俺は、ガラル地方で最強、そしてリザードン大好きなポケモンチャンピオン、人呼んで、無敵のダンデだ!」
「ダンデさん……俺は、ホップの親友のミナトです。よろしくお願いします」
「ああ、よろしく!」
ダンデがすっと手を差し出す。ミナトは少しだけ躊躇したが、ダンデは大丈夫だと知っている為、ギュッと握手をした。ホップがそんな二人を見て満足そうに頷く。
「よし、兄貴、ミナト、家まで競走な!」
ホップが走り出す。
「相変わらず、ホップは競争が好きだな。ポケモンバトルも、いい競争相手がいれば、もっと強くなれると思うんだが……」
確かにそうかもしれない、とミナトは思った。ダンデのバトルの考察している姿を見ていると、もっと強くなれるはずなのに、って思っていたから。
「ほら、早く!」
ホップが、少し離れたところで二人を呼ぶ。
「ホップが呼んでることだし、俺達も行くか」
「ですね」
「それでは皆さん!レッツチャンピオンタイム!」
リザードンは先に飛んで行った。二人も全力で走り出す。やはり体格の違いもあり、ダンデ、ホップ、ミナトの順番で着いた。体力も違うことも分かる。ミナトは息が切れていたが、ダンデとホップは余裕があった。
「……二人とも、凄い」
「そうかぁ?」
「ロードワークするのが日課だからな!これぐらい朝飯前だ」
ミナトは、自分の体力が落ちていることを実感し、少し悔しかった。外に出る機会が極端に少なくなったからだろうと冷静に分析し、もう少し体力付けようと考えた。
「ミナト、今から兄貴にポケモン見せてもらうつもりなんだけど、どうする?中で待っててもいいぜ」
少しバテているミナトを気遣って、中で休むか?と声を掛ける。しかし、ミナトは首を横に振る。
「一緒に、見たい。良いですか?」
「勿論さ!是非見てほしい!実はホップに一匹プレゼントするつもりなんだ。最強のチャンピオンから最高の贈り物!素敵なポケモン達による、ご機嫌なアピールタイムだ!どんなポケモンがホップに合うか見てやってくれ!」
ダンデが3つのモンスターボールをバトルコートに向かって投げる。
「草のポケモン、サルノリ!炎のポケモン、ヒバニー!そして……水のポケモン、メッソン!」
サルノリは木に登り、ヒバニーはコートを駆け回り、メッソンは池に入って泳ぐ。それぞれが、それぞれの過ごし方をしていた。
「かわいい」
「だろう?皆違って皆良い!選ぶのは迷うぞ、きっと」
しばらくそのまま様子を伺っていると、メッソンがピューっと吐いた水がヒバニーにあたり、びっくりしたヒバニーがサルノリが居る木の枝に頭突きをして、サルノリが遊んでいた木の実が池に落ちて、びっくりしたメッソンが池から飛び出てきた。めしょおおおっ!と大泣きするため、つい気になって近くによって抱き上げた。
「大丈夫だよ 」
とんとん、と背中を優しく叩いてあやす。ヒバニーとサルノリも寄ってきて、一緒に励ましてくれた。すると、泣き止んでニコッと笑ったので、ミナトは安心して地面にそっと下ろした。
「ミナトくんは、ポケモンが好きなんだな」
「はい、もちろんです」
「そうか」
ダンデは少し考えるような仕草をする。
「兄貴」
「……ああ、分かってるよ」
ホップが窘めるかのようにじっと見つめ、声を掛ける。ダンデには何が言いたいのか分かっていたため、口を噤んだ。
「さて、ホップ。どうする?」
「えー!みんないいんだよなぁ、どうしよう、迷うな」
皆の顔を見て、誰がいいかなぁ、とホップは一生懸命考える。でも、中々決まらない。
「なあ、ミナト!俺にはどいつが合うと思う?」
「え?」
「なんか、迷っちゃってさ。皆いい子たちだろ?ミナトが選ぶやつに間違いはないと思うからさ、選んでくれね?」
「俺が?いいの?」
「おう!」
実はミナトは、この子ってホップと気が合いそうだなぁ、って思っていた子が居る。その子を抱き上げてホップの前に差し出した。
「ヒバニーか?」
「うん、皆を明るく照らす燃え上がる太陽、って感じがして、ホップに合うんじゃないかな?」
ヒバッ!と元気よく返事をする。キラキラした目でホップを見ており、俺を選んでくれ!と言っているようだった。
「……よし!決めた!ヒバニーにする!ミナトが決めてくれたし、コイツも俺と一緒に行きたいみたいだしな!」
いえーい!と拳を合わせるホップとヒバニー。ミナトも、もう既に仲良くなりそうな二人に顔を綻ばす。
「決まったみたいだな!よし、じゃあサルノリとメッソンは、俺と共に行こうか」
ダンデがそう言うと、サルノリは喜んで返事をしたが、メッソンはしょぼん、としていた。ミナトはそれに気付いて、声を掛ける。
「どうしたの、メッソン。ダンデさんといけるって、すごくいいことだと思うけどな」
すると、めしょお!と言ってミナトに飛び着いた。ミナトはびっくりして、メッソンはキャッチできたが、倒れ込んでしまった。
「どうやら、メッソンは君のことを気に入ったらしいな」
「……やっぱり、そうなんですかね」
ダンデが、ニコニコしながら嬉しそうに言うが、ミナトは少し困ったような表情をしながら、起き上がった。
「メッソン、ごめん。俺はお前とは一緒にいられないよ……」
そう言って離そうとするが、やだやだ、というかのように、服をギューッと掴んで離さない。涙もポロポロとこぼれ落ちていた。
「……どうしよう」
「ミナトくん。君は本当にポケモンを持たなくていいのか?」
「え?」
「兄貴!」
ホップが制止をかけても、ダンデは止まらない。
「君はポケモンを愛しているだろう?ポケモンと共に過ごす喜びを知っているだろう?」
肩を掴みじっと目を見つめる。ミナトはダンデの瞳に囚われて動けなくなる。
「いつまでも苦しみに囚われて未来を見ないでいいのか?ここに君を求めているポケモンが居るのに?本当にそれで君は後悔しないのか?」
ダンデに問い掛けられて、ミナトはネックレスをぎゅっと握る。
(こわい、こわい、こわい……でも、)
そして思い出す。あったのは、苦しいことだけじゃない。楽しい思い出の方がいっぱいあった。相棒たちと切磋琢磨して、チャンピオンを目指した日々は、とても充実していて、最高だった。
「俺は……また、前に、進めるかな……?」
ポロポロと涙がこぼれ落ちる。メッソンにその涙が当たり、めしょお!?とメッソンが慌て始める。何とか涙を拭こうと手を伸ばすが、小さすぎて届かずどうしていいか分からない。そして、めしょおおお!とミナトと一緒に泣き始めてしまった。
「ミナトくん、もう一度聞こう。君は本当にポケモンを持たなくてもいいのか?」
ミナトは首を横に振る。そして、涙を拭きダンデを見上げる。
「俺は、もう一度、ポケモンと一緒に、頑張りたい」
胸元で泣いていたメッソンを撫でる。
「メッソン、さっきはゴメンね。俺が、弱虫だった……」
メッソンは泣き止み、不思議そうに見上げる。
「ミナト、お前……」
「ホップも、ありがとう。俺の事を、守ろうとしてくれて」
心配して駆け寄ってくれたホップには礼を言った。
「俺……メッソンと、もう一度、頑張ろうと思う。まだ、怖いけど……ホップが、居てくれるだろ?」
上手くは笑えてはないが、にへら、と笑って言うため、ホップはミナトの頭をぐしゃぐしゃっと撫でた。
「当たり前だろ!俺たちは親友だからな!」
ミナトが笑うならと、安心させるようにホップも豪快に笑った。
「メッソン……そうだな、君の名前は……ブルーネ。どうかな?」
最初は頭を傾げていたが、自分の名前だと気付き嬉しそうに笑い、めしょっ!と返事をした。
「ブルーネ、俺はミナト。よろしくね」
めしょめしょ!と楽しそうに手を振る。少し癒されながら、次はダンデと向き合う。
「ダンデさん、ありがとうございます」
「ん?何がだ?」
とぼけたフリをするので、ミナトも深くは突っ込まなかった。
「……俺、頑張りますね」
「そうか!楽しみにしているよ!」
ポンポン、と優しくミナトの頭を撫でた。
「さてと、サルノリは俺、ヒバニーはホップ、メッソンはミナトくんが育てることになった。これからどう成長していくのか、楽しみだな!」
「俺、絶対兄貴に勝てるメンバーを育てるからな、覚悟しとけよ!」
「お、ついにやる気になったか!楽しみにしているぜ!」
兄弟が楽しそうに話していると、ミナトはクイクイ、とホップの服を引っ張る。
「ん?どした?」
「俺も、頑張るから」
「おう!一緒に頑張って兄貴倒そうぜ!」
肩を組み、打倒兄貴!と叫ぶ。
話が纏まったところで、タイミング良く母親たちが現れ、「ご飯ができたわよ」と言う。ポケモンたちも一緒に、仲良く皆でバーベキューをした。
ダンデと出会い、新たなポケモンと生きていくことを決め、どのように変わっていくのか。それは誰にも分からない。
Nice to meet you.
(あなたたちと出会って、また物語が始まったんだ。)
スマホロトムが騒ぐ。うたた寝していたため、その声にびっくりして身体がビクッと震えた。
「早くするロト!もう始まっちゃうロ〜!」
「ん……ゴメン。ありがとう、スマホロトム」
スマホロトムを手に取り、PokeTUBEでエキシビションマッチの生放送のページを開く。
「確か、今回はガラル地方のPRも兼ねてるんだっけ」
開いたらちょうど生放送が始まった所だった。リーグ委員長のローズが会場、そして生放送を見ている人達に語りかける。ガラル地方がいかに素晴らしいか、ポケモン、ポケモントレーナーとはなにか。盛り上がってきたところでローズがとある人物を呼ぶ。
「ガラル地方で最強のポケモントレーナー……チャンピオンダンデの戦いを皆様にお見せしましょう!!」
歓声が上がり、大きな音と共に煙の中から現れたのは、チャンピオンマントを羽織ったダンデ。周りを見渡し、いつものあのポーズ、リザードンポーズを決めた。観客たちは最高に盛り上がり、同じようにリザードンポーズをする。
「ダンデ!エキシビションといえど、お前の無敗記録、終わらせる!」
今回の相手は、ジムリーダーの最高峰、キバナ。闘争心剥き出しで立ち向かってくる。
「どんな試合でも負けないぜ!……リザードン、ダイマックスだ!」
繰り広げられる最高峰のポケモンバトル。胸が熱くなる。自分もあそこに混ざって勝負がしたい、とミナトは思った。
そのままその戦いを見続けていると、ピンポーンとインターホンが鳴った。ミナトは夢中で戦いを見ていたため、はーい、とミナトの母がドアを開ける。
「あら、ホップ君!いらっしゃい」
「お邪魔します!ミナト居ますか?」
「リビングに居るわ」
軽く挨拶を交わして、ホップはミナトが居るリビングへ向かう。
「ミナトー!迎えに来たぜ!」
しかし、返事はない。スマホロトムに映った試合に魅入っていたから。
「たく、相変わらず、何かに集中すると気付かないんだなー」
ホップは、優しくミナトの肩を叩く。すると、ピクリと反応し、ゆっくり振り向く。
「……ホップ、ごめん、気づかなかった」
「いいよ、別に!おニュースマホ買ったんだな」
「うん、母さんが、あった方が便利よ、って言うから、買ったんだ」
「そうか!よし、連絡先交換しようぜ!」
「うん」
電話番号とpokkeのIDを交換する。
「これでいつでも連絡取れるな!」
「そうだね」
二人で目を合わせて笑い合う。
「あ、そういや、今兄貴の試合見てただろ!エキシビションマッチ!」
「うん、見てた。やっぱり、凄い。トップ同士の戦いは、レベルが違うなって思った。どっちが勝ってもおかしくないくらいだったけど、やっぱりダンデさんの戦略は凄い。どんなにピンチになっても、逆転するんだ」
「だろだろ〜!兄貴はすげぇんだ!」
この二人がチャンピオンであり、ホップの兄貴であるダンデのことを語り始めると長くなる。ホップは生粋のファンであるのは周知の事実だし、そんなホップと一緒にいるミナト、散々話を聞かされているうちに詳しくなり、語れるほどにまでなった。だから二人が揃うと朝から晩まで語れるほどなのだ。それを知っているミナトの母が、ダンデのことを語り始めてしまったことに気付き、声を掛けた。
「ホップ君、今日は大事な日じゃないの?」
「あ!そうだった、そうだった!だからミナトを迎えに来たんだった!兄貴のことを語ってる場合じゃないぜ」
ガシリ、とミナトの手を取り、もう片方の手には近くにあったミナトのカバンを手に取る。
「今日は兄貴とミナトの初対面の日!へへ、やっと兄貴を紹介できる!俺はすっごく嬉しい!」
破顔し、ミナトの母に言う。ミナトの母も嬉しそうに微笑む。
「そうね、素晴らしい日だわ、今日は」
「母さん…」
「行ってらっしゃい。何かあったら、直ぐに連絡なさいね?」
「うん、行ってきます」
母に手を振り、ミナトはホップと共に家を飛び出す。ホップが持ってくれたカバンをしっかり受け取り、背負う。
「お邪魔しました!……ん?」
ホップが何かに気づく。ミナトもガンガンぶつかる音が聞こえたため、音が聞こえた方向を見た。そこには家の近くにある柵に突進しているウールーが居た。
「どうしたんだ?そっちはまどろみの森へ行く道だぞ?」
「もしかして、ここを開けようと、してる?」
「え、まじで!?おい、ウールー、ダメだぞ!禁止されてるんだから!」
身体を割り込ませてとっしんを止める。普通なら怪我をするんだが、ホップは自分の牧場で育てているウールーや手持ちのウールーといつも戯れている為、扱いに慣れており怪我はしなかった。
「ウールー、ここはダメだ!他の所にしろ!」
すると、渋々といった感じで動きを止め、その後コロコロとどこかに転がって行った。
「よかった、これで大丈夫……かな?」
「大丈夫さ!」
「ホップ、凄いね」
「そーかー?これぐらい当たり前だぜ!」
「さすがホップ」
ウールーが去っていってから、二人はホップの家に向かう。
「たっだいまー!」
着いてから直ぐにホップの母が出てくる。
「あら、ホップ。お帰りなさい、早かったわね?」
「ミナト連れてきただけだからなー」
「こんにちは、お邪魔します」
「あら、ミナト君、こんにちは。そういえば、今日はその日なのね!」
「そゆこと!」
「ダンデが帰ってくるまでまだ時間がかかるから、少しゆっくりしていくといいわ」
「ありがとうございます」
リビングの椅子に向かい合って座る。先程のように、語り始めて時間を忘れると良くないと思い、あと30分程度で来るだろうと予測して、スマホロトムでタイマーを30分後に設定した。ホップの母が用意してくれた飲み物を片手に語り合った。
「時間ロ〜!」
スマホロトムがタイムアップを告げる。まだ、ダンデは帰ってこない。
「兄貴、もしかして駅で迷ってる?」
「あの子ならやりかねないわね……ホップ、迎えに行った方がいいんじゃない?」
「だな!行ってくる!」
「ミナト君はどうする?ここに居ても良いわよ」
顔を伏せ少し考えた後、
「俺も、行ってきます。ホップが居るし、今日はその為に来たので」
と、言った。ホップの母は、そう、じゃあ行ってらっしゃい、と返して、笑って二人を見送った。
「ほら、行こうぜ」
「うん」
手を繋ぎ、駅があるブラッシータウンへ向かう。
「しかし、何で兄貴は家に帰ってくる道で迷うんだろうな。一本道だぜ?」
「うーん、多分だけど、草むらに入ってポケモン達を観察してるからじゃないかな。夢中になってどこに向かっていたのか分からなくなるのかも」
「ああ、なるほど。兄貴だもんなー」
ダンデのことを話しながら、草むらには入らず、真っ直ぐ向かっていくと五分もかからない。直ぐにブラッシータウンが見えた。そこには人集りが出来ている。
「兄貴だな、絶対」
「人気だもんね、ダンデさん」
二人は一番後ろから様子を伺う。リザードンは既にいた。チャンピオン!と呼ぶ声が飛び交い、ダンデが現れる。ワーッと盛り上がる人達の為に、ファンサービスとしてリザードンポーズをビシッと決めた。
「ブラッシータウンの皆さん!チャンピオンのダンデです!皆さんの為にもこれからも最強の勝負をします!!」
「我らが無敵のチャンピオン!あんたとリザードンは最高だ!」
「サンキュー!皆もポケモンを育てて勝負してくださいよ!そしてチャンピオンの俺に挑戦してくれ!」
ニコニコと手を振りながらそんなことを言う。その為、ファンの人達は大盛り上がり。
「私たちもダンデさんに憧れてポケモン勝負してます!」
「でもチャンピオンのリザードン強すぎるんだもん!」
女の人も子供たちも、嬉々としてダンデに話しかける。
「確かにリザードンは強い!他のポケモンたちも強い!だからこそ、最強のチャレンジャーと戦いたい!俺の願いは、ガラル地方のポケモントレーナー皆で強くなることだからね!」
リザードンもばぎゅあ!と鳴き、ダンデの言葉に賛同する。ミナトは少しだけ昔のことを思い出し、不安になる。無意識にネックレスを握っていると、ホップが繋いでいた手を力強く握り、安心させるように笑う。
「大丈夫だぞ!俺がいる!」
「……うん、ありがとう、ホップ」
強ばっていた身体の力がふっと抜ける。それが分かったのか、ホップは大きな声で手を振りながらダンデを呼んだ。
「兄貴ー!」
「!ホップ!!世界一のチャンピオンファンがわざわざ迎えに来てくれたか!」
ホップの声に気付き、ホップの方に歩いてくる。
「ホップ!お前背が伸びたな!そうだな……ズバリ、3センチ!」
「正解!流石兄貴、無敵の観察力だな!」
兄弟二人で楽しそうに笑い合う。やっぱり兄弟だから似てるなぁ、なんてミナトが思いながら見ていると、ダンデがホップの隣にいたミナトの存在に気づく。
「君は……?」
じっと瞳を見つめる。ミナトも緊張はしたが、ちゃんと見つめ返す。
「その瞳の色……わかった!君がミナト君だね?」
「はい、はじめまして」
ぺこり、と頭を軽く下げる。
「弟からアレコレ聞いているぜ!」
「ちょ、兄貴!それは秘密だって言ったろ!?」
「そうだったか?すまんすまん!」
焦るホップに、けらけらと笑うダンデ。アレコレってなんだろうなぁ、とミナトは思いながら、二人を見ていた。
「さて、知っているとは思うが、自己紹介しようか」
ミナトの方を向き、ニコッと笑う。
「俺は、ガラル地方で最強、そしてリザードン大好きなポケモンチャンピオン、人呼んで、無敵のダンデだ!」
「ダンデさん……俺は、ホップの親友のミナトです。よろしくお願いします」
「ああ、よろしく!」
ダンデがすっと手を差し出す。ミナトは少しだけ躊躇したが、ダンデは大丈夫だと知っている為、ギュッと握手をした。ホップがそんな二人を見て満足そうに頷く。
「よし、兄貴、ミナト、家まで競走な!」
ホップが走り出す。
「相変わらず、ホップは競争が好きだな。ポケモンバトルも、いい競争相手がいれば、もっと強くなれると思うんだが……」
確かにそうかもしれない、とミナトは思った。ダンデのバトルの考察している姿を見ていると、もっと強くなれるはずなのに、って思っていたから。
「ほら、早く!」
ホップが、少し離れたところで二人を呼ぶ。
「ホップが呼んでることだし、俺達も行くか」
「ですね」
「それでは皆さん!レッツチャンピオンタイム!」
リザードンは先に飛んで行った。二人も全力で走り出す。やはり体格の違いもあり、ダンデ、ホップ、ミナトの順番で着いた。体力も違うことも分かる。ミナトは息が切れていたが、ダンデとホップは余裕があった。
「……二人とも、凄い」
「そうかぁ?」
「ロードワークするのが日課だからな!これぐらい朝飯前だ」
ミナトは、自分の体力が落ちていることを実感し、少し悔しかった。外に出る機会が極端に少なくなったからだろうと冷静に分析し、もう少し体力付けようと考えた。
「ミナト、今から兄貴にポケモン見せてもらうつもりなんだけど、どうする?中で待っててもいいぜ」
少しバテているミナトを気遣って、中で休むか?と声を掛ける。しかし、ミナトは首を横に振る。
「一緒に、見たい。良いですか?」
「勿論さ!是非見てほしい!実はホップに一匹プレゼントするつもりなんだ。最強のチャンピオンから最高の贈り物!素敵なポケモン達による、ご機嫌なアピールタイムだ!どんなポケモンがホップに合うか見てやってくれ!」
ダンデが3つのモンスターボールをバトルコートに向かって投げる。
「草のポケモン、サルノリ!炎のポケモン、ヒバニー!そして……水のポケモン、メッソン!」
サルノリは木に登り、ヒバニーはコートを駆け回り、メッソンは池に入って泳ぐ。それぞれが、それぞれの過ごし方をしていた。
「かわいい」
「だろう?皆違って皆良い!選ぶのは迷うぞ、きっと」
しばらくそのまま様子を伺っていると、メッソンがピューっと吐いた水がヒバニーにあたり、びっくりしたヒバニーがサルノリが居る木の枝に頭突きをして、サルノリが遊んでいた木の実が池に落ちて、びっくりしたメッソンが池から飛び出てきた。めしょおおおっ!と大泣きするため、つい気になって近くによって抱き上げた。
「大丈夫だよ 」
とんとん、と背中を優しく叩いてあやす。ヒバニーとサルノリも寄ってきて、一緒に励ましてくれた。すると、泣き止んでニコッと笑ったので、ミナトは安心して地面にそっと下ろした。
「ミナトくんは、ポケモンが好きなんだな」
「はい、もちろんです」
「そうか」
ダンデは少し考えるような仕草をする。
「兄貴」
「……ああ、分かってるよ」
ホップが窘めるかのようにじっと見つめ、声を掛ける。ダンデには何が言いたいのか分かっていたため、口を噤んだ。
「さて、ホップ。どうする?」
「えー!みんないいんだよなぁ、どうしよう、迷うな」
皆の顔を見て、誰がいいかなぁ、とホップは一生懸命考える。でも、中々決まらない。
「なあ、ミナト!俺にはどいつが合うと思う?」
「え?」
「なんか、迷っちゃってさ。皆いい子たちだろ?ミナトが選ぶやつに間違いはないと思うからさ、選んでくれね?」
「俺が?いいの?」
「おう!」
実はミナトは、この子ってホップと気が合いそうだなぁ、って思っていた子が居る。その子を抱き上げてホップの前に差し出した。
「ヒバニーか?」
「うん、皆を明るく照らす燃え上がる太陽、って感じがして、ホップに合うんじゃないかな?」
ヒバッ!と元気よく返事をする。キラキラした目でホップを見ており、俺を選んでくれ!と言っているようだった。
「……よし!決めた!ヒバニーにする!ミナトが決めてくれたし、コイツも俺と一緒に行きたいみたいだしな!」
いえーい!と拳を合わせるホップとヒバニー。ミナトも、もう既に仲良くなりそうな二人に顔を綻ばす。
「決まったみたいだな!よし、じゃあサルノリとメッソンは、俺と共に行こうか」
ダンデがそう言うと、サルノリは喜んで返事をしたが、メッソンはしょぼん、としていた。ミナトはそれに気付いて、声を掛ける。
「どうしたの、メッソン。ダンデさんといけるって、すごくいいことだと思うけどな」
すると、めしょお!と言ってミナトに飛び着いた。ミナトはびっくりして、メッソンはキャッチできたが、倒れ込んでしまった。
「どうやら、メッソンは君のことを気に入ったらしいな」
「……やっぱり、そうなんですかね」
ダンデが、ニコニコしながら嬉しそうに言うが、ミナトは少し困ったような表情をしながら、起き上がった。
「メッソン、ごめん。俺はお前とは一緒にいられないよ……」
そう言って離そうとするが、やだやだ、というかのように、服をギューッと掴んで離さない。涙もポロポロとこぼれ落ちていた。
「……どうしよう」
「ミナトくん。君は本当にポケモンを持たなくていいのか?」
「え?」
「兄貴!」
ホップが制止をかけても、ダンデは止まらない。
「君はポケモンを愛しているだろう?ポケモンと共に過ごす喜びを知っているだろう?」
肩を掴みじっと目を見つめる。ミナトはダンデの瞳に囚われて動けなくなる。
「いつまでも苦しみに囚われて未来を見ないでいいのか?ここに君を求めているポケモンが居るのに?本当にそれで君は後悔しないのか?」
ダンデに問い掛けられて、ミナトはネックレスをぎゅっと握る。
(こわい、こわい、こわい……でも、)
そして思い出す。あったのは、苦しいことだけじゃない。楽しい思い出の方がいっぱいあった。相棒たちと切磋琢磨して、チャンピオンを目指した日々は、とても充実していて、最高だった。
「俺は……また、前に、進めるかな……?」
ポロポロと涙がこぼれ落ちる。メッソンにその涙が当たり、めしょお!?とメッソンが慌て始める。何とか涙を拭こうと手を伸ばすが、小さすぎて届かずどうしていいか分からない。そして、めしょおおお!とミナトと一緒に泣き始めてしまった。
「ミナトくん、もう一度聞こう。君は本当にポケモンを持たなくてもいいのか?」
ミナトは首を横に振る。そして、涙を拭きダンデを見上げる。
「俺は、もう一度、ポケモンと一緒に、頑張りたい」
胸元で泣いていたメッソンを撫でる。
「メッソン、さっきはゴメンね。俺が、弱虫だった……」
メッソンは泣き止み、不思議そうに見上げる。
「ミナト、お前……」
「ホップも、ありがとう。俺の事を、守ろうとしてくれて」
心配して駆け寄ってくれたホップには礼を言った。
「俺……メッソンと、もう一度、頑張ろうと思う。まだ、怖いけど……ホップが、居てくれるだろ?」
上手くは笑えてはないが、にへら、と笑って言うため、ホップはミナトの頭をぐしゃぐしゃっと撫でた。
「当たり前だろ!俺たちは親友だからな!」
ミナトが笑うならと、安心させるようにホップも豪快に笑った。
「メッソン……そうだな、君の名前は……ブルーネ。どうかな?」
最初は頭を傾げていたが、自分の名前だと気付き嬉しそうに笑い、めしょっ!と返事をした。
「ブルーネ、俺はミナト。よろしくね」
めしょめしょ!と楽しそうに手を振る。少し癒されながら、次はダンデと向き合う。
「ダンデさん、ありがとうございます」
「ん?何がだ?」
とぼけたフリをするので、ミナトも深くは突っ込まなかった。
「……俺、頑張りますね」
「そうか!楽しみにしているよ!」
ポンポン、と優しくミナトの頭を撫でた。
「さてと、サルノリは俺、ヒバニーはホップ、メッソンはミナトくんが育てることになった。これからどう成長していくのか、楽しみだな!」
「俺、絶対兄貴に勝てるメンバーを育てるからな、覚悟しとけよ!」
「お、ついにやる気になったか!楽しみにしているぜ!」
兄弟が楽しそうに話していると、ミナトはクイクイ、とホップの服を引っ張る。
「ん?どした?」
「俺も、頑張るから」
「おう!一緒に頑張って兄貴倒そうぜ!」
肩を組み、打倒兄貴!と叫ぶ。
話が纏まったところで、タイミング良く母親たちが現れ、「ご飯ができたわよ」と言う。ポケモンたちも一緒に、仲良く皆でバーベキューをした。
ダンデと出会い、新たなポケモンと生きていくことを決め、どのように変わっていくのか。それは誰にも分からない。
Nice to meet you.
(あなたたちと出会って、また物語が始まったんだ。)