京都校の一年だったけど東京校の一年になりました
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気配を察することが出来なかった。
まだ包帯も巻けていない、前髪で隠していても
六眼の前ではもう意味もないも同然だった。
今まで接触を禁止されていたため
どんな時でも五条を避けていた名字は
内心、心臓バクバクだった。
名字が持っていた包帯を投げて遊ぶ五条
その眼は逃がさないとでもいうように視線を逸らさない
「学校上手くいってない? 嫌われてんの?」
容赦なく聞いてきた五条にショックを受けつつも
「はい」と頷いた名字に「あ、そうなの」と五条は
少し呆気にとられつつ名字を見つめた。
「ま、今聞きたいのはそんなことじゃないんだけどね」
包帯を放り投げた五条はドンッと
手荒に名字の身体を壁に押し付けた
身長差があるため五条はグッと前屈みになりながら
目隠しを下げて六眼で高圧的に名字を見つめた
「名字家は何を企んでる」
ちらほらと自分の周りで姿を現しては消えを繰り返し
正体を知ることのないまま十年の時が過ぎた
そしたら急に保護した少女として京都校に入学した
そんなの納得できるわけないと五条は睨む
「傑はずっとオマエを探してた、妬けるくらいにな」
傑、という名前に名字が少し反応を見せる
それに目聡い五条はすぐ気付き、両手を掴み
まとめて上にあげて押さえつける。
「……オマエ、傑に何した」
双子を保護してから夏油は高専を唐突に休学した
親友である五条に何の説明もなく、自身を避けるように
いつの間にか家族とは絶縁しているし
各地から出会った呪術師や呪詛師たちを
平等に仲間にして新しい家族なんて言って
名前も知らない術師の少女を探し回ってる
「親友じゃいられない、なんて言われてそれっきりだ」
今日、名字が来ると知って
任務の予定ずらそうとするくらいには
夏油は名字へ会うことを望んでいたよと
五条は乾いた笑いを溢しながら名字にそう言った。
「名字家も妙に君との接触を全面的に禁じてたしね」
知ってた?と尋ねられ名字は首をふるふると横に振る
「ふーん…」と呟きながら五条は片手を伸ばす
前髪に伸ばされた手に咄嗟に首を横に動かした名字
「隠されるとさ…余計に視たくなるんだよね」
ゆっくりと五条は名字の前髪をかき上げた
大きな傷跡と赫の眼が五条の眼に捉えられた
「…………は?」
六眼から得た情報に五条の思考回路が停止する
無表情の名字との無言の見つめ合いは長く続いた
「マジかよ、オマエそれ…マジか?」
かなりの衝撃なのか語彙が無くなった最強は
まじまじと六眼で近距離で見つめられる
もし他の人が見ていたら通報案件な光景だ
名字は観念したようにコクリと頷いた
その瞬間、五条による質問攻めが行われた
興奮からか名字の両脇に手を突っ込み
名字を高い高いする。
それが少し楽しかった名字は
そのまま状態で質問に答える
「天与呪縛あるよな?」「はい」
「術式も使えんの?」「はい」
「当主が隠してたのは赫眼か?」「はい」
「桑原家は?」「……?」
「あ…? 知らねぇの?」「はい」
ピタッと五条からの質問が止む。
その顔は何か思案するように表情を歪めて
そっと名字の身体を地面に降ろした
こちらを見上げる名字に再び手を伸ばし
前髪を触る、さっき見えた傷跡を五条はジッと見た
その傷跡は酷く抉れた傷ではなく
刃物で綺麗に深く傷がつけられたのが分かる
「これ、やったの……いや、何でもない」
五条は名字の顔から手を離し目隠しをつけ直した
「…八つ当たりしてごめんね」
そう言って名字の頭を撫でて地面に落ちた包帯を拾う
「これもう汚いから硝子に別の貰っておいで~」
と、手を振りながら去っていく背中にお辞儀をする
包帯は申し訳ないのでそのまま目隠しに使用した
見学申請は夜蛾学長が遅れていたことで
遅刻することは無く、逆に長時間待つことになった。