京都校の一年だったけど東京校の一年になりました
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〝面倒だが、高専から交流会への見学を推奨された〟
ある日、唐突に当主から任務帰りの車にて説明を受け
姉妹校交流会なるものに名字は参加することとなった
そのために東京校の高専へと向かう必要があり
東京の任務終了後、名字は一人高専へと向かった
懐かしい景色に、忘れかけていた人を思い出しながら
会議が行われる場所へと向かっている途中
複数の気配を感じ取り、足を進めていると
殺気のようなものを感じ取り、咄嗟に前に出た
「――――どけ」
怒りが一周して無になったのか表情の抜け落ちた東堂が
名字を見ながら、威圧的に彼女へそう告げた。
彼からの殺気を感じながら名字は何故東堂と真依が
高専に来ているのかを考えていた。この状況も謎だ。
「……名字」
背後から驚いたように名前を呼んだ伏黒に
お久しぶりです、というように少し振り返り頭を下げた
その隣にいた釘崎は初めましてだったが
どうやら名字を知っているようで
どこか困惑しつつも彼女をまじまじと見つめていた。
混沌とした状況の中で伏黒が何か声をかける前に
東堂の拳が名字の顔を鷲掴みにして、そのままの勢いで
頭を地面へと叩きつける。地面が割れるほどの衝撃を
受けている間にも東堂は握りつぶさんとばかりに
ミシミシと握力を強くして追い打ちをかけていく
激しい痛みに意識が少しずつ遠のきそうになるも
「おい東堂やめろッ!!」
伏黒の大声と共に獣が吠えた
フッと圧力が消えたことで東堂が離れたことを知った
「名字!」
微かに途絶えなかった意識の中で声が聞こえた
知らない女性の声に初めましての人かと気配で察する
直後、一発の銃声、真依だろうなと思いつつ
このまま見えない視界ではまずいだろうかと考える
また東堂と真依を怒らせてしまった状況で
東京校の二人を巻き込ませられない。
「何すんのよ」
「知らないわよね、ソレが人形だってこと」
反転術式を自身に施しながら意識を保っていると
少し苛立ったような声が聞こえた。
喧嘩になる前に自分が離れるべきだろう
会議にも参加しなければならないし
と、任務後でかなり疲れている状態の中、最善を考える
当主による詰め込まれた任務で寝ずにここまで来たため
いっそこのまま寝てしまいたいと名字は秘かに思う
「気にしなくていいのよ、痛みなんて感じてないから」
「どーなってんだよコイツら……」
後頭部は物凄く痛いし、血で染まった包帯は気持ち悪い
しかし、その感情が表に出てくることは無いため
立ち上がった名字に釘崎が心配の声をかけられても
「はい」
とただそれだけの返答しか返せない。
傍から見れば血を垂れ流す人形にしか見えないのだろう
「ほらね」
冷たい声が背中に刺さった。
「―――ほんっと、気色悪い」
複数の銃声が聞こえたと思ったら
身体の節々が弾け飛んだかと思えるほどの激痛が襲う
「名字!?」
よろめいた身体を受け止めてくれた伏黒に
名字は優しい人だなと思いつつ状況把握のために
眼の力を使った。それぞれの状況を瞬時に分析し
伏黒へ呪力を付与し念力術式を発動させる。
彼が怪我しない場所へと避難させてることが出来て
それに良かったと安心しながら背後からの攻撃を受ける
宙に舞う感覚に身を委ねながら名字は意識を手放した。
* * * * * *
ゆさゆさと揺れる感覚で名字の目が覚めた
瞼を開けると身体の節々が悲鳴をあげていた
後頭部がジクジクと熱を持っている
反転術式を施しながら身体を起こす
そうしていると解れたのか血塗れの包帯が緩まり
視界に名字の身体を支えていた式神が映った
包帯を解きながら心配そうにこちらを見つめる式神に触れ
視える情報に伏黒の式神かと観察する。
「…ありがとうございました」
なでなで、と控えめに告げると式神である鵺は
主の元へと飛び立った。それを見届けつつ
眼を使って確認すると意識を失っていたのは少しだけで
彼らが戦闘しているのが視えた。かなり負傷している。
血塗れの包帯嫌だな…と思いつつ包帯を眺める名字
誰一人気付くことはないだろうが名字は疲れている
このまま大の字で寝れるくらいには今面倒くさい。
任務後自分の足で高専に向かったら一方的に殴られる
疲労により反転術式もそこまで集中出来ていない
けど、伏黒と釘崎の所へ向かわなければ
そう考えていた時だった「誰だよオマエ」と
背後から声が聞こえて振り返ると
ブンッと振り落とされた竹刀が名字の顔面へと迫り
長い前髪が微かに揺れた。前髪越しに見える顔は
どこか真依に似ており、名字は首を傾げた。
「オイ、答えろよ」
こつんと少し額を竹刀でつつかれて首が仰け反る
「おかかー…」
「こらこら、ソイツかなりボロボロだぞ」
「知らねぇよ」
真依の双子の姉である真希の背後には
真希と同じく二年の狗巻とパンダが立っていた。
「とりあえず東堂はあっちにいんだろ」
パンダは音のする方へ耳をピクピクとさせ
真希に声をかける。真希はため息を吐くと竹刀を
名字へと向けるのをやめて音の方へ駆ける。
「棘、行けるか?」「しゃけ!」
パンダ…パンダがいる…と名字は未知との遭遇に
呆気に取られていると狗巻によって横抱きにされ
三人についていくこととなった。
身体が悲鳴をあげているが「高菜?」と聞かれ
何となく肯定の意を示すために名字は頷いた。
「伏黒様たちは東堂様と禪院様に……」
「何で様付けなんだ?」
「チッ、やっぱあの二人かよ」
疲労困憊の名字が三人へ説明をすると
パンダがすぐさま様付けに突っ込んだ
丁寧な敬語が話しやすいのと家では様付けでなければ
殴られるのが常識だったため染みついていたのだ
が、そんな説明をする気力は名字には無い。
真希が名前しか出していない情報で
名字の伝えたいことを粗方察してくれて助かった
真希は自分は釘崎の方へ行くとだけ伝え
狗巻とパンダには伏黒の方を任せ、二人も頷いた。
「オマエ、耳塞いでおけよ」
パンダにそう言われた名字はコクンと頷き
両手で耳を塞いだ。それによしと二人は東堂へと突撃した
狗巻が優しく地面に降ろしてくれてそれに会釈して
名字は地面に座り込んだ伏黒の元へと向かっていく
「…無事か」「はい」
反転術式を施しながら彼からの問いに名字は頷いた
ダラダラと頭から垂れている血にごめんなさいと
謝りつつ名字は反転術式に集中した。
しかし、それを止めるように伏黒は伸ばされた手を掴み
彼女にその場に座るように声をかけた。
くいっと引っ張られたのでいつもの如く正座をすると
少し微妙な顔で名字を見た。実家事情を伏黒は知らない
東堂が暴れるだけ暴れて満足気に帰っていくため
名字も学長と合流せねばと本来の目的を思い出し
立ち上がろうとするもガシッと伏黒によって
腕が掴まえられた、顔をそちらへと動かし名字は
伏黒にどうしたのかという意味を込めて名前を呼ぶ
名前を呼ばれた伏黒はぱちぱちと瞬きを繰り返した
疲れて立てないのだろうか、と思った名字は
自分が立ち上がるついでに腕を引っ張った
「悪ぃ」
伏黒が何故か立ち上がりながら謝ったため首を横に振る
「たかな~?」「二人とも血みどろだな」
狗巻とパンダは二人の元へと近づき、酷い有様を見比べた
「ツナマヨ?」
狗巻は伏黒に名字と知り合いなのかという風に尋ねる
伏黒は名字が京都校の一年だと説明をすると
二人は名字の正体に納得したように頷いた。
しかし、二人は名字を見つめたまま首を傾げる
それに合わせて名字も少し首を傾げた
伏黒は自分に集まった視線に少しため息を吐くと
「俺じゃありませんよ……東堂です」
と、何故名字がこんなにも怪我をしていたのか
その原因である東堂の名前を出した。
「いや、でも京都校だろ?」
「俺にも分かりません」
驚いて目を見開く二人に伏黒は首を横に振った
「…ま、とりあえず真希たちと合流するか」
「しゃけ!」
パンダはポリポリと身体をかきながら二人の怪我を見て
優先事項をパッと切り替えて伏黒を担いだ。
狗巻は名字に近づき「明太子!」と声をかける
名字はもう歩けるという風に首を横に振るも
狗巻は「おかか!」と言って強制的に横抱きにする
駆け出した狗巻に「ありがとうございます」と
名字がお礼を言うと「しゃけ!」と狗巻は笑った
高専内にて待機している反転術式の使い手である
家入硝子の元へと先に到着していた釘崎と真希と合流
初めましてと、まともな交流を名字は行うことが出来た
付き添いだった狗巻とパンダは先に戻っていき
釘崎も回復したため真希たちも訓練へ戻ろうとする
名字とのお別れの直前に
「真依が悪かったな」
釘崎から話を聞いていた真希は名字の怪我を見て謝る
いいえと名字は首を横に振ると
「あたしは真希でいい、様もいらねぇよ」
とだけ言って先に釘崎と一緒に訓練へと戻った
名字は素敵なお姉さんだなと思いつつ
こちらに手を振る釘崎と真希にお辞儀をした。
伏黒は家入に名字を優先させるように告げるも
名字は反転術式を使えるから包帯だけ貰えれば
学長たちの元へ向かうと伝えるとそれは正直助かると
家入は告げて綺麗な包帯を名字へと渡した。
「じゃあな」
と告げる伏黒にお辞儀をして名字は一人校舎を歩く
「随分派手にやられたね、いじめられてる?」
スルッとすり抜けていくように包帯が取られた
背後を見ると「初めまして」とニッコリ微笑む
現代最強の呪術師、五条悟がそこに立っていた
六眼が、こちらを視ている。
「ずーーーーーーーーーーっと会いたかったよ、君に」