セフレの夏油を愛してる。
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わいわいと騒がしい、いつもなら参加なんてしない
会社の飲み会で一人端っこでお酒をちびちび飲んでいた
別に、お酒が弱いわけじゃないし、嫌いでもない
けど今までの飲み会には来る意味がなかった
だって、〝夏油さん〟がいなかったから…
視線を控えめに動かし遠く離れた輪の中心にいる
人物へと移す。長い黒髪をハーフアップのお団子にして
ニコニコと人当たりの良い笑顔を浮かべている男性
勤めている会社の社長の親友で滅多に飲み会になんか
参加することが無いくらい忙しい人気者
私がずっと好きだなぁ…となってしまっている張本人だ
夏油さんのことが好きにならない女性って存在するのかな
その人は多分社長派なんだろうな…社長も確かに芸能人が
霞むくらいには国宝級のイケメンだけどもうなんか
私の手が届かない芸術作品というか……
まぁそれは夏油さんも一緒なんだけど、でも……―――
あ、目が合った。多分、こっちに来る。
これは自惚れとかじゃなくて飲み会に来てみたら
私でも夏油さんに近づける一つの可能性に気付き
だらだらと長時間意味も無く飲み会に残っていた
すっかり出来上がってしまった集団をスッと抜けて
まず対面を通り、クスッと笑いながら後ろに回り
ごく当たり前のように私の隣に座った夏油さん
「やぁ、無理してないかい?」
夏油さんより低い位置で掲げられたグラスに乾杯する
振りをして直接グラス同士はくっつけなかった
既にずっと前から手をつけていない乾杯用のグラス
気持ち悪いくらいに夏油さんを堪能するために
観察の方をさせてもらっていたので
ある程度気付いたことがあった。
その一つが潔癖症っぽいなということなのだが…
まぁこんなのはモテる女からしたら察するのは常識で
わざわざ口にすることでもないだろうから
「お酒強いので…」と返答するだけにしておいた。
「……―――二人で抜けちゃうかい?」
お茶目な笑顔でそう言われて
顔がいいと思いつつ案外早かったなと
ふと冷静に感じている自分がいた。
周りがうるさかったんだろうな…声掛けてもよかったか
ごめんなさい夏油さんと心の中で観察してたことに
謝罪をしながらお酒の残ったグラスを置いて
「私なんかでよければ」と頷いた。
たびたび目が合うなかで気付いた夏油さんの目的
何かを探している目はどこか冷たくて
あぁ、夏油さん夜の相手とか探すんだなぁ…と見ていた
その視線を自身の胸に移す。メイク直しはした。
けど特にスタイルが良いわけでもない身体
下着の色も思い出せない…セットじゃないのは確か…
くっ…もう少し女を捨てるのやめておけばよかった…!
それでも私なんかに可能性があるのならばと粘ったが
まさか本当に夏油さんと…そう思いながらお団子を眺める
どうか、ふと我に返りませんようにと願っていると
こちらに振り返った夏油さんと目が合った
「…ここでいいかな?」
え、と視線を動かすとそこはホテルの前で
「あ、はい、大丈夫です」
とムードのない返事をしてしまった。アホ。私はアホ。
「……本当に意味分かってる?」
「わかってます…はい…一応…すみません…」
肩を揺らしている夏油さんに少し恥ずかしくなって
縮こまって髪の毛を整えているとすらっと手を取られる
「いこうか」
手大きいなと感じながら頷いた。
潔癖症じゃなかったのかも…と場違いなことを考える
「部屋どれにしようか?」
「え…あ…程よい所で」
安すぎず、無駄に高くない部屋にした方がいいだろうと
パネルを見ていると吹き出すように笑われた。
あ、多分今夏油さんが素で笑ってる。
「じゃあここで」
「あ、程よい…」
正直、ど緊張してるせいか変な肯定の仕方になった
ちゃんとムードを作ろうとしてくれていたのに
夏油さんをゲラゲラと笑わせてしまった。
バカですみません…ほんと…
乙女ゲームだったら印象最悪だっただろうな…
悉く馬鹿を露呈している自分にため息を心の中で吐いた
* * * * * *
ちゃんと、それなりに経験はある。
けどワンナイトは初めてだった
なんなら彼氏も数年間いなかったし
行為自体、久しぶりだ
今の自分の状況を思い返していると
え、何故私にしたの? そして何故私は引き受けた?
と我に返ってしまう。どうしてこうなった。
ちゃ、ちゃんと役割を果たすことが出来るだろうか
本番直前になって不安になりながらシャワーを終えて
夏油さんと入れ替わる。この間に何かしら準備すべき…?
あぁ、せっかくなら最後まで問題なく終えたい…
ばたばたと夏油さんを追いかけ扉越しに声をかける
その声が弱弱しかったせいか扉が少し開かれ
「どうしたの?」
夏油さんは髪を解きながら優しく声をかけてくれて
少し扉に身を潜めながらおずおずと正直に話す
「えと…実は凄い久しぶりで…ちゃんとシたいので…」
準備とか―――とまだ話している途中で腕を掴まれ
身体がグイッと引っ張られ身体が前のめりになった
入った瞬間、閉じた扉に背中を押し付けられる
痛くはなかったけど派手な音が部屋に響いた
顔の両端にゴツゴツとした手
見上げると視界が黒い髪で覆われる
綺麗な顔がすぐ、目の前にあった。
このまま食べられるんじゃないかと思えるほどのキス
分厚い舌は咥内を暴れ回った。砕けそうになる腰は
足の間に挟まれた夏油さんの足で支えられ、刺激された
へろへろになり、息も絶え絶えな私とは正反対に
余裕綽々な夏油さんは口元を舌で舐めると
「ベットで待っててね」
そう言って夏油さんはシャワーを浴びに浴場へ
「は…はい…」
へたり込みながら呟く私の声はシャワーの音で消えた
夏油さんとの一夜は、それはそれはもう甘くて
されるがまま、夏油さんの思うがままに溶かされた
弱い所も、気持ちいい所も、好きなことも
何もかも暴かれて、刺激されて、ぐちゃぐちゃになった
夏油さんの夏油さんはとても元気でもう無理と言っても
「うん、そうだね」「もうちょっとだよ」「あと一回ね」
と何回したかなんて数える余裕はとっくに無くなってて
色気も無く私はベットの上で死んでいた。
本当にもう、死ぬかと思った。
だというのに、余裕でタバコを吸っている夏油さん
まだ余裕ありそうなのってどうゆうことなの……
死んでいる私の髪を整えながら夏油さんは笑って
大丈夫かい?なんて聞いてきたのでコクコクと頷いた
ぼっさぼさの女に引かない夏油さんは仏様かもしれない
「…げとう…さんは…満足…出来ました……?」
少し不安を抱きながら枯れた声で尋ねると
「うん、ありがとうね」
お世辞かもしれないけれど、素直に嬉しくて
良かったと私は眠気を感じながら呟いた。
「ねぇ、私と付き合いたい?」
もう寝るという直前に微かに聞こえてきた問い
私…夏油さんと付き合いたいか?
もし付き合えるのなら付き合いたい…
けど、それは駄目だ。夏油さんに、好きな人に嫌われる
「……そう、君は好きな人いるんだ」
私の寝顔を見ながら呟いた夏油さんの声は
既に眠ってしまった私の耳には届くことは無かった。
* * * * * *
朝、目が覚めた時に夏油さんはいなくてわんちゃん
都合の良い夢を見ていたんじゃないかなと
思っていたけれど、まさかの夏油さんの連絡先が
記入されたメモが残されており私は目を擦った。
これはつまり、そうゆうことなの…?
と連絡を送ってみると「またよろしくね」と返事が来て
私は会社の上司であり思いを寄せる相手のセフレとなった