推しに貢いでただけですが!?
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放課後帰ろうとしたらクラスメイトに声をかけられた
何だろうと思っていると写真を撮って欲しいとのことで
おーパリピと心の中で呟きながらカメラを引き受けた
ショート動画を音楽に合わせて撮るのが人気のSNS
あーこれ確かに流行ってるよなー
陰キャながらもパリピSNSは見る専ではあるが予習済
インストールしているため音楽に合わせて
いい感じのカメラワークってこんな感じかなー
と、廊下で楽しそうに踊る二人を撮影した。
「え、やばー! 名字さんめっちゃカメラ上手!!」
「ありがとー!!」
ギャルの誉め言葉に挙動不審になりながらも携帯を返す
まぁ、満足してもらえたなら陰キャも満足しましたわー
と一人で浸っているとふと視線を感じてそちらを見る
するとそこには階段に腰掛けた伏黒恵
は、かっこよ。
唐突な顔面国宝に思考が停止した。
動かないあたしとは反対に伏黒はゆっくりと立ち上がる
え、こっち見とる?
近づいてくる…無言、怖っ。
こちらを見下ろす翡翠の瞳に目が離せず
無言で伏黒を見つめる。
てか、久しぶりに生で見たかも
あれ以来恥ずかしくてお昼もあそこに行かなかったし
てか、一体伏黒恵は何の用があるんですか―――!?
「………さっきの何ですか」
「…………はい…?」
さっきの………さっきの???
え、あ、撮ってたやつのこと…???
人気のSNSだと説明すると
何故か「撮ってください」と
推しに撮影をお願いされていた。
は? なんでだよ。
これには軽いダンスがあることを確認すると
無言で近づきあたしのカメラを覗き込んできた。
ドッと心臓が大きく脈打った。ち、近くない…!?
じわじわと距離を撮るがその分距離を詰められる
せや、スマホごと渡そう!!と差し出すと
あたしの手の上からスマホを握り締め
更に距離を詰められた
―――なんでだよ!!!!! ガッデム!!!!!!
あたしごと持つんじゃなくてスマホをっ! 持てよっ!!!
心の中で全力で叫びながら視線を彷徨わせ
恥ずかしさを誤魔化すように髪の毛を耳にかける
体温伝わってくるし、手が細長くて男の子の手だ
意識したくないのにそればっかり考えてしまう。
「……覚えました」
伏黒の声にビクッと反応してそちらを見る
「う、うす!」と返事をして少し強引に手を離した
はー…心臓に悪いっ!
先ほどと同じようにカメラを動かして撮影する
わー、ダンスも上手いんだな…表情管理が流石プロ
撮影した動画を確認しながら推しの凄さを改めて感じる
「……どーですか」
ボソッと隣の推しから尋ねられた
ど ー で す か ?
少し身を屈めてこちらに問う推し
「え? 言えと?」という表情で見つめるが
無表情でじっと見つめられてしまい
あたしの方が折れるのはすぐだった。
視線を逸らしてスマホの画面を見つめる
「モデルの伏黒恵…って感じ」
「好きですか、嫌いですか」
「うえっ………えー…と、すき、かっこいい」
「………」
「(黙んないでよっ!!!!!!!)…けど」
これは好き嫌いでも好し悪しでもない
伏黒恵見てきたオタクの、ただのあたしの感想だ
五条悟の模倣はつまらないし
ぶっちゃけ伏黒はそっちじゃない。
あの人は約束された勝利の顔面宝具
めちゃくちゃ気を使ってるけど、力は入ってない。
全部納得させちゃえる最強の顔面
それとは違って伏黒恵は影のようなものを感じる
いつもそばにいて素朴な感じだけど
単純なシルエットに惹かれるものがある、と思ってる
モデルだからって気張る必要もかっこつける必要もない
無表情でも、姿勢が悪くたって、それでいい
それで〝伏黒恵〟は完成出来る。
「伏黒はもう〝伏黒恵〟を主張できるよ」
そう言って顔を上げると大きく目を見開いた伏黒
彼は少しだけ固まった後、あたしを見て
「―――もう一回、いいですか」と問う
あたしは頷いた。
カメラも見ない、微笑まない、力を抜いて
決して大きく動いてるわけじゃない
けど、今までで一番あたしが好きな伏黒恵だった。
「…どーですか」
「すき、めっちゃすき」
あぁそうだよ! やっぱりこれが推しのあるべき姿や!!
ヒエー…何回でも見れる…。かっこいい。
画面に釘付けになって伏黒の問いに食い気味に答える
「……はーっ…」とため息が聞こえてきて
そちらを見るといつの間にか膝を折り蹲っている伏黒
手を重ね合わせて鼻と口を覆い隠している推しを
無言でパシャリと盗撮しながら「どうした?」と
声をかけながらあたしも同じように隣に屈む。
じろっと睨まれた。え、不機嫌。害悪オタクですまん…
写真消すから…シュンとしながらフォルダから
先ほどの写真を選択する。かっこいいのになぁ…残念。
名残惜しげに画面をタップしようとすると
スマホをガシッと掴まれる、アッ、爪の形綺麗…。
「…別に、好きに撮っていいすよ」
すりっとスマホをなぞって手首を掴む伏黒
オマエ、そうゆうとこやぞ。ぐっ、ち、近い。
さっきから分かっててやってんのか天然なのか
顔から読み取れなさ過ぎて、困る。オタク誑しめッ!!
動揺しつつどうすればと思考を巡らせていると
夕陽があたしたちを照らしてきた
眩い光によって影が濃くなって壁へと映る
影…推しっぽいな…。
ぼーっと見つめていると伏黒は手を離して
両手でポーズを組んだ。
それは犬のシルエットを作り出す
「おぉー……!」
解釈一致に声が漏れる。めちゃっぽい!!
カシャッと写真を撮る。エモい!!
その流れに沿うように伏黒プチ撮影会が始まり
無表情やら目線外しやら
猫背のまま机に腰掛けてもらったり
首痛ポーズを写真に収めさせて貰った。
その後、ナチュラルに連絡先を交換され
撮ったものを送ってほしいと言うと推しは帰った。
おいおい、完璧プライベートな連絡先を
ホイホイオタクに交換するな馬鹿っ!!!!!
更新された推しのSNSは思いっきりバズった。