推しに貢いでただけですが!?
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自分が選んだ高校に芸能人が多い
という特徴を知ったのは
入学してからしばらく経った後だった。
妙に学校全体にミーハーが多いな?
え、顔面偏差値高くね?
とか感じでいたけれどまさかのまさかだった
近場だったからという理由で選んでたんだけど…
陰キャには皆の眩しさがちょいと辛かった
が、三年も過ごせば見慣れた光景であり
もう気にしなくなった。慣れって怖い。
と、そう思ってた時期があたしにもありました。
四月となり真新しい制服の一年生の姿が見える
ぞろぞろと集まっている光景に
あー例年通りだなーとか思いながら
足を止めることなく自身の靴箱に向かう
「伏黒くんおはようっ」
「…はよ」
あからさまな義務用の返事だったというのに
きゃーっと歓声が上がった。朝から元気〜…。
語尾にハートがついてるみたいな
女子特有の甘い声を聞いて
あら青春〜とか心の中でつぶやき
三年間で履きなれた上履きを床に落として
視線なんて気にせず口を大きく開けてあくびをする
パンッと靴箱を閉じ前を向くと目の前を何かが通った
無造作に跳ねた黒髪、翡翠の瞳
一瞬こちらを見たがすぐに前を向き
その姿ごと角へと消えた。
その彼を追うように女子が同じ場所へと駆けた
ぱちぱち、と瞬きを繰り返す。
――――――は????? 顔面良??????????
全身に電撃が走るとかスペースキャッツになるって
こーゆーことかとその時になって思い知った。
高校三年間、顔が良いなと思ったことは何度もある
けど、今のは、何もかも、違うだろ……。
た、確か…フシグロ、とか呼ばれてたっけ…?
見たことないし、多分一年生…だよね…????
その日は放課後までぽけーっとしていたけれど
ふと目に入ったクソでか広告に口をぱかっと開ける
―――――伏黒恵
これからの春物コーデが特集されている雑誌の広告
忘れもしない一年生の顔がどデカく写っている
長い睫毛に、毛穴という概念が存在しない透き通った肌
きらきらな微笑みでこちらを見ている。王子様か。
無意識にスマホで広告を写真に収めながら呟く
「………推すわ」
人生初の推しが、確定しました。
* * * * * *
何故今まで気付かなかったのか分からないくらいに
顔面国宝は日常的に視界に入るようになった。
推し、よくぞモデルの道を選んでくれた…大正解だ…!
SNSは一通り調べた、だけど全然動いてなかった
解釈一致です。ありがとう。
学校とは違う完全余所行きなモデル顔で写っているパネル
相変わらず毛穴は存在していない。パシャリ。
曰く、あの五条悟にスカウトされてデビューしたらしい
なるほど…だからこの顔なのか…
この顔だからこそスカウトされたのか…
そう思いながら普段の伏黒を思い出す
学年が違うから学校生活では関りがないけれど
いつ見ても伏黒は無表情。下手したらしかめっ面。
モデルの表情とは真逆な素面。
まぁあたしの第一印象はそっちだから
モデルの方に違和感を感じてしまっている
というのが、正直なところ
あ、あくまで個人の感想です。
一匹狼って感じが推しっぽいよな~
まぁ、友達も女の子と男の子がいるっぽいし
完全な一匹狼ってわけじゃなさそうだけど
はぁ、今日も推しの顔面最高。
* * * * * *
「――――クソ親父…!!!」
どどどどっ…!!!!
心臓が大きく脈打っている。
あまりの激しさに周りに聞こえてしまいそうで
余計に緊張が高まった。落ち着け……落ち着け……!
壁に沿って身を隠し息を潜める
なぜ、なぜ推しの修羅場に遭遇してしまっているんだ?
え、推しの背景がクソ重いんだが…???
お父様っぽい人はギャンブル好きっぽいし
伏黒(母)はお亡くなりになってるっぽいし
お姉さんも病気がちっぽいし
え、もしかしなくても困窮…してるのか………????
チラッと角から様子を伺う
ひらひらと札束を振って去っていくパパ黒(仮)
え、後姿だけどめっちゃムキムキ…じゃなくてっ…!
「クソが……!!!」
悔しそうに呟く伏黒の背中を見て
その場に留まっていられず
あたしはその場から逃げ出すように走る
家へと帰り玄関のドアを音を立てて閉めて
ずるずるとその場に蹲って顔を手で覆う
ふーっと息を吐いて心を落ち着かせ
火照った自身の頬の熱をじんわり感じつつ
指の隙間から覚悟を決めた瞳で前を向く
「―――――――………貢ぐか」
そこからあたしの行動は早く、すぐにバイトを始めた
三年生で大丈夫かと担任に心配されたが
普通に頭いいので許可が貰えた。よっしゃ。
そして、目的の貢ぎだが
調べに調べて推しにスキンケア系を贈呈した。
肌に合う合わないがあるため
初手スキンケアはどーだろーと思っていたけれど
ブブッと通知が来てスマホが震える。
パッ見ると滅多に更新されない推しの通知で
!?となりながらタップすると
貢いだスキンケアの写真が投稿されている
貰いました。よかった。というシンプルな一言。
両手でスマホを握り締めながらベットに顔を埋め
貢ぎの成功の嬉しさを噛みしめたのだった。
という特徴を知ったのは
入学してからしばらく経った後だった。
妙に学校全体にミーハーが多いな?
え、顔面偏差値高くね?
とか感じでいたけれどまさかのまさかだった
近場だったからという理由で選んでたんだけど…
陰キャには皆の眩しさがちょいと辛かった
が、三年も過ごせば見慣れた光景であり
もう気にしなくなった。慣れって怖い。
と、そう思ってた時期があたしにもありました。
四月となり真新しい制服の一年生の姿が見える
ぞろぞろと集まっている光景に
あー例年通りだなーとか思いながら
足を止めることなく自身の靴箱に向かう
「伏黒くんおはようっ」
「…はよ」
あからさまな義務用の返事だったというのに
きゃーっと歓声が上がった。朝から元気〜…。
語尾にハートがついてるみたいな
女子特有の甘い声を聞いて
あら青春〜とか心の中でつぶやき
三年間で履きなれた上履きを床に落として
視線なんて気にせず口を大きく開けてあくびをする
パンッと靴箱を閉じ前を向くと目の前を何かが通った
無造作に跳ねた黒髪、翡翠の瞳
一瞬こちらを見たがすぐに前を向き
その姿ごと角へと消えた。
その彼を追うように女子が同じ場所へと駆けた
ぱちぱち、と瞬きを繰り返す。
――――――は????? 顔面良??????????
全身に電撃が走るとかスペースキャッツになるって
こーゆーことかとその時になって思い知った。
高校三年間、顔が良いなと思ったことは何度もある
けど、今のは、何もかも、違うだろ……。
た、確か…フシグロ、とか呼ばれてたっけ…?
見たことないし、多分一年生…だよね…????
その日は放課後までぽけーっとしていたけれど
ふと目に入ったクソでか広告に口をぱかっと開ける
―――――伏黒恵
これからの春物コーデが特集されている雑誌の広告
忘れもしない一年生の顔がどデカく写っている
長い睫毛に、毛穴という概念が存在しない透き通った肌
きらきらな微笑みでこちらを見ている。王子様か。
無意識にスマホで広告を写真に収めながら呟く
「………推すわ」
人生初の推しが、確定しました。
* * * * * *
何故今まで気付かなかったのか分からないくらいに
顔面国宝は日常的に視界に入るようになった。
推し、よくぞモデルの道を選んでくれた…大正解だ…!
SNSは一通り調べた、だけど全然動いてなかった
解釈一致です。ありがとう。
学校とは違う完全余所行きなモデル顔で写っているパネル
相変わらず毛穴は存在していない。パシャリ。
曰く、あの五条悟にスカウトされてデビューしたらしい
なるほど…だからこの顔なのか…
この顔だからこそスカウトされたのか…
そう思いながら普段の伏黒を思い出す
学年が違うから学校生活では関りがないけれど
いつ見ても伏黒は無表情。下手したらしかめっ面。
モデルの表情とは真逆な素面。
まぁあたしの第一印象はそっちだから
モデルの方に違和感を感じてしまっている
というのが、正直なところ
あ、あくまで個人の感想です。
一匹狼って感じが推しっぽいよな~
まぁ、友達も女の子と男の子がいるっぽいし
完全な一匹狼ってわけじゃなさそうだけど
はぁ、今日も推しの顔面最高。
* * * * * *
「――――クソ親父…!!!」
どどどどっ…!!!!
心臓が大きく脈打っている。
あまりの激しさに周りに聞こえてしまいそうで
余計に緊張が高まった。落ち着け……落ち着け……!
壁に沿って身を隠し息を潜める
なぜ、なぜ推しの修羅場に遭遇してしまっているんだ?
え、推しの背景がクソ重いんだが…???
お父様っぽい人はギャンブル好きっぽいし
伏黒(母)はお亡くなりになってるっぽいし
お姉さんも病気がちっぽいし
え、もしかしなくても困窮…してるのか………????
チラッと角から様子を伺う
ひらひらと札束を振って去っていくパパ黒(仮)
え、後姿だけどめっちゃムキムキ…じゃなくてっ…!
「クソが……!!!」
悔しそうに呟く伏黒の背中を見て
その場に留まっていられず
あたしはその場から逃げ出すように走る
家へと帰り玄関のドアを音を立てて閉めて
ずるずるとその場に蹲って顔を手で覆う
ふーっと息を吐いて心を落ち着かせ
火照った自身の頬の熱をじんわり感じつつ
指の隙間から覚悟を決めた瞳で前を向く
「―――――――………貢ぐか」
そこからあたしの行動は早く、すぐにバイトを始めた
三年生で大丈夫かと担任に心配されたが
普通に頭いいので許可が貰えた。よっしゃ。
そして、目的の貢ぎだが
調べに調べて推しにスキンケア系を贈呈した。
肌に合う合わないがあるため
初手スキンケアはどーだろーと思っていたけれど
ブブッと通知が来てスマホが震える。
パッ見ると滅多に更新されない推しの通知で
!?となりながらタップすると
貢いだスキンケアの写真が投稿されている
貰いました。よかった。というシンプルな一言。
両手でスマホを握り締めながらベットに顔を埋め
貢ぎの成功の嬉しさを噛みしめたのだった。