京都校の一年と東京校の相性が良すぎた件について
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交流会の襲撃を受けた翌日である今日
俺たち一年組は特に問題なく行動出来るため
ピザを食べることにした。伏黒はピザに文句ありと
最初は全然乗り気じゃなかったけど俺が名字も呼ぼう
と提案するとまぁ…それなら…とゆっくり手の平を返す
じゃあ名字の所に行って何食べるか決めようぜと
軽い足取りで向かって行き、勢いよく扉を開けた。
その瞬間、サッと血の気が引いていくのが分かった
誰だ、知らない男が地面に倒れてる名字を蹴り続けてる
何か声を荒げながら少しも動かない名字をずっと―――
「テメ゛ェ!!!!」
俺は男の顔面を容赦なく殴った。
釘崎と伏黒が急いで駆け寄り声をかける
けど、全然反応がない。動かない。
呆然とする俺に伏黒は玉犬を呼ぶと
「微かに息はしてるッ!」と動揺で視線を泳がせつつ
人を呼んでくるように指示を出した
下手に運べば状態が悪化してしまうかも
なんとか今この場で紡ぐしかない…!
「おい、名字! 反転術式を使うんだ! 名字!!」
「しっかりして、名字!」
二人は何とか応急手当をしながら必死に呼びかける
「名字…!」
「何を人形如きにそんな必死になってんだよ」
俺が希望に縋るように名前を呼んでいるとクソ野郎が
ヘラヘラと笑ったようにふざけたことを抜かしやがった
拳に爪先が食い込んでいくのが分かる。
名字家が拾った人形だとか、名字は裏切り者だとか
聞かせたくねぇことばっか大声で喚き散らしやがる
「黙れ」
腹の底から湧き出た殺意を含む俺の言葉
クソ野郎を黙らせるにはそれだけじゃ駄目だと思ったから
か、それとも止められない衝動からか俺は男の顔の真横を
全力で殴り壁に穴を空けた。男は何が起こったか最初は
分かっていなさそうだったが壁にめり込む拳を見て
腰を抜かしその場にずるずると座り込んだ。
「そいつが、そいつが全部悪いんだ…!
死ねっ…そのまましッ―――――」
「はい、そこまでね悠仁」
俺が振り上げた拳が止められる。俺は後ろを振り向かずに
何でだよと理解出来ない行動に八つ当たりするように
男を睨みながら叫んだ。
「まぁ落ち着きなって」
軽い口調に思わず振り返るが隠れ切っていない苛立ちに
俺はスーッと冷静になっていくのが分かった。
「ごめん、一発殴った」「大丈夫、ありがとう」
ここからは僕の番、とでも言うように
先生は肩をポンッと叩くと俺より前に出た。
「五条悟ッ…!」
五条先生は目隠しを降ろした素顔の状態で
床に座り込んでいる男に出来る限り近づき
大股で足を横に開き下から見下ろすように首を傾げる
なんか、五条の勝ちだとかお小遣いやったんだから
諦めろ雑魚とか色々言ってたけど、俺は名字優先してた
から五条先生が一体男とどうゆう関係なのかは分からん。
「大丈夫かい!?」「恵、連れてきたぞ」
夏油先生と伏黒先生はほぼ同時に部屋に入ってきた
伏黒先生に担がれていた家入先生は超スピードで
移動していたであろう反動か、げっそりしていた。
それでも緊急事態だからかすぐに名字の様子を
見てくれる。昨日今日で疲れているはずなのに。
「……お前ら、全力で呼びかけろ」
――――名字は力をワザと使っていない。
コイツ、死ぬ気だぞ。
え、と困惑していた俺たちの声が揃った
なんで、なんでだよ名字―――――!!!!
三人で声の限り叫んだ。
眠ろうとする名字を叩き起こすために必死に訴える
けど、全然反応が返ってこない。
こんな、こんなところで死んじゃ駄目だ
順平もナナミンも会いたがってた
俺もまだありがとうって言えてない
小さい手のひらに手を重ねてぎゅっと握り締める
いつの間にか先輩達や京都校の人らも駆けつけていたけど
俺にはもう名字しか見れなくて、それくらい必死だった
目を開けて、死ぬな、生きろ――――!
「………――――――は…ぁ、い」
微かに、手が動いた。
皆の視線が名字に集まり、距離を詰めた
寝っ転がったままだが赫の瞳がこちらを見ている
今まで隠れていたものが初めて顔を見せた
相変わらず声も顔も無表情で機械的だった
でも、確かに握り返された手のひらは
こちらの想いに必死に応えようとしているように思えた
「赫眼…彼女が桑原家である確固たる証拠だ」
五条先生は名字を見ながらそう言った
桑原家…? 名字とは違う名前だ
先生は何か名字について知っていそうだけど
俺には良く分からなかった。
けど、先生の情報はまだ終わることは無く
〝天与呪縛〟
生まれた時から名字は感情を表に出すことが
不可能な縛りを課せられていた。
言葉、表情が常時制限されてしまい
基本的に「はい」か「いいえ」
でしか答えられないほどだと
五条先生はいきなり、驚愕の事実を告げる
幼少期から実の父親に捨てられ今の名字家で育ち
道具として扱われ続けてきた。桑原家とバレないために
彼女の視界を奪ってまで、名字家当主は手柄を望んだ
五条先生と同等の力を持っている眼らしいけど
目隠しした場合、視覚情報はなくなるようで
俺たちの姿は見えていなかったらしい。
感じ取る力に長けているから何とかなってたみたいだけど
幼少期はそれなりに苦労したんじゃないかな、と
男を睨みつけていた。家族もなく友達もいないまま。
「五条家の人間として分家の血縁者を見過ごせない
赫眼は六眼とは違う価値がある
まぁ…桑原家の秘密だから知らなくて当然だけど」
「…ひ、秘密………?」
「君にはもう関係ないよ
……彼女はもう五条の人間だ
僕に喧嘩を売ったも同然だけど、どうすんの?」
低く唸った最強に男は恐怖し、悲鳴を上げた。
「悟、とりあえずこの子の方が優先だ」
ピリッとした空気の中で家入先生が冷静に話す
それを聞いた先生は少し不満そうだけど
名字の方が大事だからか乱暴に男を連れて行った
男の悲鳴が聞こえなくなったあと静まった空間に
沢山の人が集まった小部屋で家入先生が
せっせと指示を出し名字の治療を行った。
俺らは傍に居ようと思ったけど
邪魔だからと家入先生に追い出されてしまった。
扉の前でひたすら待機してると扉が開く
「ずっといたのか」と驚きつつ家入先生は
今はもう大丈夫で名字は眠ってしまっていると
不安に思っていた俺たち三人を安心させてくれた。
「はぁ…疲れた」とげっそりしながら休憩に入る
家入先生に俺たちはお礼を言った後
そーっと部屋の中に入り眠っている名字の傍に座った
スヤスヤと呼吸をして眠っている名字を見て
怒涛の展開に安心と疲労が一気にやって来て
長い溜息を吐いて俺たちは脱力した。
「……早く、起きて」
いっぱい、話をしよう。
今まで出来なかった分、俺たちで。
* * * * * *
「美味しいか?」
「はい」
「…難儀なもんね、天与呪縛って」
「いっそ狗巻先輩みたいに喋る?」
そんな風に四人で会話しながら
俺らは今、ピザパをしています!
名字が起きた瞬間、改めて安心感があり
テンションが昂った結果、勢いでピザパを決行した
そして、名字はピザを知らなかった。
もぐもぐと食べており問いにはコクコクと頷いている
よかった、結構おいしいのかも。疲れてお腹空いてるし
ピザパをしつつ、どうすれば名字と話せるだろうかと
皆で考えたけど、どうやら筆談も厳しいらしく
天与呪縛の影響を受けないから畏まった敬語を
使っていたらしい。だからあの時様付けだったんだ…。
「名字は……あれ、もう五条なんだっけ」
「その辺はまだよく分からないな…」
「てか、名前でいいのよ、名前は?」
「…………………名字」
一瞬、静寂が訪れた後、釘崎が無言で席を立つので
察した俺と伏黒は何とか釘崎の腕を掴み止める。
「申し訳ありません」名字がそう言うと
「アンタは何にも悪くないわよ…」
と絞り出すように言う釘崎は少し泣きそうな表情をする
どうしたもんかと伏黒と目を合わせていると
名字が腕をそーっと伸ばし釘崎の頭を撫でた。
釘崎は驚いていたが少し顔を歪めて笑うと
「やっぱアイツは釘をぶち込むべきね」
「あ、野薔薇も参加する?」
一体いつからそこにいたのか
俺と釘崎はビックリして悲鳴を上げた。
「お疲れサマンサ~!」と、張本人は気楽な挨拶
まじで心臓に悪いんだけど!?
「妹、妻、娘、どれがいい?」
五条先生からの斜め上の彼女への質問に俺らは固まった
まじで脈絡が無さ過ぎて完全に理解不能
これが最強ってコトなの?
「いやぁ名前も必要なんだけどさ~」
と五条先生は一人でペラペラとお喋りを続ける
どうやら本当に五条家への受け入れ計画は進んでて
最終的に彼女が五条悟のどの立ち位置なのかで
家が悩んでいるらしく本人に直接聞きに来たらしい
確かに娘だったら最強の跡継ぎだし、奥さんなら
家系の存続が大事になってくるし、妹も妹で
もしもの時の引継ぎとか色々大変そう…。
けど…だからって…ねぇ?
と俺は二人にアイコンタクトをするとそこには
納得したような、けど呆れたような表情
どうやら俺らの気持ちは今完全に同じらしい
てか、さっきまで死にかけてた子がいきなり
今日から御三家です!なんて言われて理解出来んの?
さっきから無言のままで五条先生の話聞いてるし
「別に五条さんは親戚のおじさんでいいでしょ…」
「そーよ、孫でもいいんじゃない?」
「お! 俺と一緒じゃん爺ちゃんっ子!」
「ちょっと~それはこの子が決めんの」
三人で協力してなんとか誘導するけど
先生はしっしと手をはらい横槍を入れるなと主張する
そんなすぐに決められるわけないよな?
と俺は話しかけながら視線を移すと目が合った
長い前髪で見えずらいけど五条先生とは対照的な赫
けどそれは正確な血縁者ではなくとも
似た血が流れているのがよく分かった
この子は本当に五条先生の家族なんだな
と思っていると釘崎にガン見しすぎだとチョップされた
痛い頭を摩りつつ改めて見ると似てたからと言い訳させて
もらうと五条先生は嬉しそうに「でしょー?」と言う
悔しいがこれは認めざるおえない…!
「…大丈夫ですか」
わいわいとしていた中で静かな問いかけ
視線は下を向いており誰に問いかけたかは分からない
けど、多分…俺の視線は五条先生へと向く
「不安かい?」
目隠しを降ろして優しく前髪に触れる
今まで隠されていた深い傷跡が全部見えた
名字家でどうゆう扱いをされていたのか
まだ俺らは全部を知らない
「今まで君は自分を人形だと思い込むしかなかった」
けど、もう違うよと優しく指で傷跡をなぞり
先生は優しく笑った。下を向いていた視線が上を向く
大丈夫だよ、そう呼びかけて頭を撫でた
「僕は君に家族になってほしんだ」
「…………かぞく」
「そ! お兄ちゃんにもお父さんにもなってあげる
僕のお嫁さんでも大歓迎!」
今なら選びたい放題だよ~と笑う先生を見つめる
無表情な赫い瞳。見た目的にはドン引きしてるようにも
見えなくもない絵面だけど彼女の縛りによって
何を考えているのかは分かってあげられない
「………――――おとうさん」
赫い瞳は真っ直ぐに蒼の瞳を見つめてそう言った
ピタッと世界が止まった気がしたのは俺だけだろうか
けど五条先生もパチパチと瞬きをして無言だし
面食らったのはこの場に居る彼女以外の全員だった
「あははっ!」
五条先生は吹き出したように笑うと彼女を抱きかかえ
室内でぐるぐると回り始めた。怪我人に何やってんだ
と釘崎や伏黒が怒るけど五条先生は聞こえないフリで
「僕がパパですよ~!」とずっと喋りかけている
何されても抵抗しない猫みたいに大人しい彼女は
一通りぐるぐるとされた後地面に降ろされた。
こうしてみると親子の身長差が凄い……
じーっと無表情で見つめる彼女は何も言葉を発さない
が、一歩前に近づき両手を広げると
顔を五条先生の身体に埋めた。
「…おとーさん」
また聞こえてきた声、五条先生は無言で口を手で覆い
「現実?」とでも訪ねているかのようにこちらを見た
俺ら三人はしっかりと現実だと頷いた。
「あははっ、僕も周りの保護者の仲間入りだね」
多分、夏油さんとか伏黒の父ちゃんのことだろう
彼女を抱きしめながら五条先生は口角を緩めて笑った。
なんとも幸せそうな光景だ。おめでたい。
だがしかし、妙に納得いかねぇ!
五条先生だけずりぃ!!
元々は俺らの親睦会だったのに!
一度そんな感情が芽生えると想いはどんどん増していく
俺もまだまだ交流したりない! ダチになりたい!
「お義父さん! 娘さんとお友達になりたいです!!」
そんなことを言いながらビシッと俺は真っすぐ手を上げる
と、先生はむむっとワザとらしく警戒して娘を抱きかかえ
「お前みたいなやつに娘はやれん!」とデカいタッパで
彼女の姿を覆い隠してしまう。茶番を交えつつも
「そこをなんとかぁ!」と背中に縋りつくと
スッと彼女が先生の肩から顔を出した
「ゲッ!? ちょ、身体―――!」
と何か五条先生焦ってたけど俺は目の前に伸ばされた手に
両手を伸ばして包み込んだ。小さな温もりに顔が緩む。
「お友達」「これからよろしくお願いしやす!」
はいと返事をして彼女は手を緩く上下に動かしてくれる
彼女からのスキンシップに何とも言えない気持ちを抱く
「ちょっと私もいるんだから」
釘崎はぺしっと俺の手だけ叩くと彼女と握手をする
「今度出掛けましょ」「はい」
「よろしくな」「はい」
二人ともそれぞれ握手を交わし俺たちは目出度く
彼女とお友達になることが出来た。
五条先生が何かうるさいけど聞こえないフリした!
俺たちの親睦会再開しよーぜ!!