京都校の一年と東京校の相性が良すぎた件について
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姉妹校交流会当日
開催地を京都だと思って
観光準備満タンの荷物でやって来た釘崎
どうやらずっと勘違いをしていたらしい
どーりで最近会話が通じないわけだと納得していた
真希さんに「ですね」と頷く。
パンダ先輩によって去年東京校が勝利したため
今年の開催地がこっちになったことを説明すると
釘崎は最終的に乙骨先輩を逆恨みしていた
オマエ顔すら知らねーだろ。
そうこうしているうちに今日の対戦相手である
京都校のメンバーがやって来る
釘崎は開口一番にお土産を要求していた。キレながら。
引率である庵先生が手を叩き
生徒に声をかけている後ろには気配を消すように
最後尾を歩いていた名字が姿を現した。
「あれ、なんで名字がいるのよ?」
と言う釘崎に心の中で呆れながらこの前の騒動の時
本来であれば姉妹校との打ち合わせ兼見学申請を行うため
楽巌寺学長に同伴してたんだと説明してやると
「ふーん」とだけ言われた。
苛立ちで顔がピクピクッと動くのが自分でもわかった
釘崎が何気なく手をひらひらとさせる
が、名字は微塵も手を振り返す気配がない
というか静止画のように動いていない。
「多分、自分だと思ってないぞアレ」
「じゃあアンタも振んなさいよ」
「何だよソレ…」
と、渋っていると早くと脇腹を肘で殴られ
ウッと痛む箇所を抑えながらひらひらと手を振った。
すると流石に意識がこちらに向いたような気がする
が、相変わらず隠された顔色は伺うことが出来ない。
「何アホなことやってんだお前ら…」
と真希さんは俺らに呆れ気味だったが
どうしても名字の気を引きたくなったのか
釘崎はアピールするように言うと断る方が面倒くさい
と思ったのか真希さんは半笑いで他二人にも強制参加を
させて東京校全員で手を振ることになった。何だコレ。
何故か名字の名前は呼ばずに無言でアピールし続ける
名字がゆっくりと背後を振り返り、再度こちらを見た。
その様子に釘崎が少し吹き出すと笑いが伝染し始める
俺も少し笑いたくなるのを我慢しながら待っていると
名字はついに綺麗なお辞儀をしてこちらに応える。
その瞬間俺は手を振るのをやめて顔を手で覆った
周りもサイレントで笑っているせいで余計に釣られる
「オイ、コレ……名字……こ、困っ……」
「ひっ…真希さん笑わないで…駄目、お腹痛いっ」
「何やってんだか…おーい名字~」
苦笑交じりでパンダ先輩は名字を呼ぶ
名前を呼ばれた名字は待た無言で立っていたが
「早くこっちこ~い」とパンダ先輩によばれると
とたとた歩きながらこちらへとやって来た。
俺も咳ばらいをして乱れた心を元に戻す
「悪いなウチの奴らが」
「………いいえ」
パンダ先輩に相変わらず抑揚のない受け答えをしながら
手に持っていた袋をこちらへと渡してきた。
驚いて面食らっていると袋が引っ込んでいきそうになる
が、釘崎が「お土産!?」と目を輝かせて飛びついた。
がめついなと呆れながら声をかけるも大きな紙袋に
これでもかと入った沢山の種類のお土産に夢中だ
ため息をつき視線を名字へと戻し礼を言うが
何か反応することなく少し顔が下を向いていた。
名前を呼ぶが反応がない、もう一度声をかける前に
名字はお辞儀をすると元の場所へと帰っていった。
おい、と声をかけようとした俺の声は余裕で遅刻して
やってきた五条先生によってかき消される。
何か変なものを台車で持ってきているがあの人のことだ
碌なものじゃないだろうと思いながらテンションの高い
五条さんを見ていると京都校の人にお土産を渡していた。
「そして東京校の皆にはコチラ!!」
「ハイテンションな大人って不気味ね」
冷たい眼で釘崎はそう呟いた。
俺も特に期待するわけでもなく見つめていると
―――死んだはずの人物が、そこに現れた。
混沌とした状況の中、全員がそろった。
ふざけた箱に入って突っ立ったままの馬鹿に近づく
釘崎は「おい」と言いながら箱を蹴った
怒ったような、泣きそうな表情をするものだから
どう対応すればいいか分からず俺は何も言えなかった
釘崎に虎杖は謝るがそっぽを向いたまま
謝罪は受け入れてもらえないようだ。まぁ…当然か。
俺はそんな二人を見て、無意識に口角が上がった。
虎杖悠仁、合流だ。
* * * * * *
夜蛾学長によって交流会の説明をされ
解散、という前に五条先生によって
虎杖と名字の交流会参加を提案された。
夜蛾学長は楽巌寺学長の顔色を伺うと
少し無言の後、長い髭を撫でながら許可を出した
急遽ではあるが二人の参加が決定し
虎杖は喜び、名字は軽く会釈をしていた。
「うし、当日参加同士よろしくな名字!」
「…はい」
時間まで解散という流れで虎杖はごく普通に名字に
声をかけた。別に五条先生が名前を出していたから
知っててもおかしくはないはずだ。
しかし、何処か―――
「何よ、アンタら知り合いなわけ?」
同じことを思っていたのか釘崎が二人に質問すると
「応!」と返事が返ってきた。マジかよ。
釘崎はすぐさまどういうことだと胸ぐらを掴んだ
「い、色々あったんだよ!」
「その色々を聞いてんのよ」
「え? えと、命の恩人! めちゃくちゃ!」
「説明になってねェーよ!」
「わー! 名字助けて~!」
釘崎のやり取りの流れに乗って虎杖は名字に抱き着いた
それを何やってんだと頭をグーで殴る。
痛いと頭を押さえる虎杖は更に名字に甘えようとする
コイツもう一発殴ってやろうかという所で
楽巌寺学長が名字の名前を呼んだ
一瞬で空気がピンッと張りつめて静寂が訪れる
「早く来なさい」
背中を向けながら名字の名前を呼んだ学長に
「かしこまりました」と返事をして
こちらにお辞儀をして楽巌寺学長の元へと向かった
その後ろ姿を見ていた俺たちも真希さんに呼ばれて
お互いに正反対のミーティングルームに向かった。
* * * * * *
交流会が始まってすぐ、俺は違和感を感じて
その正体に気付き真希さんと来た道を引き返す
いや、正確には名字以外の京都校、だろう
もし、もしそうだとしたら虎杖も危険だが
アイツらは名字に容赦はしないだろう。
それはこの前の出来事でよく分かった
加えて名字は虎杖の存在を多分秘密にしていた
でなければ楽巌寺学長が生存を知らない訳がない
最初に仕掛けてきた東堂を虎杖に任せた
それに便乗した全員との相手となると流石に厳しいはずだ
名字は自身のことより他人を優先する節がある
まるでそうすることが当然という風に
お前と話したいことがある
――――なんで、クソ親父を助けたのか。
だから、無事でいてくれよ。
* * * * * *
それはいきなりだった。
加茂さんの戦いの最中で巨大すぎる大木が現れた
最初は驚いて意味が分からなかったが
建物の屋根に狗巻先輩と名字が走っており
先輩がこちらへと気付くと『逃げろ』と告げる
緊急事態だと気付き、加茂さんと共にその場から避難する
その後、狗巻先輩と名字は手を繋ぎながら屋根から
降りてきた。四人で合流するが少し名字は負傷していた
心配になり声をかけるが「はい」としか言わない
見た限り当日参加だったからか武器も持っていない
少し考え、陰に手を伸ばそうとしたが
俺たちの目の前に呪霊が現れ、隙が無くなってしまった
「何故高専に呪霊がいる
〝帳〟も誰の者だ?」
「多分、その呪霊と組んでる呪詛師のです」
「? 何か知っているのか?」
以前特級呪霊と戦った五条さんが描いた絵を見せながら
教えてくれた。風姿もその報告と近いように思える
あの人の絵でも分かるもんだな。
「ツナマヨ」
「そうですね、五条先生に連絡しましょう」
「ちょっ…と待て」
スマホで電話をかけると横から加茂さんに狗巻先輩の
ことを聞かれたが今はそんなことどうでもいい。
相手は「領域」を使うかもしれない
距離を取って五条さんの所に後退―――――――
目の前の呪霊の姿が消えた
俺が反応する前に手に持っていたスマホが破壊される
『動くな』
狗巻先輩が呪言を使ってくれたおかげで動きが止まる
その隙に距離を取り攻撃を仕掛けるもダメージ無し
直後、頭に意味の分からない音が聞こえてくる
〝やめなさい愚かな
なんだこれ音では何言ってんのかわかんねぇのに
意味は理解できる。めちゃくちゃ気持ち悪ィ感覚だ。
加茂さんは呪いの戯言だと言うが低級呪霊のソレとは
レベルが違いすぎる。独自の言語体系を確立してるんだ。
まともにダメージを与えることが出来なかった相手
逃げる隙も作ることが出来るかどうか…
「―――念力術式〝動〟」
緊迫した状況の中で淡々とした声が聞こえた
どういう術式なのか完全には分からないが
地面のブロックが一つ一つ名字の周りを浮いていた
一つのブロックが呪霊に向かって行く
加茂さんが何か言う直前
「〝爆〟」
――――激しい爆発が発生した。
想像もしていなかった威力に思考が止まる
そうだ、狗巻先輩と名字は大怪我はせずに
あの呪霊から逃げきっていた。
足を止めていたのは名字も一緒か―――!
* * * * * *
その後四人で協力をして呪霊の足を止めてすかさず攻撃
呪霊と距離を取るということを繰り返して帳の外を
目指していた。しかし、連絡を取る隙も無いし
他のメンバーとの合流が全く出来ていない状況だ。
狗巻先輩も強い言葉を使っていないが喉への負担が大きい
ありとあらゆる箇所を操り、足止めと攻撃を半分以上
担っている名字も呪力切れを起こしかねない。
「狗巻先輩が止めてくれる、ビビらずいけ」
鵺を呪霊の元へと向かわせる。
すぐ隣で狗巻先輩が血を吐き出し崩れ落ちた
まずい、先にこっちに限界が来てしまった―――!
呪霊を止めることが出来ず狙われた加茂さんが
吹き飛ばされるのを受け止める。
木の枝が突き刺そうとしてくるが
瓦で名字がそれを破壊してくれた
加茂さんに声をかけるも返事がない
「名字!」
名前を呼ぶと意図を組んでくれた名字が
加茂さんを受け取ってくれる。
クソッ…!
強い言葉を使っていないのに先輩の喉が潰れた
それだけ格上!!
名字は反転術式が使える。
が、敵はそれを完治するまで許しはしないだろう
―――俺が、やるしかない
拳を構える。
「高菜」
ポンと肩に手を置かれた。
満身創痍の狗巻先輩に声をかけて止めるも
先輩は呪霊の元へと近づいていく
『ぶっとべ』
狗巻先輩が呪言を使い呪霊を吹き飛ばすと同時に
血を吐き出しながら崩れ落ちた。
そして、呪霊が吹き飛んだ先にいる真希さんへと
呪具を渡すために俺は全速力で駆け出すのだった。
狗巻先輩と加茂さんを頼んだぞ、名字―――!
* * * * * *
唐突にやってきた襲撃は皆無事、とは言えないが
五条さんたちのおかげで呪霊は祓われたらしい
夏油さんや親父がちょうど高専にいたのも幸運だった
家入さんに加えて名字がいることで俺も含め
皆ほぼ回復した。家入さんがげっそりしながら
休んでいるのを見て、虎杖たちと一緒に
名字の様子を見に行こうとしたら
廊下には五条さんによって運ばれている名字の姿があり
急いで駆け寄ったが疲れて眠ってしまっただけだと言われ
俺たち三人は安堵のため息を吐いた。
「あれ、名字の包帯は?」
小声で虎杖が呟く。俺と釘崎は二人で顔を覗き込む
確かにそこにはいつもの包帯はされておらず
見えることのなかった顔が見えた。
古い傷跡だろうか左目には大きく切られたような跡がある
「もうしなくていいんじゃないかなー」
五条さんは意味の分からないことを名字を見ながら呟く
どういう意味だと聞いてみるも答えてもらえず
名字を寝かせに行ってしまった。
「ま、無事なんだし戻りましょ」
釘崎にそう言われ、俺たちは部屋に戻ることにした。
ベットに戻ると途端に疲労が押し寄せてきて
気絶するように俺は眠りについた。