京都校の一年と東京校の相性が良すぎた件について
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「長生きしろよ」
そんな呪いを俺にかけて虎杖悠仁は目の前で死んだ。
唇を噛みしめて、それを見上げるが雨で全身濡れて
顔にかかる髪の毛のせいで視界は真っ暗だ。
しばらくそのまま動けずにいたが
足音が聞こえ、意識がそちらへと向かう。
近づいて来たのは包帯で目が隠れている少女だった
何処かの誰かの知り合いかと思ったが、面識はない。
制服を着ているあたり高専関係者なのだろう
伊地知さんが呼んだ増援か、しかしもう意味は無い。
お互いに言葉を交わすことは無かった。
ただただ、雨の音が五月蠅い。
彼女は俺を見たあとに視線を地面、虎杖の方へと向けると
ソイツに近づきうつ伏せの状態から仰向けに動かす。
本来であればそこには心臓があった場所
そのぽっかりと空いてしまった穴を見つめている
…気がするが包帯でどこを見ているのか
何が見えているのか俺にはさっぱりわからない。
ただその小さな手は優しい手つきで虎杖の瞼を閉じさせた
その瞬間、なんというか無意識にしていた
警戒が一瞬で溶けた実感があった。
「……治せるのか」
ゆっくりと近くにしゃがみ込む。
何も言わずに呪力を流している彼女を見つめながら問う
彼女の頬に伝う雨が雫となって虎杖の頬に垂れた
「いいえ」
機械の音声のような返答に少し呆気にとられる
長い前髪から微かに見える包帯。隠しても視えすぎる
なんてムカつく担任を思い出しながら
それ相応の理由が彼女にもあるのだろうと察しはつく
「……だよな」俺は小さく呟いた。
その後、駆けつけた伊地知さんや新田さんによって
虎杖の遺体は回収され、俺も高専に戻ることになった。
丁寧に作業を手伝ってくれた彼女と別れる前に
「…ありがとな」と礼を言って車に乗る。
窓越しに彼女は深くお辞儀をすると
俺が見えなくなるまであいつはそのままだった。
「…あいつ、誰なんですか」
暗い空気の車内で少し掠れてしまった俺の呟きに
「え!? あ、か、彼女は…」と伊地知さんは驚きつつも
説明をしてくれた。どうやら東京の任務に来ており
緊急要請に応じてくれため新田さんが連れてきたようだ
多分本来の任務の補助監督も新田さんだろう。
「京都校の一年生、名字さんですね」
「名字……もしかして…」
俺がミラー越しに伊地知さんと目を合わせると
「そうです」と頷かれた。
名字家が去年いきなり明かした存在である少女
夏油さんやクソ親父が妙に反応してたのを覚えてる
確か、二級呪術師として今年京都校に入学していたはずだ
つまりはアイツと俺は一緒の学年ということになる。
名字家、特に聞いたことがなかったが
御三家ほどじゃなくとも呪術師の家系ではあるはず
それなりに思想がイカれててもおかしくはないが…
と思いながら、先程までの記憶を思い返す。
虎杖悠仁は宿儺の器として呪術師であれば
少なからず耳には入っているはずだし異様な存在だ。
緊急要請の際に説明を受けているだろう
それでも、アイツは確かに反転術式を施していた
(……アイツは、悪い奴じゃない)
わざわざ東京に任務をしにきているんだ
もしかしたら、また会えるかもしれない。
互いに生きていれば、いずれ、また
そう思いながら、疲れが溜まった俺は目を閉じた。
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