yes,my master
部屋につき、僕は冷蔵庫から保冷剤を取り出し
ハンカチで包んで彼女の目元と手首を冷やした。
その間にプレイについて大事なことを話す
「えっと、まずはセーフワード、だね……」
「セーフワード……えと、やめてください…?」
「〝やめてください〟だね、うん、わかった!」
ベットで腰掛けてプレイについて話し合う
僕も彼女も意志を持ってプレイするのは初めてだ
だからこそ、話し合うことが大事になる。
「してほしくないことは…?」と尋ねると
彼女は少し黙って考える
「痛いのと、無理やりなの…は、やだ…」
瞳を揺らした彼女に「うん、絶対に、しないよ」と誓う
制服の上着を脱いでベットに置く
彼女も保冷材から手を離した。
少しの静寂、何も言わずにお互いに
これから、始まるのだと察した。
『おすわり、して?』
こくん、と頷いて彼女はベットから腰を上げると
ぺたんと僕の目の前で可愛くおすわりをした。
コレは基本的なプレイの一つにすぎない
だけど、やっぱり嬉しく感じてしまう。
『お利口さんだね…上手だよ』
頭を撫でると彼女はその掌にすりすりと
自分からすり寄る。猫が懐き、甘えてくれてるみたいで
可愛いという感情が溢れ出てくる。
『コレ、好き? 教えて?』
彼女が気持ちよいのか知りたくて尋ねた
「…好き、気持ちよくて、安心する」
素直にそう答えてくれる彼女の言葉に目を細める
『いい子』教えてくれた彼女を褒めると
彼女は頬を紅潮させ僕の手にすり寄りながら
上目遣いでこちらを見上げてくる。可愛い…。
彼女の姿を見る。ネクタイは彼女に渡したけど
今はつけていない。しかし、上着を着ているため
かっちゃんのような制服スタイルだった。
『上着、渡して?』苦笑いしながら手を出す
彼女は少しだけ首を傾げたが上着を脱いで渡してくれた
それを褒めながら自身の置いた上着の隣に並べた。
ネクタイを緩め、僕も外す。
『…おいで』
両手を広げてそう言うと彼女はゆっくりと起き上がり
ベットを軋ませながら僕の太ももに乗り上げて
対面でぎゅっと抱きしめ合った。
彼女の温もりが心地よく目を細める
後頭部に手を回し、彼女の髪に指を通す
それを合図に彼女が顔をあげる
冷やした分いくらか赤みが引いた目元に
あの時と同じように口付ける。
リップ音を出しながら何度も場所を変え、唇で触れる
彼女は僕の唇が触れるたびに身体をびくびくとさせ
シャツを握り締める。その反応が可愛くて
目元だけじゃなく、髪の毛や手の甲に優しく触れた。
彼女は顔を赤くさせながらも大人しくされるがままだった
『好き?』口付けながら囁いた。「ん………すき」
瞳をとろんとした表情でこちらを見る彼女
頬に手を添え微笑んでいると彼女の視線が
僕を見て、そして物欲しそうにほんの少し下に下げ
恥ずかしそうに視線を大きく右に逸らし
また、僕の瞳へと戻ってきた。指の腹で頬を撫でる。
彼女はこちらを見つめるとゆっくりと瞼を閉じた
数秒だけ、彼女の顔を見つめる。
もう片方の手も彼女の頬に沿わせ顔を近づける
ゴクッと喉が鳴ると彼女がぎゅっときつく目を閉じた
その表情にくすくすと笑い、口を近づける
前髪越しに僕は彼女の額へと口付けた。
唇をゆっくりと離すと彼女がもたれかかってくる
それに少し驚きつつ受け止めて頭に頬をくっつけた
「……すぅ…すぅ」
「…あれ、寝ちゃった……!?」
一定のリズムで呼吸をして目を閉じている姿を見て
僕はぱちぱちと瞬きを繰り返して彼女を起こさない
ぐらいの大きさで吹き出して喉でくつくつと笑う。
ドサッとまとめてベットに倒れて布団を何とか
引っ張って一緒に包み込み、抱きしめる
彼女に誘われるかのように、僕も瞳を閉じた。
僕が起きた時には彼女の温もりすら残っておらず
彼女を一目見ることすら、出来なくなってしまったんだ。