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モブ、プロヒーローを拾う。~大・爆・殺・神ダイナマイト編~


その後の事件はデク、ショート
そして大・爆・殺・神ダイナマイトのおかげで解決
三人とも大怪我により入院生活を余儀なくされた

あれから私も数日の入院生活を過ごしていると
住んでいたアパートがまさかのリフォームをしており
ボロアパートから普通に良いアパートへと変化した。
まぁ、それもこれも用意してくれたのは
爆豪さんなんだけど

退院後、やっぱりトップヒーローの爆豪さんは忙しくて
私はテレビから一方的に彼を眺めてるだけだった
まぁ…そのほうが跡形もなくあの告白()の自然消滅が
達成出来そうなので結果オーライなんだけどね……!

綺麗に保管されていた私物の荷解きを終え
ゴミ捨て場へとまとめてゴミを捨てた私は
達成感にふぅーっと一息を吐いた。
そう言えばあの日もこうやってゴミ捨て場に
ゴミを捨てに行ったんだっけ…
と、思い出し笑いをしていると
私の肩を誰かが掴んだ。
驚きと期待にバッと首を動かす。
しかし、それは失望へと変わった。
「何しに来たの」冷たい声で問い、その手を振り払う。
「いや、お前が心配だったから見に来たんだよー!」
そう言ってヘラヘラと笑うこの男。
私の人生においての汚点である
初めての彼氏であった人物だ。
「ヤらせてくらないなら付き合ってる意味ないよ」
と、自己中で最低な振られ方をされて
落ち込む日々を過ごしていた私は
あの日にこの男が残したものを
ぜーんぶ片っ端から捨ててやったのだ。
どうせろくでもないことしか考えていないのだろう
こんな奴、もう相手になんかするものか
そう思いせっせと自宅の中へと入ろうとすると
思いのほか強い力でドアに乱暴に押し付けられた。
「離して!」叫ぶ私の口を片手で抑えると
ソイツはスマホの画面をこちらへと向ける
そこにはあの日アインツが配信していたであろう
動画が流れていた。初めて見た映像に目を見開く
「お前なんだろ? すぐ分かったぜ」
コイツ、配信見とったんかいこのクズ野郎!!!!
「やっぱお前って俺好みのカラダしてんだよな」
目線がおっぱいにいってんぞこのゴミ野郎!!!!
ってか、アインツの野郎あの時身体の向き変えたの
カメラの正面に私を映すためかよ!
コメントも盛り上がってんじゃねーかクソ!!!
「な、コレばらまかれたら困るよな?」
ハ?と怒りで眉間にしわが寄るのが分かった
コイツ馬鹿か? この映像は警察やヒーローが頑張って
消去し続けている。実際に逮捕者が続出して
今じゃもうネットに上げることも検索すらされてないって
私は聞いている。それなのにコイツはそれを使って?
脅してるつもりなのかァ!?と内心鼻で笑っていると
奴はそれが分かっていたのか「ネットでは、だろ?」と
ニヤリと笑った。まさかコイツ…。
「実際にやり取りすれば足はつかねーって」
それはつまり知人等に私が襲われている映像を差し出す
ということなんだろう。本当に最ッ低…!!!
と、男を睨みつける。
「なァ、俺だけの動画も撮らせてよ」
そう言って奴の手が服の中へと侵入してくる
私は涙を溢しながら、自分自身を嘲笑した
本当に、何でこんな身体目当てのクズ野郎なんか
好きになっちゃってたんだろう。

「――――オイ」

ぎゅっと目を閉じていると地を這うように
低い威圧感のある低音が鼓膜を揺らした。
バチバチッと何かが弾ける音がする
そこには黒フードを被った男が掌から火花を散らしていた
え、嘘、何で…?
目の前の人物に混乱していると男はフードから顔を出す
綺麗な金髪に、目が離せない鮮明な赤色の瞳

「え、は? だいな、まいと……?」

元カレが呆然とそう呟いた。
男の力が抜けた瞬間爆豪さんは一瞬で携帯を掴むと
「俺ァ、忠告したぜ…全員殺すってなァ…!!!」
あ、キレてる。マジギレだ、コレ
と、悪鬼羅刹の表情に私まで縮こまる。
BOOM!と爆破によりクズの携帯は木っ端みじんに砕け散った
「人のオンナ、何泣かせてんだテメー」
「えっ、いや…これは…」
「ア゛ァ!?」
爆豪さんの圧力に秒殺されたクズは情けなく
泣き叫びながらその場を去っていった。
「ば、爆豪さ――」名前を呼びきる前に抱きしめられた
優しく安心できる温もりに、ぶわっと涙が溢れ出す。
それを慰めるように優しく掌が頭をぽんぽんと撫でた
数分後、涙を流し落ち着いた私の様子を見ながら
爆豪さんは私の目元を労わるように拭ってくれた。
こちらを見る、真剣な眼差しに何も言えず黙っていると
爆豪さんがゆっくりと、口を開いた。

「………今みてェに襲われるかもしんねェ」

「……はい」

「お前を置いていくかもしんねェ」

「…はい」

「それでも」

「……」

「俺はオマエと一緒に居てェ」

彼のその台詞と共に静寂が訪れる。
数秒目を逸らさず見つめ合い、頬に添えられた手を握った

「また、救けてくれますか?」

「あァ」

「最期までヒーローであり続けますか?」

「……アァ」

私は、その素直な答えにクスッと笑い、背伸びをした。

「大好きです、爆豪さん」

私の答えに対して、爆豪さんは丸く身を屈めた
ゆっくりと、目を閉じる。

のちに、三大トップヒーロー電撃連続結婚報告は
敵襲撃事件をも超える大事件となり
いろんな意味で日本を揺るがすこととなった。

* * * * * *

「…それにしても爆豪さん
 よく私の事好きになりましたね?」

「あァ?
 …ハッ、そりゃーなァ」

「何ですか?
そんな楽しそうに笑っちゃって…」

「仕方ねーだろ
 〝だって好きって気付いちまった〟ンだからよォ?」

「…………なあああああああああ!?!?!?」

* * * * * *
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