#05.よかった…守れた…!
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久しぶりにイーリスに帰ってきてのことだった。都の民達は不安と恐怖を聖王エメリナ崇拝によって紛らわし、日々を送っている。しかし確実に初めて城下町を歩いた日のような活気は消えていた。変わりに闊歩する鎧兜達は目を爛々とさせて警戒体勢を強めて旅人達を萎縮させている。
だが、名前には所詮他人事のように思えてならなかった。というのも、久しぶりに屋根付きベッドという居住で休める喜びに勝るものではなかったのだ。リズやマリアベルといった少女達と喜びを分かち合いつつ、いつものように皆と食事を共にした。僅かな量を摂取終えれば、のんびりとした足取りでアジトのあてがわれた小さな部屋で身体を休める。それもほんの少し。ぼんやりと考え事を始めるとこれからの行く末ばかりが遮るのだ。今この瞬間に男が現れ出ていることを祈り、結局名前は部屋を出て、宿場や酒場に向かうことに決めた。
のらりくらりと部屋を出て、アジトの廊下を足音小さく歩いたところだった。
「これから出掛けるのかい?」
「あ、はい…」
「もうじき夜になるし、あまり出歩かない方がいいんじゃないかな?」
「………」
ソールに引き留められ、名前は躊躇した。
確かに既に日は落ちていくばかりだし、これから城下町に出て帰りは何時になるかはわからない。慣れたと言っても迷子にならない保証もなかった。
それでも、と言いたげな迷う名前を見て、ソールはそうだとばかりに手を叩く。
「夜食を作ったんだけど、君もどうだい?」
「……え?」
「僕、お腹空いちゃって。よかったらお裾分けするよ」
「で…でも…」
「遠慮しなくていいよ。さぁ、こっちだ」
人の良い青年は極自然に名前を強引に誘い込んだ。断る術を与えられず、それは意識があってのことか無意識かは名前にはわからない。だがタイミングが失われたことだけは確かだ。
名前は口を結び、心中で溜息を吐いてソールの後を追いかけた。
ソールの向かったテーブルには先客がいた。おや、とアルトな声でソワレは名前をにこやかに出迎え、じろりと睨みつけたように目線を向けたのはロンクーだ。彼はとりわけ機嫌が悪そうである。
「君も食事かい?」
「えっと…」
「ソールとロンクーが作ってくれたそうだよ。楽しみだな」
「……俺は下拵えを少ししただけだ」
「だからお礼にごちそうするんじゃないか」
「礼など不要だ。ましてや……女に囲まれて物を食うのは…」
「ロンクー。人の好意は素直に受け取るべきじゃあないかい?」
ソワレの一言にロンクーは押し黙る。反論を考えているのか沈黙を貫いたがそのまま、女性恐怖症からの緊張で脂汗を流すだけとなり、結局口を開くことがなくなった。名前も同じくソワレの言葉に食事に乗り気じゃない胸が痛い。
それじゃあ、と話を区切り、名前をソワレの横の椅子に座らせ、ソールはうきうきと台所に向かって消えていく。
その背を見送って、一時気まずい雰囲気。
「どうだい?苗字はこの生活に慣れたかい?」
「…慣れたかどうかはわかりませんが…でも、ようやく戦いの最中で倒れることはなくなりました」
「ははっ最初はばったばったと倒れていたっけ?クロムやルフレ達がその度慌てたっけ。もちろんボクも心配したよ」
「すみません…迷惑をかけてばかりで…」
「そんなことないさ。君の弓術、ボクも一目置いているよ」
「あ……ありがとう…お世辞でも嬉しいです…」
「ボクがお世辞を言うように見えるのかい?それは心外だな」
ソワレは軽快に話をしてくれるので、名前は照れてはにかみながらも応える。
「……で?君は何かないのかい?」
「…何かとはなんだ」
「苗字とは話をしたことないだろう?仲間なんだ、折角の機会だ。交流しなよ」
率直な言葉である。こんなにも爽やかに嫌味少ない言動が出来るのはソワレだけだろう。名前はただ驚かされ、また恥ずかしかった。まさかこの為にソールとソワレが仕向けたのではと疑ってしまう。
ロンクーは名前をまた威嚇するように見つめ、唸るように声を上げた。
「…交流なら…あった…」
「えっ」
「そうだったのかい?」
名前は慌てて否定の意を込めて首を振る。覚えがないし、ソワレも狐に摘まれたように目をぱちぱちと瞬く。
ロンクーは忌々しい思い出を巡らせているかのように強面を露わにした。
「お前が卒倒して、よりにもよって俺にしなだれかかっただろう…!戦闘中でなければ…こっちが気を失うところだった」
「え…ご、ごめんなさい…!…私、お、覚えていない…!」
「…かまわん。過ぎたことだ」
「というより、覚えていなくても仕方ないさ。…それにそれは交流とは言わないよ、ロンクー」
「……俺にとっては強烈な出来事だった。女に触ってしまったな…!」
「ご…ごめんなさい…」
ロンクーの極度の女嫌いは周知の事実だ。名前は頭を擡げて刺激が少ないように小さな声ながら謝り続ける。ロンクーもそれに居心地悪くなったか、多少顔を歪めてぶっきらぼうに返した。
「謝るな。お前は戦いに関して素人だったんだ。血や死体を見て気を失うのが自然というものだろう」
「……」
「これから最低限、俺に関わらなければそれでいい」
「じゃあ…あの…」
「なんだ」
「ありがとうございました…助けてもらったのに、お礼してなくて…すみません…」
「…!」
名前はテーブルに額が付くくらいに頭を下げた。ロンクーは面食らい、隣のソワレに思わず目を向けた。ソワレも驚いて瞬きを繰り返していたが、名前の頭をあげるように声をかけた。
「苗字、そんなに頭を下げなくていいよ」
「……え?」
「仲間なんだ。苦しいときや辛いときは、頼り合うものさ。そんなに重く取らなくていい」
「…そうだ。背中がむずかゆくなる」
「………」
ソワレは苦笑いを浮かべ、ロンクーは相変わらず難しい顔だ。そんなに仰々しくなってしまったのだろうか、と軽い気持ちで頭を下げた名前の方が首を傾げる。
「お待たせ。美味しそうに出来たよ」
「お、きたきた!さぁ苗字、気を取り直して食べよう」
「あ、は、はい…」
嬉しそうに盆に乗せた重そうな皿を四つ持ってソールが戻ってきた。彼が用意したのは芋のスープらしい。野菜をすりつぶしたポタージュ状のそれが湯気を上げたままテーブルに置かれた。
「暖めるのに時間がかかっちゃったよ。美味しく出来ているといいけど」
「出来てるさ。少なくともボクが作るよりずっとね」
「ありがとう。…苗字も無理せず食べてほしい」
「…う…うん…」
名前の顔色は暗い。あまりお腹の方も空いてはいないし、拒食の気は残念ながら治っていない。だが仲間はそんな名前を少食な少女であるという認識しか持っていない者が多い。時折こうした間食の誘いや些細な菓子を握らされたりしたが、名前はそんな優しさに感謝すらすれど、どうにかしてかわしたり、誰かに譲ったりをしてきた。
さて。どうしたものか。
名前は握った木製のスプーンを揺らして一口、口に含んだ。出されたものを丸々残すのは、といつものように手を着けてみる行為だ。
暖かくて優しい味だと思えた。
どろりとした触感は咀嚼を促すものとなり、人肌に似た熱がすぅっと口の中に広がる。繊細な舌を持ち得ない名前だったがいの一番に浮かんだ感想だった。
隣のソワレも頷きつつスープをじっくり味わっている。ソールはちらりとそんな皆の顔色をうかがいながら自分も口に含んだ。
「…おい」
「うん?口に合わなかったかな?」
「お前…何か入れたか?」
「…!」
ソールは驚いて瞬き、それから恥ずかしそうにはにかんで、寝癖の酷い頭を掻いた。
「よくわかったね。ちょっとした香草代わりを少し」
「……香草?」
「えーっと……遠国の薬草だよ。体力がつくって評判なんだ」
「そういえば、君の生家は薬屋だったね」
「うん。この間偶然手に入れたんだ。だから折角苗字も誘ったし、使ってみようかなと思って。少ない食事量でも身体に良いものを食べてほしかったから」
「あ……す、すみません…私、全然気づかなかった…」
「あはは、それはそうだよ。気づかないようにしたんだけどなぁ」
「…毒かと思ったぞ」
「まさか!ソールがそんなもの入れるわけないだろう」
名前もソワレの言葉に同調するように何度も頷いた。ロンクーの言葉は多少冗談も混じっていたのだろうが、言葉の調子が生真面目すぎて通じるものも通じない。
まぁまぁ、と話題の中心人物であるソール自身が割って入り、にこやかに論争は集結する。
「ロンクーもソワレも、修練に励むのもいいけど、こういう身体の内に入れるもので体調を整えないとと思うんだ。だから遠慮せずに食べてほしい」
「…確かに。そういうことなら」
「うん。利に適ってるね。さすが、食事に関してはソールは抜け目ないね」
「あはは…苗字も、食べられるだけでいいから。時間をかけて、無理せずにね」
「あ……はい」
鷹揚に頷き、口に含んだ。少しだけ熱が冷めたそれは、薬草が入っているなどと言われなければ違和感はない。
それでも先程より美味しく感じたのは、きっと気のせいなどではなかった。
名前はちらりと盗み見たソールと目があって、にこりと笑い返した青年を慌てて反らした。以降、顔があがらずにスープを睨みつけるだけ。そんな名前の頬と耳だけが赤くなっていくのに気づいたのは、自分と彼だけだった。
しかし。
名前のほのかな緊張とゆったりとした時間は、駆け込んできたルフレによって壊される。
だが、名前には所詮他人事のように思えてならなかった。というのも、久しぶりに屋根付きベッドという居住で休める喜びに勝るものではなかったのだ。リズやマリアベルといった少女達と喜びを分かち合いつつ、いつものように皆と食事を共にした。僅かな量を摂取終えれば、のんびりとした足取りでアジトのあてがわれた小さな部屋で身体を休める。それもほんの少し。ぼんやりと考え事を始めるとこれからの行く末ばかりが遮るのだ。今この瞬間に男が現れ出ていることを祈り、結局名前は部屋を出て、宿場や酒場に向かうことに決めた。
のらりくらりと部屋を出て、アジトの廊下を足音小さく歩いたところだった。
「これから出掛けるのかい?」
「あ、はい…」
「もうじき夜になるし、あまり出歩かない方がいいんじゃないかな?」
「………」
ソールに引き留められ、名前は躊躇した。
確かに既に日は落ちていくばかりだし、これから城下町に出て帰りは何時になるかはわからない。慣れたと言っても迷子にならない保証もなかった。
それでも、と言いたげな迷う名前を見て、ソールはそうだとばかりに手を叩く。
「夜食を作ったんだけど、君もどうだい?」
「……え?」
「僕、お腹空いちゃって。よかったらお裾分けするよ」
「で…でも…」
「遠慮しなくていいよ。さぁ、こっちだ」
人の良い青年は極自然に名前を強引に誘い込んだ。断る術を与えられず、それは意識があってのことか無意識かは名前にはわからない。だがタイミングが失われたことだけは確かだ。
名前は口を結び、心中で溜息を吐いてソールの後を追いかけた。
ソールの向かったテーブルには先客がいた。おや、とアルトな声でソワレは名前をにこやかに出迎え、じろりと睨みつけたように目線を向けたのはロンクーだ。彼はとりわけ機嫌が悪そうである。
「君も食事かい?」
「えっと…」
「ソールとロンクーが作ってくれたそうだよ。楽しみだな」
「……俺は下拵えを少ししただけだ」
「だからお礼にごちそうするんじゃないか」
「礼など不要だ。ましてや……女に囲まれて物を食うのは…」
「ロンクー。人の好意は素直に受け取るべきじゃあないかい?」
ソワレの一言にロンクーは押し黙る。反論を考えているのか沈黙を貫いたがそのまま、女性恐怖症からの緊張で脂汗を流すだけとなり、結局口を開くことがなくなった。名前も同じくソワレの言葉に食事に乗り気じゃない胸が痛い。
それじゃあ、と話を区切り、名前をソワレの横の椅子に座らせ、ソールはうきうきと台所に向かって消えていく。
その背を見送って、一時気まずい雰囲気。
「どうだい?苗字はこの生活に慣れたかい?」
「…慣れたかどうかはわかりませんが…でも、ようやく戦いの最中で倒れることはなくなりました」
「ははっ最初はばったばったと倒れていたっけ?クロムやルフレ達がその度慌てたっけ。もちろんボクも心配したよ」
「すみません…迷惑をかけてばかりで…」
「そんなことないさ。君の弓術、ボクも一目置いているよ」
「あ……ありがとう…お世辞でも嬉しいです…」
「ボクがお世辞を言うように見えるのかい?それは心外だな」
ソワレは軽快に話をしてくれるので、名前は照れてはにかみながらも応える。
「……で?君は何かないのかい?」
「…何かとはなんだ」
「苗字とは話をしたことないだろう?仲間なんだ、折角の機会だ。交流しなよ」
率直な言葉である。こんなにも爽やかに嫌味少ない言動が出来るのはソワレだけだろう。名前はただ驚かされ、また恥ずかしかった。まさかこの為にソールとソワレが仕向けたのではと疑ってしまう。
ロンクーは名前をまた威嚇するように見つめ、唸るように声を上げた。
「…交流なら…あった…」
「えっ」
「そうだったのかい?」
名前は慌てて否定の意を込めて首を振る。覚えがないし、ソワレも狐に摘まれたように目をぱちぱちと瞬く。
ロンクーは忌々しい思い出を巡らせているかのように強面を露わにした。
「お前が卒倒して、よりにもよって俺にしなだれかかっただろう…!戦闘中でなければ…こっちが気を失うところだった」
「え…ご、ごめんなさい…!…私、お、覚えていない…!」
「…かまわん。過ぎたことだ」
「というより、覚えていなくても仕方ないさ。…それにそれは交流とは言わないよ、ロンクー」
「……俺にとっては強烈な出来事だった。女に触ってしまったな…!」
「ご…ごめんなさい…」
ロンクーの極度の女嫌いは周知の事実だ。名前は頭を擡げて刺激が少ないように小さな声ながら謝り続ける。ロンクーもそれに居心地悪くなったか、多少顔を歪めてぶっきらぼうに返した。
「謝るな。お前は戦いに関して素人だったんだ。血や死体を見て気を失うのが自然というものだろう」
「……」
「これから最低限、俺に関わらなければそれでいい」
「じゃあ…あの…」
「なんだ」
「ありがとうございました…助けてもらったのに、お礼してなくて…すみません…」
「…!」
名前はテーブルに額が付くくらいに頭を下げた。ロンクーは面食らい、隣のソワレに思わず目を向けた。ソワレも驚いて瞬きを繰り返していたが、名前の頭をあげるように声をかけた。
「苗字、そんなに頭を下げなくていいよ」
「……え?」
「仲間なんだ。苦しいときや辛いときは、頼り合うものさ。そんなに重く取らなくていい」
「…そうだ。背中がむずかゆくなる」
「………」
ソワレは苦笑いを浮かべ、ロンクーは相変わらず難しい顔だ。そんなに仰々しくなってしまったのだろうか、と軽い気持ちで頭を下げた名前の方が首を傾げる。
「お待たせ。美味しそうに出来たよ」
「お、きたきた!さぁ苗字、気を取り直して食べよう」
「あ、は、はい…」
嬉しそうに盆に乗せた重そうな皿を四つ持ってソールが戻ってきた。彼が用意したのは芋のスープらしい。野菜をすりつぶしたポタージュ状のそれが湯気を上げたままテーブルに置かれた。
「暖めるのに時間がかかっちゃったよ。美味しく出来ているといいけど」
「出来てるさ。少なくともボクが作るよりずっとね」
「ありがとう。…苗字も無理せず食べてほしい」
「…う…うん…」
名前の顔色は暗い。あまりお腹の方も空いてはいないし、拒食の気は残念ながら治っていない。だが仲間はそんな名前を少食な少女であるという認識しか持っていない者が多い。時折こうした間食の誘いや些細な菓子を握らされたりしたが、名前はそんな優しさに感謝すらすれど、どうにかしてかわしたり、誰かに譲ったりをしてきた。
さて。どうしたものか。
名前は握った木製のスプーンを揺らして一口、口に含んだ。出されたものを丸々残すのは、といつものように手を着けてみる行為だ。
暖かくて優しい味だと思えた。
どろりとした触感は咀嚼を促すものとなり、人肌に似た熱がすぅっと口の中に広がる。繊細な舌を持ち得ない名前だったがいの一番に浮かんだ感想だった。
隣のソワレも頷きつつスープをじっくり味わっている。ソールはちらりとそんな皆の顔色をうかがいながら自分も口に含んだ。
「…おい」
「うん?口に合わなかったかな?」
「お前…何か入れたか?」
「…!」
ソールは驚いて瞬き、それから恥ずかしそうにはにかんで、寝癖の酷い頭を掻いた。
「よくわかったね。ちょっとした香草代わりを少し」
「……香草?」
「えーっと……遠国の薬草だよ。体力がつくって評判なんだ」
「そういえば、君の生家は薬屋だったね」
「うん。この間偶然手に入れたんだ。だから折角苗字も誘ったし、使ってみようかなと思って。少ない食事量でも身体に良いものを食べてほしかったから」
「あ……す、すみません…私、全然気づかなかった…」
「あはは、それはそうだよ。気づかないようにしたんだけどなぁ」
「…毒かと思ったぞ」
「まさか!ソールがそんなもの入れるわけないだろう」
名前もソワレの言葉に同調するように何度も頷いた。ロンクーの言葉は多少冗談も混じっていたのだろうが、言葉の調子が生真面目すぎて通じるものも通じない。
まぁまぁ、と話題の中心人物であるソール自身が割って入り、にこやかに論争は集結する。
「ロンクーもソワレも、修練に励むのもいいけど、こういう身体の内に入れるもので体調を整えないとと思うんだ。だから遠慮せずに食べてほしい」
「…確かに。そういうことなら」
「うん。利に適ってるね。さすが、食事に関してはソールは抜け目ないね」
「あはは…苗字も、食べられるだけでいいから。時間をかけて、無理せずにね」
「あ……はい」
鷹揚に頷き、口に含んだ。少しだけ熱が冷めたそれは、薬草が入っているなどと言われなければ違和感はない。
それでも先程より美味しく感じたのは、きっと気のせいなどではなかった。
名前はちらりと盗み見たソールと目があって、にこりと笑い返した青年を慌てて反らした。以降、顔があがらずにスープを睨みつけるだけ。そんな名前の頬と耳だけが赤くなっていくのに気づいたのは、自分と彼だけだった。
しかし。
名前のほのかな緊張とゆったりとした時間は、駆け込んできたルフレによって壊される。