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松野カラ松、空白の3時間

東京都赤塚区に一戸建てを構える松野家。夫の松蔵は働き、妻の松代は専業主婦をしているが、この2人には、世にも珍しい一卵性の6人の息子がいた。そしてその息子たちは、20代前半でありながら全員無職であった。
春が近いと言えど、時折吹く冷たい風に身を震わせる頃。長男である松野おそ松は、寝室兼居間の2階の部屋で寝転んでいた。競馬、パチンコと何かと賭け事が好きなおそ松は、この日も朝早くからわずかな軍資金でパチンコ屋に並び、惨敗して昼前に帰ってきたのである。
「はぁ~あ、最近俺、ついてないわぁ~」
松を模したワンポイントがある赤いパーカーとジーンズ姿のおそ松は、大きくため息をついた。
弟たちは皆出払っているらしく、松代が1階の廊下を歩く足音くらいしか聞こえない。ちょっかいを出せる弟たちがいないとなると、金がない今、漫画を読むか寝る以外の選択肢がない。おそ松は上体を起こし、本棚に並べられた漫画に手を伸ばした。
とその時、ガラガラと玄関の引き戸が開く音が聞こえた。靴音から察するに1人。
「おっ!何松だ?」
おそ松の顔が一転、ぱあっと明るくなり、再び寝転がった。ちょうどいい『暇潰し』が帰ってきたのだ。
足音はゆっくりと階段を上がってきて、その主は勢いよく部屋の襖を開けた。
「アイムホーム、ブラザー……」
その姿を確認した瞬間、おそ松の期待は一気に萎んだ。妙に格好をつけた口調、整えられた凛々しい眉、おそ松と同じデザインの青いパーカー。
「お前かよ……カラ松」
帰ってきたのは次男である松野カラ松であった。弟がいないことに気づいたカラ松は、ん?とおそ松に視線を送り、そのすぐ隣に座り込んだ。
「その顔は負けたようだな、おそ松」
「っるせぇよ」
おそ松は弟たちに対して分け隔てなく接しており、カラ松に対してもそのつもりだったが、常時「イタイ」言動をとるカラ松は若干扱いづらいと考えていた。
無自覚なのかわざとなのか、ナルシスト気質のあるカラ松は、どこからともなく手鏡を取り出し、自分の顔を眺め始めた。
「今日も完璧だぜ、オレ……」
「はぁ~、よくもまぁ飽きないよね。そんなに鏡で確認しなくとも、もう5つ同じ顔がいるのにさぁ」
おそ松は欠伸をしながらだるそうに言った。
「んで?カラ松は何しに行ってたわけ?また逆ナン待ち?」
「フッ、いい質問だなおそ松」
カラ松は手鏡から目を離しウインクをした。
「聞いて驚け。ついに古本屋で三国志を読破してきた」
「ほえ~、早くね読むの。てか暇だねぇ~」
「お前も暇だろう」
「へいへい、暇ですよ~。パチンコ負けて暇ですよ~だ」
おそ松は大の字になって天井を仰いだ。結果は別としてパチンコに行くという目標を達成した今、残りの今日という時間をどう過ごすか、考えを巡らせた。
「お前、このあとなんか予定あんの?カラ松」
「フッ……ノープランだ」
「だよね。じゃ俺寝るわ。寝不足なんでね。おやすみ」
カラ松と時間を潰すより昼寝を選んだおそ松は、押し入れから枕とブランケットを取り出し、1分もしないうちに寝てしまった。
カラ松はそんなおそ松を気にするわけでもなく、引き続き手鏡で己の顔を眺めたり、付箋でいっぱいのファッション雑誌を読んだりして過ごした。

おそ松が目を覚ましたのは14時半頃であった。
ソファの上にファッション雑誌があるだけで、カラ松の姿はなかった。
ぼんやりとする頭の中で、己にとっての第一優先事項が昼飯だと弾き出されると、食いっぱぐれたか、とおそ松は焦って階段を駆け下りた。勢いよく居間の襖を開けると、弟たちが勢ぞろいしているのが目に入った。
「あ、おそ松兄さんおはよ~」
最初に声をかけたのは末弟のトド松であった。ピンク色のパーカーを着て、壁にもたれかかってスマートフォンをいじっている。その横には黄色のパーカーを着た五男の十四松が、大きなバランスボールの上に大の字でへばりついてゆらゆらと揺れていた。
「あぁ、お前ら帰ってきたのか」
おそ松は居間を見渡し、中央にあるちゃぶ台の上に1人分の昼飯がラップをかけられているのを見てホッとする。
「それ、昼飯。カラ松兄さんが、おそ松兄さんが上で寝てるって言ってたから」
電話帳のような厚さの求人誌を読んでいたのは、緑色のパーカーを着た三男のチョロ松。四男の一松は、紫色のパーカーを着て、毛並みの美しい猫と戯れている。
「カラ松は?また出ていったの?」
おそ松は午前中のカラ松とのやり取りを思い出した。
「母さんに買い物か何か頼まれてたよ」
「ふ~ん」
何かと弟たちのことは把握しておきたい性格のおそ松だったが、お腹が空いている今、カラ松の行き先についてはすぐに興味を失った。早々と昼飯を食べ終え、チョロ松にちょっかいを出しながら漫画を読んだ。
カラ松が帰ってきたのは、それから1時間後のことであった。

翌朝、一番最後に起きたおそ松は、テレビを見て今日が日曜日だと把握した。特にすることもなく、パジャマ姿のまま2階に戻ってまた布団に潜った。弟たちは全員出払っている。
「皆忙しいねぇ」
男6人分の横に長い布団の中に、1人だけすっぽりと潜ると、やけに広く感じた。
「スーパーウルトラキングサイズ~!なんつって」
掛け布団を寄せ集め、隙間がないように体に密着させた。

目を覚ましたとき、ソファの上でトド松が体育座りをしてスマートフォンをいじっているのが見えた。今日はグレーのVネックセーターにシャツ、ロールアップしたジーンズという姿だ。
「おはよう、おそ松兄さん」
「んぁ、おはよう」
体を起こして大きな欠伸とともに伸びをするおそ松。
「最高の寝顔だったよ。SNSに上げられないくらいのインパクト」
「また撮りやがって。イケメンすぎて惚れたか?」
「うん、惚れた惚れた」
トド松はそう言ってスマートフォンの画面をおそ松に向ける。おそ松は布団から這い出ると画面を覗き込んだ。片腕を布団の外に放り出し、大口を開けて白目を剥いた不細工な顔が画面いっぱいに収まっていた。
「さすが俺」
変顔は得意な方だと自負しているおそ松は、自然に作り出された顔が不細工を極めていると少し嬉しいのであった。
「見て見て、女の子たちとランチ行ってきたんだ~。駅前のオシャレなお店!」
トド松は画面の上で指を左にスライドさせると、2人の女の子とトド松が写っている写真が現れた。テーブルの上に鮮やかな色をした料理が載っているが、おそ松にはそれが何だかわからなかった。
「ランチねえ~……あっ!昼飯!というか朝飯!」
「あったよ下に。おそ松兄さん、最近寝すぎなんだから」
「なんだよかった」
一瞬大きく見開いた目をまた眠そうにするおそ松。寝て暮らしていても自動的に飯が出てくるこの生活が優雅でたまらない。
「下に誰かいる?」
「いなーい。十四松兄さんは一松兄さんと散歩しに行ったし、チョロ松兄さんは同人イベントに行くって言ってた。カラ松兄さんは知らない」
「散歩長くねあいつら」
「野球でもしてるんじゃない」
おそ松は布団をぐるぐるに丸めて押し入れに投げ入れると、グレーのパーカーとジーンズを取り出した。
「はぁ~、今日は何しようか」
「釣りでも行く?」
「釣りかぁ」
悪くないと感じながらも、答えを出さずにおそ松は階段を下りていった。壁にかかっている時計は14時を指していた。すっかり冷たくなった白米と味噌汁を電子レンジで温めると、2食分のおかずとともにかきこんだ。あぐらをかいたまま両腕を後ろについてふぅと一息つくと、玄関の引き戸がガラガラと開けられた。
「……カラ松か?」
玄関から上がってきた人物は、サングラスに黒いレザージャケット、白いシャツ、ぴっちりとしたスキニーという姿であった。
「やっぱカラ松か」
カラ松を見るなり、また残念そうな顔をするおそ松。
「おそ松か」
カラ松はサングラス越しにおそ松を視認すると、そのまま廊下を抜け階段を上っていった。右手に四角い青い袋を持っていたのをおそ松は見逃さなかった。
おそ松は皿を台所に持っていき、スポンジに洗剤を含ませて手早く洗った。2階からカラ松とトド松の会話がかすかに聞こえる。
「おかえりカラ松兄さん。逆ナン待ちは無事失敗したの?」
「フッ、天使の声を聞いていたらいつの間にか時間が経っていたようだ……」
「はいはい、失敗ね。何買ってきたの?」
「オレという存在を高めてくれるバイブルだ……」
「あぁ雑誌ね。最新号が出たんでしょ」
トド松の翻訳に感心しながら、おそ松は歯磨きをする。階段を上っていくと、カラ松は部屋の入口に立ったままだった。
「おそ松、オレの昼飯まだあったか?」
「昼飯?」
おそ松はぎょっとした。
「え、俺の朝飯の分だと思って……」
「えぇ~!?」
カラ松は先ほどとは打って変わって大声を出した。目を見開いて口は固まっている。
「わりわり!だってご飯と味噌汁が出されてなかったんだぜ?」
おそらく松代は、昼の分の白米と味噌汁はセルフサービスで、ということだったのだろう。
「代わりにほら!ポテチやるよ!」
そう言うと、おそ松は布団とは反対側の押し入れをゴソゴソと探り、のり塩味のポテトチップスを取り出した。
「しょっぱいから十分おかずになるだろ!な?」
「おそ松兄さん、釣り行くー?」
「あ、そうだった。行こうぜ」
トド松はぴょんっとソファから下りると、カラ松の横を通り過ぎておそ松と階段を下りていった。カラ松は左手に押し付けられたポテチと、階段の先を交互に見た。
「……これ、オレのポテチなんだが……」

それから3週間ほど経った頃。
日曜日、おそ松は弟たちと1階の居間で昼飯を取っていた。おそ松から見て時計まわりに、トド松、チョロ松、一松、十四松の順で座っていた。カラ松は外出していた。今度はちゃんとカラ松の飯を取っておいてある。
食事を終えたおそ松は、歯磨きをしてから2階に上がる。壁にもたれかかって漫画を読んでいたところ、しばらくしてトド松も2階に上がってきた。特に会話もなく数分が過ぎたが、おそ松が漫画をパタンと閉じて、ソファに座るトド松を見上げた。
「ちょっといいか?トッティ」
「ん?なにー?」
スマートフォンの画面に夢中なトド松は、おそ松に視線をやることなく返事した。
「……最近、カラ松がどこ行ってるか知ってる?」
トド松の画面を撫でる指がピタリと止まった。
「あいつ、必ず日曜の昼いないじゃん」
トド松はくるっと顔をおそ松に向けた。
「さすがおそ松兄さんだね」
ソファを離れ、おそ松の正面にあぐらをかいて座り直す。
「……ボクも、同じこと考えてたよ」
「だよな!?ぜ~ったい怪しいよな!?」
「うん!特に日曜の昼!10時半から13時半の間!!絶対いない!!」
おそ松とトド松は、互いの言葉に全力で同意するように顔を指さした。
「よかったぁ、俺だけじゃなかったんだ、変だと思ってたの」
「いや、あれは気づくよ!ボクたちはニートと言えど、完璧なルーティンは存在しない!なのにカラ松兄さんときたら!!」
そう言うと、トド松はガタガタと身を震わせ始めた。
「もしかして、もしかしてなんだけど、このわずか3時間の間に、デ、デートでもしてるんじゃないかって思って、カラ松兄さんが、彼女作っちゃって、それで、そ、卒業とかしちゃってたら、ボク、敗北感がハンパなくて」
「おい!!それはやべぇぞ!!」
おそ松も冷や汗をかいて震えだした。
「あいつが俺たちよりも先に卒業!?というか彼女!?デート!?何それ!?リア充でニートとか甘えんなよクソカラ松ゥ!!!」
「ありえない!!無理なんだけど!!女の子とLINE交換してるボクより先に卒業とか!!縊り殺しそうぅぅ!!」
と、1階からチョロ松の「うるせぇ!!」という怒号が襖越しに聞こえた。
「…………どする?」
当初よりもだいぶ声のトーンを落とし、おそ松はトド松に聞いた。
「来週の日曜、カラ松兄さんが出ていったところを尾ける。それしかないよ」
トド松はスマートフォンの画面を操作し、おそ松に見せる。
「そして……決定的証拠を掴むんだ。逃げ場はないよ」
「へへっ……決まりだな」
カメラモードが起動している画面を見て、おそ松はニヤリと笑った。
その時、玄関からガラガラという音が聞こえた。
時計は13時半を指していた。

翌週の日曜。雲の少ないよく晴れた日であった。
青いパーカー姿のカラ松が、10時半に家を出ていった。それを赤いパーカーのおそ松とピンク色のパーカーのトド松が廊下の陰から見ていた。2人は顔を見合わせて玄関へ走り寄り、靴を履く。
「どこ行くの?2人とも」
チョロ松が居間からひょこっと顔を出した。手にはテレビのリモコンが握られていた。
「パチンコ!」
おそ松とトド松は声を揃えて返事し、おそ松が玄関の扉に手をかけて、くるりと振り返った。
「今日は、すっごくでかいのが当たる気がするんだよね。楽しみに待ってな?」
「待ってな?」
おそ松とトド松はウインクすると、ガラガラと引き戸を開け、カラ松が出ていったであろう方向に走り出した。
「あぁ……行ってらっしゃい」
チョロ松は興味なさそうにぽつりと言うと、リモコンの再生ボタンを押し、録り溜めたアニメの鑑賞会を始めた。
「兄さん、あと2000回くらいやりたいんだけど、いける?生きてる?」
「死ぬ……死ぬから……」
おそ松とトド松が走り出した方向とは反対側、十四松は一松をバッドにくくりつけて素振りをしていた。

おそ松、トド松はカラ松から50m後ろを保って歩いていた。日曜なので人通りも多く、前ばかり見つめているので何度も自転車に轢かれそうになった。カラ松に特に変わった様子はない。ジーンズのポケットに両手を突っ込み、姿勢よくスタスタと歩いている。
「トッティ、スマホ持ってきた?」
「もちろん。もう録画してる」
おそ松は先程側溝に落ちかけた右足の泥を気にしながら歩いた。
「どこに向かってるんだ?あいつ」
「このまま行くと、公園の方だね」
「公園デートか?」
「チビ太との遭遇率高そう~」
トド松は、何かヒントになる情報はないかと辺りをキョロキョロと見渡した。
「やっぱまだ何もなさそうだし、いったん録画切るね」
「おう」
トド松は、横にしていたスマートフォンを持ち直し、画面上の赤いボタンを押して録画を終了させた。
「公園といえばすぐ裏に団地があるよな」
「うん」
「……昼下がりの団地妻」
「ぶくくっ!何そのAVみたいな言葉!笑わせないでよ!」
その時、カラ松が大通りから消えた。ここからでは完全に死角となる左側の路地に入ったのだ。
「あっ!まずいぞ!」
2人は急いで走り寄る。あのあたりは車2台がギリギリ通れるほどの狭さの路地が入り組んでいる。ここで距離を詰めなければ、カラ松が迷宮の中へと消えてしまう。
路地の入口、住宅の外壁にへばりついたおそ松とトド松は、路地をまっすぐ進むカラ松を確認し、胸をなで下ろした。休日の住宅街は、大通りとは打って変わって隠れられるものが電信柱くらいしかない。カラ松に気づかれぬように、電信柱を渡り歩きながら尾行した。
「このへんに住んでるんじゃない?彼女とやらが」
「家デートかよ!くそ!羨ましい!彼女の家とか!」
「はは、ボクらの家は邪魔者が多いからね。なるほどねぇ?」
尾行時間が長くなるにつれ、カラ松への殺意を増幅させるおそ松とトド松であった。
左に折れ、まっすぐ進み、右に折れ、今度は左に折れ。
時刻は10時55分。カラ松の足がぴたりと止まった。
「止まったぞ……」
「どこで止まった?」
「ここからじゃわからねぇ。斜め向かいの電信柱まで行かねぇと……って!?」
おそ松が驚くのと同時に、トド松があっと叫んだ。
どの家で止まったかわからないが、その家の方向から人が現れたのだ。髪は白く、紺色のカーディガンを羽織った中肉の女性だった。カラ松とにこやかに談笑している。カラ松も、背の低い女性に対して少し身をかがめて話をしている。
「……トド松!録画開始だ!!」
「イエッサー!!」
トド松はスマートフォンを横にして、電信柱の横から手を突き出して動画の撮影を開始した。画面上部に録画時間が記録される。
「待て待て待て……あいつそんな趣味が……」
「母さんより遥かに上だよ……??」
おそ松、トド松は笑いがこみ上げてくる反面、あまりの衝撃に戸惑いの言葉しか出なかった。
中肉の女性はカラ松を中に入るようジェスチャーをすると、カラ松は頷いて女性とともに建物の中に入った。死角に入った。
「行くぞ」
おそ松の合図で、そろりそろりと建物との距離を詰めていく。隠れられる電信柱はあと2本。距離にして30m。建物から誰かが出てくる気配はないので、思い切って先程から斜め向かいの電信柱へと移動した。トド松が建物へとスマートフォンのカメラを向けた。
「……あれ?」
2人はポカンと口を開けた。
カラ松と中肉女性は、てっきり松野家と同じくらいの一戸建てに入っていったのだと想像していたが、そうではなかった。
立ち並ぶ住宅に埋もれるように突如現れたのは、三角屋根の真っ白な建物だった。高さは松野家よりも少し高い程度だが、広さは松野家の2倍はあった。
正面には質素ながら趣のある両開きの扉があり、その奥にはカーペットの敷かれたロビーが見える。
「おそ松兄さん、これって……」
おそ松は無言で電信柱から離れ、建物へと近づいていった。トド松が慌ててそのあとを追う。
ロビーの奥には建物のさらにその奥へとまっすぐ伸びる赤いカーペットが敷かれ、その両脇を囲むように木製の長椅子が数列並べられていた。中には数十人もの人々が集まっていて、カラ松と中肉の女性は左側の後ろから3列目に座っていた。
「トド松、しっかり撮っておけよ」
おそ松は、建物の一番奥、スポットライトがあてられている物体を見据えた。
「……アレって、アレだよね。じゃあここは……」
トド松は、物体をスマートフォンの画面の中央に映し、息を呑んだ。
「……教会だ」
おそ松がそう呟くと同時に、パイプオルガンの音が重く鳴り響いた。
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