第一章 ゲロ以下の出会い
What your name
夢の扉
「夢の扉の先には貴女を満たす欲望と憧れが広がっていることでしょう。」
いいえ、ただの私の自己満足夢小説です。
長編、短編集、チャットなんでもありきで、JOJOと銀魂中心にやって行きます。
誰得かわかりませんがいつしかオリジナルのファンタジー夢小説を書きたいと目論んでいます
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「……」
疲れ果てていた名前は帰ってくるやいなや、いつもの様にソファーにどサリと身を任せるようにして倒れ込む。
それを背もたれの上に佇んだDIOは馬鹿にしたように見下ろしていた。
「…随分と遅かったな。」
「誰のせいですか…」
「…何だと……?」
DIOは何か侮辱された様な言葉を投げられ、ついスタンドで名前を殴り飛ばしそうになるがコイツが居なくては色々と不利になると考え怒りの衝動をぐっと堪えた。
一般人の名前は自らの命を狙われ欠けていたのにも関わらず見えないお陰なのか呑気に上の空で顔をソファーに埋めたままだった。
しかし大事な事を思い出してハッとなり、埋めていた顔をDIOに向ける。
「!あ、あの、明日人が来るんです……」
「だから何だ。」
「…怒ります?」
DIOは暫く名前を睨み付けていたがやがて目を逸らし名前の言いたかったことを察して小さく舌打ちをしながら寝室に戻って行った。
名前はその相変わらず威厳のない小さい背中を見ながら低姿勢で呟く。
「……分かって…くれました?」
「フンッ、貴様に言われずとも私はそうする気だ。」
どうする気なのかは名前には分からなかったがとりあえず明日への不安の種は積み取れたと安堵の息を零しながら、寝る準備を済ませる。
そしてDIOが占領した、自分のベットがある部屋の堅く閉じられた扉を見詰めながら
「また私にソファーで寝ろと。」
と、愚痴にも似た言葉を漏らすと聞こえていたのかDIOがその言葉に「当たり前だろう。」と扉越しに返す。
それを合図にするように大きなため息を一息付いてソファーに乱暴に飛び込む。
薄く体に張り付く掛け布団がどこか落ち着いた。そのおかげなのか名前は案外気持ちよく眠りにつくことができたのだった。
__無機質なチャイムの音が静かさに静まり返った部屋に響きわたる。
名前は唾をゴクリと吞み込みインターホン越しで返事をする。
すると、昨夜消えたと言っても完全ではない不安の元である仗助がいつもより少し落ち着いた様な大人っぽい声色の挨拶が帰ってきた。
「はーい……」
「どうもっス…」
ドアを開けようと、ドアノブに手を掛けようとしたところで名前はさっと後ろを振り返る。リビングには誰一人としていない。
DIOはと言えば相変わらず自分の部屋を占領したっきりで出てくる気配は毛頭無かった。
「よし…」
(仗助君は別に入ってくる訳じゃないから大丈夫だよね)
名前は少し大きめにドアを開くと、外の明るさがやけに眩しく感じた。
目を細めながらも目の前に立つ仗助に、はにかんでしまった笑顔で挨拶をする。
仗助は軽く会釈をして僅かな沈黙の後、失礼を承知で「名前さん、すみません。」と言って名前の開き掛けのドアの隙間に手を出して掴み押し入った。
名前は沈黙の後に見せた仗助の血走ったような表情に気を取られ、容易く仗助にこじあけられてしまった。
「あっ、ちょッ!」
「……確かに今、スタンドの……」
「スタン…ド?」
「あ!いや!何でもないッス!それより、急に、というか無理やり押し入って本当すみませんでしたっ!」
仗助はこれでもかという程に頭を下げて謝った。名前はその状況に耐えかねて「大丈夫」と慌てて言えばすのし嬉しそうにした。
名前は、リビングにまで踏み込まれたが、少し自分の寝室を気にしながら仗助が特に怪しまなくなった事に安堵する。
そして、その時仗助が呟いた言葉は名前には理解できなかった。
「?……あれ?」
「どうしたんス?」
場がひとまず落ち着いたのも束の間、名前はあることに気づき少しばかり焦った。
ベランダの窓が半分程開いているのだ。
いつの間にDIOはここから出ていったのだろうかと不思議に思いながら恐る恐る自分の寝室を覗く。
(居ない……)
「……あの窓がどうかしたんすか?」
「ううん、何でもない」
「…名前さん。さっきまでここに誰か居ましたよね…?」
「え?そんな訳」
否定しようとすると仗助の「隠さないで欲しいっス」と強めに言われ、自然と喋りかけた口を止められる。
もはやどうにも言いくるめない現状に名前は自分の足元がグルグルと渦巻き始めるなんとも言えない感覚に襲われる。
別にDIOの存在がバレてもどうともならないのだろうが、何故か誰にもその存在を知られるのも、自分の家に住み着いていることさえバレるのがどうしようもなく名前は嫌だった。
(どうしよう…バレたらなんかややこしくて面倒な事に…)
名前は頭を抱えたいのを堪えながら仗助の次の言葉を警戒しながら待つ。
「俺…ただ、名前さんが心配なだけッスよ…。最近この街での行方不明者や死亡者が多いいじゃないですか。だから名前さんを怪しんでたりとかは…」
「本当にその事なら大丈夫だし気にしないで!…ありがとう」
「大丈夫じゃないッスよ!名前さんは俺の…っいや!今のはなんでもないッス!」
何かを言いかけた仗助は耳を真っ赤に染めて視線を逸らし後ろを向く。
名前はその姿を訳が分からないと言ったような感じで見つめる。
「…やっぱり今日はカフェでゆっくりしていこうか。」
「……そ、そうッスね」
まだ開けっ放しだったベランダの窓をようやく閉めて再び玄関に向かい外に出る。
その2人の後ろ姿を、かの鋭い鷹の紅い目がベランダの手すりから見つめていた。