第一章 ゲロ以下の出会い
What your name
夢の扉
「夢の扉の先には貴女を満たす欲望と憧れが広がっていることでしょう。」
いいえ、ただの私の自己満足夢小説です。
長編、短編集、チャットなんでもありきで、JOJOと銀魂中心にやって行きます。
誰得かわかりませんがいつしかオリジナルのファンタジー夢小説を書きたいと目論んでいます
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昨日の世にも奇妙な出会いなんて何も無かったように眩しい朝が来た。
DIOは普段寝ていたりしている時間帯であるにも関わらず鳥の姿ではとても普段と勝手が違い、横たわる形では寝苦しく感じて目を覚ます。
そうしてまだ不満を抱えた瞼を数回動かせば ある致命的なミスを自覚する。
自分のいる所まで朝日が照らしているのだ。
バッとその範囲内から逃れ慣れない身体に翻弄され勢いのまま壁に激突しながらも忌々しいその陽を睨みつける。
しかし冷静になればあることに気づく。
DIOはハッとして身体を見るが異状はない。
恐らく長時間の間陽に晒されていた筈なのに何とも無いのだ。
だが確かめも含めて改めて次は翼の先を陽に晒してみる。
だがやはりなんともないのであった。
この事にDIOはニヤリと効果音がデカデカと鳴りそうな程の表情でほくそ笑む。
どんな効果や理由かは分からないものだがある意味あの忌々しい太陽を克服したとでも言うべきかとDIOは嘲笑った。
その僅かに聞こえた声と先程の衝突音に起こされたのか、ソファーで寝たせいで体を痛めた名前がとても眠たそうに様子を何も言わずしてチラ見した後、おずおずと朝の出勤の準備を始めた。
「なんで鳥がベットで私はソファーなの……あぁ、あまり寝れなかったし仕事に支障がでないか不安…」
「何を一人ブツブツと。遂に頭が腐ったか。あと私は鳥などではない!」
「じゃあ、何者なんですか…貴方。いきなり現れたり…」
「…人間の頂点に立つ吸血鬼だ。そして経緯はこの私にも分からん」
「…吸血鬼…信じ難いけどそれ以前にだし、もう何も驚かないな……」
名前は支度をしていた手を一旦止めてDIOの真紅に染まる瞳をみつめながら分からなくもないなと感じながら再びまた止めていた手を動かし始める。
「……おい女。貴様は私のこの、不自由さと気まぐれのおかげで生かせられているのだ。お前ごときこの姿でも何時でも殺せるのだぞ。」
名前は何が言いたいのかと、そんな目線を送ればDIOは相変わらず鼻で笑う。
「分からんのか?…身の程を知れという事だ。この私に命令などするんじゃあないぞ。」
「…命令なんて…」
名前は心の底から切実に身の程知らずはどっちだよと言いたかったのだが、これ以上は相当面倒なことになるのと自分の身が危ないので呑み込んだ。
そんな中、複雑な心境とまだ慣れるはずも無いDIOという半ば強引で喋る鷹という同居人が居る事実に、馴染めないなと頭を痛くしながら名前はさり気なく時計を見て早々に支度を済ませていく。
「…じゃあ行ってきます」
そしてただそれを言い残し家を後にする。
DIOはその姿を見送るなんて律儀なことは当然せずにすぐ様ベランダの窓の方へ移動し、今の状態での初の試みであるスタンドの出現を試す。
と言うのもこの弱体化していると言っても過言ではない体と力でスタンドを出すことがはたして出来るのだろうか、と疑問に思っていたからだ。何より、DIOは1度死んでいる筈である。
ものは試しだと出現させると見事に成功した。が、やはりと言うべきか長い間まだ出すことは不可能。
だがDIOは満足していた。
今この最悪のコンディションの中ここまで出来たのだから、むしろこれからの成長を楽しみにし始めていた。
少しばかりの眠さなど気にせずにDIOはベランダの窓から射し込む完全体の時では出る事が出来なかった憎むべき日の下にその体を晒す。
そうして再びスタンドを出現させて窓のロックを外し開け、閉めることなどせずにベランダの取っ手の上に身を乗り出し翼を広げる。
高らかに笑ってやりたい衝動は抑えてバサりと音を立てて飛び立つ。
「フンッ、漸く馴染んできたが存外この体も悪くないな。」
こうして外に出たが何処に行くでもなく、また、何をする訳でもなかったDIOだが名前の後ろ姿を視界の隅に捕え更なる気まぐれでDIOは後を付ける事にした。
しかし、
「…つまらん。」
DIOは人気の無い建物の屋上にて翼で嘴を擦りながら実につまらんと繰り返しボヤく。
名前が何処かの建物に入ってからというもの、急激に退屈になり、それを紛らわす為にフラフラとまだ知らぬ杜王町を偵察していたがそれも辞めにした所だった。
そんな暇を持て余し、俯き気味にしていた顔を上げ街をじっくりと見渡す。
眺めていて、やはり思うことは、エジプトほどの美しさは無い、これに限るのだった。
しかし何処かではこの世界も悪くもないとDIOは感じていた。
ふと人の気配を下に感じ見下ろすと、若い男女が何やらすぐ下の路地裏で二人きりで何かを話している。
「……」
DIOは一瞬の目眩を感じると自分は昨日からずっと血を獲ていない事に気づき第一に女の方を見て真紅の眼光を光らせた。
そうと決まれば迷わずに一気に急降下をし、その女の首元めがけて鋭い足の爪を突き立てる。
「!?なっ!!なんだコイツはあああ!」
いきなりの事で尻もちをつきそうになる男。
誰だって目の前で人が動物に襲われれば人に襲われているより困惑する。ましてや鷹に。
「?!何?!ッ嫌アアア!ッ…助け…」
女は情けなく怖気付く男に助けを求む手を必死になって伸ばすがそれを無視して男は我先に逃げようと既に背を向けていた。
そんな姿にDIOは呆れを通り越して殺意が沸く。
その隅で女は力なくどサリと倒れ込んだ。
「た、助けてくれェ!!」
「……喚くな。」
男は恐らく今までにない程の恐怖に走ったのだろうがDIOのスタンドによって容易く頭を吹き飛ばされる。
力なく無様に倒れた男の哀れな亡骸に今度は爪を立てて血を奪う。
すると後ろからどうしようも無く漏れ出す薄気味悪い気配に気づきDIOは睨むようにそちらに目を向けると、スーツを着た男の人影が逃げるようにしてゆっくりと姿を隠す所であった。
その男の顔は影でよく見えなかったがDIOと同じようなブロンドの髪が僅かに照らされたのをDIOは見た。だが、すぐに興味を無くしたDIOはさり気なく空を見る。
「もうこんな時間か…」
いつの間にか明るさを無くした空は静かに日を徐々に沈ませていた。
DIOは1つ溜息を零すと退屈そうに死体をほっぽって夕闇の空へ飛び立った。