第一章 ゲロ以下の出会い
What your name
夢の扉
「夢の扉の先には貴女を満たす欲望と憧れが広がっていることでしょう。」
いいえ、ただの私の自己満足夢小説です。
長編、短編集、チャットなんでもありきで、JOJOと銀魂中心にやって行きます。
誰得かわかりませんがいつしかオリジナルのファンタジー夢小説を書きたいと目論んでいます
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「ハァ…。」
この大きな満足とも言うべき溜息を零したのは名前とう言うしがない亀ゆうデパートの業務員である。
彼女はいつもの様にいつもと変わらぬ仕事をこなすと、特に浸しい人や話す人もいないのでいち早くに会社を後にして帰路につく。
その道中、いつ出来たのか知れない骨董品店に仕事の疲れをふっ飛ばすようなショーケースに入った美しいアクセサリーを見つけ自然と足が止まる。
それは真紅に染まる小さくも大きくその存在を知らしめるような宝石が、3つ散りばめられたネックレスだった。
名前は別に高価な宝石が好きとかネックレス等のアクセサリーだとかに差程興味がない方であるが、シンプルかつ綺麗なデザインであれば良いなと思う人間。
それ程閉じ込められたネックレスは僅かな魅力を発揮していた。
それをただまじまじ見つめていると、後ろから大きな影が名前を隠す。
名前の身体を丸々と飲み込むように落ちるその影は良く知るものだった。
振り返ると同じ所にある同じ物を眺めるであろう承太郎がいた。
「あ、どうも…」
「…あぁ」
声を掛けてみるがいまだ上の空でネックレスを眺めていたが、ジワジワとその整った顔は僅かに歪みを見せ始める。
何故かは名前には当然分からなかったが、その理由はこういう色の宝石やそもそもこんなキラキラした物が嫌いなのかとかしかその時は思わなかった。
「?」
「こういう色が好きなのか?」
「はい…結構好きですよ、綺麗ですよね…この深みのある赤って…」
「……」
承太郎はすこし黙ってどこか少し忌々しそうにまたそのネックレスに目を移す。
しばらくの時が流れた頃、苦い表情で承太郎のほうから重々しく口を開いた。
「俺は…この赤は嫌いだ。」
「この赤?」
「…この赤を見ると嫌な奴を思い出す……。」
名前は「誰なんですか?」などと聞こうとしたが承太郎のあまり見たことのない険悪な表情に圧迫され口を噤んだ。
それにあまり触れられたくない過去のような気がしてとてもじゃないが言えなかった。
再び無言が続く。
それにいい加減耐えかねた名前が今度は口を開いた。
「あの、承太郎さんも帰りだったんですか?」
「…家まで送る」
「え、あぁ、あ、ありがとうございます…?」
「あぁ。」
以外というかこの何とも言えないこの不思議な緊張感のある承太郎との帰りはこんな感じで何回か共にしているが名前はどうも慣れないものがあった。
その帰りの道中、会話もちらほら程度で正直名前は不安と申し訳なさでいっぱいだった。
だが心做しか、落ち着く面もある。
特に承太郎も気だるそうな感じも無くで遠慮しないで甘えようと名前は思い始めていた。
そうしているうちに自らの住んでいるマンションの前につき軽く一礼をする。
「今日もありがとうございました。なんかすみません…ほんとに…。」
「気にしなくていい。」
それだけ言って帽子を深く被りくるりと踵を返してあっさりと帰る承太郎の背中を見送る。
承太郎の姿が見えなくなった頃、名前はマンションの階段をそんなに高い階層に自分の部屋が無かったことに感謝しながら重々しく上がっていく。
途中でふとベランダの窓を開けっ放しだった事を思い出し、焦りと恐怖を覚え駆け足でドアの前まで行き鍵を挿した。その時、ドアの奥でなにか鈍い音がしたのが聞こえた。
どっと変な汗が一瞬滲み名前は勢いよく挿した鍵を回して中に入る。
ダッダッと荒い足音を立てながら勇気をだして飛び出したリビングには恐怖とは違う驚きと焦りがあった。
ベランダの窓はやはり空いておりその近くに謎の物体が横たわっていたのだ。
名前は恐る恐るそれに近づく。近づいて分かったのだがどうやら鳥のようだった。しかも猛禽類の鷹のようである。
そして頭の飾り羽根のようなものは奇妙な見たことも無い形だった。
例えるのなら片方だけに少し浮かせた前髪のような、そんな飾り羽根。
「なんだ、鳥か……。なんか変な鳥…てかデカっ……。さすが猛禽類。」
さてこの何らかの事故に遭って何らかの拍子でここに墜落した迷える珍しい鷹をどうするものかと考えているとその鷹がムクリと動いた。
名前は少し後ろに引いて再度様子をみる。
その鷹は力なく再びまた体を起こそうとしそして、閉じられていた瞼がついに動いた。
その様子を唖然としてしまい何もせずに眺めているとそのようやく開かれた鷹の瞳に見とれてしまうのだった。
例の鷹の瞳はあの帰り道で見かけたショーケースに大切そうに保管されていたネックレスの宝石の様に赤く、深く、魅惑的な…そんな瞳だったからだ。
しかしその思いに浸っているのも束の間、鷹の表情が歪んだのだ。
苦虫を噛み潰したような、よく人間が憎めしい顔をするようにそんな感じだった。
はて、鳥類にそんな豊かな表情ができるのか。それともこの種だけ出来るのだろうか…?
名前はいまだ固まる一方である。
それを裂くように聞いたことも無い、誰かの声が響いた。
「チィ……。どうなっているのだ…。!…おい、そこの女。」
その声は耳の奥に優しく響く様な艶のあり、妖艶な声。
だがここには目の前にいる不思議な鷹と自分だけである筈なのに何故他の声が……まさか、そんな鷹が喋るなんてそんな……。
などと困惑していると「聞いているのか!マヌケがッ!」と激しく罵倒され名前は反射的に大きく返事をする。
やはり謎の声はこの鷹から発せられているようだった。
「…ここは何処だ。答えろ。」
「わ、私の家で」
更なる相手の地雷を踏んでしまったのか先程よりも凄い殺意と目付きで鷹は名前を睨みつける。
「貴様はアホなのか?そんな事はどうでもいい、分からんのか?」
「!こ、ここは杜王町って言う…街です」
「杜王町?…」
鷹は自分でもどこから来たのか、どうしてこの姿なのか分からないのであった。
だが自分の前世というか、この姿になる前までの記憶は存在していた。
だがそんなこと名前は知る由もないわけで、互いにどうしたものかと考える。
「あの……え、と」
「……」
鷹は名前の事など梅雨知らず考え事に耽っている様だった。
しかし、こうして改めて見つめていると実に美しい鷹だと誰もが思う姿。
この見たこともないような特徴を兼ね備えた姿だからこそなのかもしれない。
その様なことを呑気に思っていると再びあの艶のある魅惑的な声が独り言と共に問い掛けてきた。
「ヌゥ…仕方あるまい…。女、私の力が完全に戻るまで居させてもらうぞ。」
「……は?え、ちょ!てか力ってなんですかッ」
「煩い黙れ、喚くな。…それで、貴様の寝床は何処だ。」
「あ、あそこですけど……。いやっ、そうじゃなくて……」
「フンッ、豚小屋にもベットぐらいはあるのか。」
「……この鷹ッ…」
「なんだ。女、殴りかかるのか?このDIOに対してッッ!!!」
この俺様感が強く漂う鷹に挑発されそれに乗ろうとしていた自分の体を引っ込めると鷹はまた嘲笑するかのように高い所に移動して名前を見下ろしていた。
その態度と発言に腹が立っていてもはや恐怖とか不思議とか、驚きなんてものはもう吹っ飛んでいる。
だからなのかもしれないが鷹が今さり気なく名乗ったのは名前の耳には届かず聞いていなかった。
鷹も鷹で自信満々に悠々と……いや、まだ慣れていない飛行を試みるが、ヨレヨレで誰が見てもクスリとくるものだったが。
さっきの余裕綽々な態度からの事も相まって余計にそうさせる。
「クソッ…まだ慣れないか…。このDIOが鳥なぞに……」
「フッ……」
「!貴様ァ…」
「だって……フッ」
鷹が激怒して襲ってくるかと思っていた名前だったが鷹、もといDIOは何もせずにただ名前の顔を静かに見つめていただけだった。
鋭くもうつくしいその瞳と目がパチリとあい少し心が踊ったのは当然のこと。
「あの……?」
「ッ……フンッ」
「はぁ……あの感じならすぐに出ていきそうだから、、まぁいいか……」
なかば呆れ気味で先ほどよりはまともにちまちま飛んでいるDIOの姿を眺めながら名前は恐らくしばらくの間マンションで秘密裏に鷹と暮らす事にしました。