第一章 ゲロ以下の出会い
What your name
夢の扉
「夢の扉の先には貴女を満たす欲望と憧れが広がっていることでしょう。」
いいえ、ただの私の自己満足夢小説です。
長編、短編集、チャットなんでもありきで、JOJOと銀魂中心にやって行きます。
誰得かわかりませんがいつしかオリジナルのファンタジー夢小説を書きたいと目論んでいます
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名前が後々苦労をしたあの事件から2日ほどが経過したが、不思議な事にDIOはあの日以来帰ってこなかった。
名前はどうしたのかと気になっていたが、今は仕事中だと切り替えてまた集中する。
が、つい聞こえてしまう同僚達の話の内容に耳を傾けてしまう自分がいた。
気になると言っても、はなからその話題に期待なんてものはしていなかったが今回に限っては驚くものだった。
「ねぇ知ってる?行方不明だって騒がれていた吉良さん…2日前の事故の被害者だったんですって…」
「知ってる…顔面ぐちゃぐちゃでしょ…?ヤバいよね…」
「……」
名前は手を動かしながらも半分放心状態に入っていた。
どこかで会った事のあるような…という感覚は確かだったという事が頭をグルグルと掻き乱す。それと同時にあの惨い惨劇がフラッシュバックして名前は自然と顔を歪めた。
何が起こったか理解不能なあの現場は、スタンドという存在を知らない名前からしてみれば未知の世界だった。
一般人には見えない存在同士が闘っている事なんて誰が察する事が出来ようか。
あの後もとくに説明とか理由とか聞かされずに承太郎に家まで送られたぐらい。
仕事は結局休んで、家に帰ったら軽く放心状態になりボッーっとしていたが、今になって気になってしまっていた。何故あんな状況になったのかを。
承太郎との道中聞いてみたのだが教えてくれずに苦い雰囲気が漂っていたのを名前は覚えている。
それに、なんと言っても承太郎の何か考え込んでいるような、何かの違和感を感じている表情が名前の口を黙らせた。
「しっかりしなきゃ…」
そんな風に色々思い出して気が沈んだが、やる気を叩き起して仕事のラストパートをかけた名前だった。
___先には冬が待ち構えていることもあってか外は徐々に寒さを増していく。身震いする程の寒さでは無いが街ではロングコートを着たりとそれなりに暖かそうな格好をした人が目立つ。
名前はと言うと、特になんの対策もせずに着ているので肌寒い感覚を覚えていた。
おまけに日はとうに沈み帰り、より一層寒さを強調される。
全ては残業のせいだと感情を少しばかり荒あげながら夜道を歩く。
夜と言っても7時ぐらいの程よい夜。まだまだ街は賑わいを衰えさせていない。
いつしか立ち寄った公園の横を通れば家はすぐそこだった。
夜の公園でもカップルや家族がチラホラと歩いていて、公園にある噴水のライトアップが何とも雰囲気を良きものにしている。
その眺めを横目で見ながら名前はDIOの事を考えていた。
何故か鷹の姿をしたDIOに対しては謎の保護者ヅラを僅かにしてしまいがちになっていた。
しかし、人の姿になるとどうしてもやりにくさと緊張感が強まる。そのDIOが居ない二日間はたった二日目なのにも関わらず何処か腑に落ちない日々だった。
そんなこんなで無駄に買い込んでしまっていた牛肉の処理はどうしようかと頭を抱えていると、目の前数m先を黒く大きい影が翼をはためかせる様な音を立てて通過していった。
大きな声を出しそうになったが心臓が飛び跳ねて空気を飲みこむ。
そのすぐ横の木でカラスが鳴いて「あぁなんだ…カラスか…」と、うわ言のように呟く。
「俺をカラスなんぞと一緒にするな」
「!!」
あの聞き覚えのある声が優しく名前の耳に届く。
ハッとなってそこを見ると近くの塀にDIOが赤い眼を薄めて此方をみつめていた。
「DIOさん…今まで何処に…」
「…何だっていいだろう」
「またそうやって濁して…。」
辺りは人通りが少ないわけじゃなかった。
そのせいもあってただ話すだけなのにDIOを隠すような位置に立ちながら小声でやり取りをする。
しかし、DIOはお構い無しに普段通りの音量で話すものだから近くを通りかかった人に奇怪な目で見られるのだった。
ふとDIOを見ると二日前よりも毛並みが断然良いように見えて綺麗な事に気づく。
前よりもふわっとしていてシルクのようなその毛色と姿に似合う艶を放っていた。
「それよりも…な、なんか前より何か…、!もしかして」
「今の私では能力を使うと力の消耗が激しいのでな。それを回復するにはあの量じゃ足りんのだ。」
「……」
「…フンッ安心しろ。殺したのは死んでも公開されないようなこの世に居なくてもいい屑だ。」
「だからって…このッ」
思い切りすぎて半ば飛びかかるようにして名前はDIOの首元を抓る。
「き、貴様ッなにをするッ!」
暴れるDIOを無視して名前はこの野郎とでも言わんばかりに抓り続けた。
傍から見たら少し微笑ましくも思える姿だが、それは二人の状況と関係性を知っている者のみが思える事であって、当然知っている者は本人達しかまだ居ないので更に通行人に避けられる。
「名前さん?な、何してんすか?」
どこからともなく聞こえた声に名前は毛を逆立ててその声がした方向を向く。
「じょ、仗助君…」
仗助の目線があからさまに名前からDIOに向けられていくのを確認する。
こんな時間帯、しかもこんな街中に鷹がいるなんて、考えられなくもないが、しかしこんな人に近く居るのは珍しいどころか有り得ないような事だ。
仗助の目がより一層見開かれるが目線は決してずらさなかった。
そのまま固まりながら仗助は名前に質問をした。
「その鳥…まさかとは思いますけど、さっき喋ってましたよね?」
「気のせいじゃ…」
「私を鳥と一緒にするな小僧」
名前はDIOの口を抑えようとしたが、これ以上隠すなんて醜いしこんな必死になんて自分が可哀想な人なだけだと思い驚きキョドる仗助をよそに苦笑いをするしか無かった。
DIOは名前の隣で鬼のような形相でない歯で歯軋りでもしだしそうな勢いであった。
「な、なんかのスタンド使いか…?」
と、何か考え込むような仕草をしながら小声で呟いた仗助の言葉は名前には生憎届かない。
「…そいつ名前さんのペットなんスか?」
「何だと?…このDIOがペット……だと?」
顔をひくつかせながらDIOを指を指す仗助に名前は顔を青ざめさせながら目を逸らす。
プライドの塊とも言えるDIOにペットなどという単語を投げかけるなんてもう色々お終いだと思いながら名前の視線は例のDIOを伺う…。
案の定DIOは顔を影らせて身が強ばる程のどうしようもないほどの殺気とスタンドを発動させて臨戦態勢に入っていた。
仗助は「やっぱりスタンド使いか…」と名前に聞こえないような小さな声で威嚇をする。
もう先に帰ってしまおうかと考えていた時、DIOの足場であるコンクリートの塀がとてつもない音を立てて一部破壊される。
それに驚き、名前と仗助は目を丸くしながらその壊れた部分を見て息を飲んだ。
そこには自然に崩れて壊れたとは言えないであろう壊れ方をした部分があった。
DIOは足下が破壊され、既に別の位置に避けている。
だが表情は何処か一点をニヤケながら見つめているようだった。
名前と仗助はそれに釣られて無言のままでそのDIOが見ているであろう場所に一緒になって目を向ける。
見覚えのある影が揺らめく。
「…二秒程か。衰えたなァ、承太郎。先程の攻撃は威嚇のつもりか?」
「承太郎さん…!?」
名前は思わず大きな声でそう叫んでしまった。無駄にあわてて口を手で覆い隠して塞ぐ。
そうしてからDIOに擦り寄って凄く小さい声で問いかけた。
「…あの、DIOさん…?お知り合いだったんですか…?」
問いかけるもDIOは目を名前に向けるだけで無視して、再び承太郎を殺意の目で見据えていた。承太郎も負けじと体が縛り付けられるようなオーラを放っている。
名前と仗助は顔を見合わせてお互いに首をかしげていた。
すると承太郎は眉間に深い皺を作り、眼をギラつかせながらDIOを真っ直ぐに指をさして静かに怒った。
「そのスタンド…。DIOッ!テメー…何故生きてやがる…しかもその姿…」
「何故…だろうな?」
「ッ…!」
DIOは邪悪な笑みを浮かべて、口角を吊り上げながら承太郎を挑発するように名前におもむろに近づく。
ネックレスの紅い三つの宝石がチラリと不気味な光を宿してDIOの胸元で煌めいた。
「名前、帰るぞ。」
そう一言だけ呟いて勝手に帰っていくDIOを色んな理由でほっとけるわけがなく
「え、?ちょっとDIOさん?」
名前は訳が分からないまま、残される空気の重い二人にお辞儀をして逃げる様にDIOを追って帰って行った。
残された仗助と承太郎の間には、重苦しい訳が分からないと言ったような空気が流れていた。
しかし、仗助は承太郎のあの雰囲気からしてそうとうDIOと言う奴は危ない存在だと確認でいていた。
仗助は何かを決意した面持ちで承太郎に向き合う。
「あの喋る鳥って名前さんに危害を加えようとしてる奴っスか…?」
「いつ餌にされるか分からねェ状況だ。あの野郎が何考えてるかまだ分からないが…」
「そうっすか…。…昔になんかあったんですか?」
「あった、どころじゃねぇぜ。アイツとは」
それ以上、仗助も承太郎もその話題について喋ることは無かった。
「この塀…直しときますね…」
「あぁ…すまない」