第一章 ゲロ以下の出会い
What your name
夢の扉
「夢の扉の先には貴女を満たす欲望と憧れが広がっていることでしょう。」
いいえ、ただの私の自己満足夢小説です。
長編、短編集、チャットなんでもありきで、JOJOと銀魂中心にやって行きます。
誰得かわかりませんがいつしかオリジナルのファンタジー夢小説を書きたいと目論んでいます
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「起きろ。遅刻だぞ」優しいようで呆れられたような、そんなDIOの声で名前は目覚める。
「!!!もうこんな時間!?」
「…遅刻なんじゃあないか?」
清々しく迎えたかった朝は遅刻の電話と慌ただしい準備で崩れ落ちる。
元々名前は朝は得意な人間ではなく、半ば寝ぼけながらの支度だった。
そんな中だからなのか名前がバタバタ慌てふためいていると、何かにぶち当たり後ろに少しよろめいてしまう。スっと上を向くといつの間にやら人の姿になっていたDIOが名前の前に立ちはだかっていた。
「あ、あれ、いつの間に…」
「馬鹿め。ここではこの姿でいると言っただろう」
「聞いてないです…!というか急がないと」
DIOは、やれやれと言ったようにして「少しは落ち着いたらどうだ」とだけ言い残し、少し眠たそうにリビングに戻って行った。
名前はDIOの眠たそうな雰囲気に気を取れて、ほんのりと冷静さを取り戻しゆっくりと的確に出勤の準備を終わらせた。
玄関のドアを開けてよし行くぞとしようとした時、その開いたドアから名前より先に出ていった影が過ぎる。
何かと思えばDIOが我が物顔で鷹の姿に戻り、向かいの手すりに立っていた。
「?DIOさんも出かけるんですか?」
「…何だっていいだろう。」
「…ですよね…」
苦笑いをしながら鍵を閉めてようやく出勤をする。
その後ろから「暇だからな…」という呟きが聞こえて後ろを振り向くがDIOはとうに速くしろとでも言うように少し進んだ場所まで飛び立っていた。
名前は朝の送りもしてくれるんだと、普段のDIOからは想像しにくい行動にニヤニヤしながら、その姿を追いかけるようにして歩き出した。
道中、DIOが先程まで人目につかないようにして着いてきていたのだが、ある場所で名前のすぐ近くまで止まり、何処かをずっと見つめて佇んでいた。
「あの、いきなりどうしたんです?」
「何やら面白い事をしているようだぞ」
「え?」
名前もDIOの目線を追ってその場所であろう所を見つめる。
しかし、そこには全然面白い事とはかけ離れた緊迫した状況が広がっていた。
「ちょ!人が倒れているじゃないですか!」
サラリーマンであろう白いスーツを着た男が1人、大量の血を流しながら倒れていた。
何やら死角で見えない場所を殺意そのものの表情で睨みつけていたが名前にそんな事はどうでもよかった。
気にしていられない程にどうしようもない正義感に駆られ、助けに行こうと鞄を投げたし身を乗り出す。
「言っただろう。しかし…彼奴もスタンド使いか…面白い。」
「何変なこと言ってるんですか!助けないと!」
「それと同時にお前が殺されそうになるかもな」
何を悟っているのか名前にはさっぱり分からないものであるし、この事態の時になんて事を言うのだろうとほとほとに呆れながら、その男の元に駆けつける。
駆けついて分かったことが、男は重傷どころの騒ぎではない怪我であるのと、名前からしてみればどこかで会った事のあるような男の雰囲気に困惑する。
「大丈夫ですか?!…あ、あのもしかして」
「!!ッた、助けてくれ…」
その男は命乞いのように力ない声で発しながら名前にすがりついた。
緊迫した様子に名前はたじろいで質問をかき消された。
男の血が名前の服や手にベッタリと付着する。名前は気にせずに携帯に手をかけて救急車を呼ぼうとしたが、他の目撃者が既に呼んでいたのか遠くから救急車の音が僅かながら聞こえた。
「い、今救急車がっ」
「名前ッ!!そいつから離れろ!」
どこからともなく聞こえたその声は承太郎のものだった。
「じょ、承太郎さん?何言ってるんですか…」
当然ながら名前は、それが警告の言葉とは知らずに縋り付く男の肩を抱いていた。
しかし、よく周りを見れば名前の良く知る面々が鬼の形相で保護している男を睨み付けていることに気づく。
中には仗助の姿もあったが彼に関してはとんでもないほどの重傷を負いながらも立ち竦んでいた。
名前は男に再び視線を戻す。
今にも死んでしまいそうな出血は目も当てられないものだった。
弱々しい動きながらも、男の手が親指でボタンを押しているような、そんなポーズで承太郎達に向けられた。
「あの野郎ッ!名前さんごと吹っ飛ばす気ッスよ!」
吹っ飛ばすなどの何やら物騒な言葉が飛び交い名前は更に困惑する。
しかし、そんな暇を与えないとでも言うように、男が何やら動いたと同時に仗助が大声で叫び出す。
「奴に「スイッチ」を押させるなァ!!」
「いいや!限界だッ!押すね!!今だッ」
「ぇ?」
名前はつくづく最近変な出来事にあっているなと感じた。
何故いきなり、今までそれなりに平坦だった人生の内でこんな荒潮に揉まれるのかと。
しかし、その思考も直ぐに途切れる。
「チィ…貴様は本当に面倒だな」
いつのまにか声が聞こえる位置に居たDIOが、承太郎達からは見えない所で呟いた。
救急車はすぐそこまで来ていて、なんならもう到着していた。
そんな中、DIOは翼を広げて何時もの自信に満ち溢れた表情で何かを叫んだ。
『ザ・ワールド!』
呪文のようなその言葉に、名前は目を丸くするしかなかった。
それも束の間、名前が掴んでいた男の体は吹っ飛んで空を掴む。
何が起こったか理解不能でいた名前はその事にハッとなりDIOから男へと顔を向けて手で口を覆う。
「ッ!」
男の頭はあろう事か、やってきた救急車のタイヤに巻き込まれてあられもない姿になっていた。
「名前さん!大丈夫っスか!」
「……う、うん…でも…」
後ろの惨劇を今だに手で口を覆いながら見つめる。
しかし、ボロボロの体を引きずりながら駆けつけた仗助に今度は肩を抱かれて、事故現場から背けるようにして体を向き合わせにされる。
「ッ……」
「…!仗助君どうしたの…凄い怪我…」
「これくらい…どうってことないっス…!」
仗助の辛そうな強がりに叱りを入れつつも、そっとDIOがいた場所を見る。が、その時にはもう姿は無かった。