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第4章 風のような転入生編

「へぇ!あの子また転校しちゃったの!?」

「そうなのよ〜…」

今日は休日の日曜日。トリッシュのオフの日が被り茜李はトリッシュとカフェでお茶をしていた

「あたしもお話ししたかったわ」

「えぇ、とてもいい子だったのよ。いつも元気付けてくれてたの」

ウィンドーの事を思い出し嬉しそうに笑う茜李にトリッシュは安心したかのような笑みを浮かべる

「…あのね、トリッシュ…実は相談があるの」

「え?なに?」

「…最近、ストーカーっぽい人に狙われてる気がするの」

茜李の言葉にトリッシュは目をまん丸にさせた

「心当たりは?」

「最近、隣のクラスの大人しそうな男の子とよく目があったり、学校から帰る時もお迎えがない時とかに付いてくるし、靴箱に手紙が入ってるの」

「げっ、それ完璧にストーカーじゃない…ジョルノに相談したの?」

「してない…最近また忙しそうだし言えないの…」

少し困った顔をしながらジュースを飲む茜李にトリッシュは友達として助けたいという気持ちが芽生えた

「そのストーカー野郎!あたしがやっつけてあげるわ!」

「え!?」

「あたしに任せなさい!!あたしが茜李を守ってあげるんだから!!」

トリッシュの真剣な眼差しに茜李は嬉しそうに笑っていると突然カメラのシャッター音が聞こえた

「え?」

「スパイス・ガール!!」

トリッシュはレンズが光ったカメラを柔らかくした

「いたわ!追いかけるわよ!お会計!釣りはいらないわ!」

「ちょっ…!」

茜李を引っ張り釣りを貰わず走るトリッシュ

「スパイス・ガール!あいつの靴を柔らかくして!!」

トリッシュが命ずるとスパイス・ガールは相手の靴を柔らかくし転がせた

「いっ…!」

「観念なさい!ストーカー野郎!」

トリッシュが目の前に立ちはだかれば、眼鏡をかけた少年が上を向いた

「やっぱり…ピーターくんなのね…」

「鈴原さん…」

驚く茜李にピーターは茜李に近寄る

「鈴原さん!僕ずっと君のことが好きだったんだ!僕と付き合ってよ!!あんな危ないギャングのボスなんかより絶対いいよ!!」

茜李の手を握るピーターにトリッシュは注意しようとするが茜李は首を横に振る

「…ジョルノは危なくないよ」

「でも、ギャングだ!!」

「ギャングなんか関係ないよ。あの人はいい人よ。人を肩書きで決めつけるのは良くないわ」

「鈴原さん!!でも、僕は君が好きなんだ!!」


茜李の肩を強く掴もうとする手をトリッシュは制した

「あんたのそれはただの押し付けって分からないの?」

「は!?なんだよ!?あんたには…!」

「分からないようね。なら、私が教えてあげる。本当に愛してるのならね、相手の幸せを願う事も1つなのよ!!

あんたのはただ自分の欲望を押し付けてるだけ!!

愛なんかじゃないわよ!!」

トリッシュの喝にピーターは悔しそうに立ち去って行った

「あのぐらい言わないと分からないのね」

ふんっと鼻を鳴らし腕を組むトリッシュ

その様子を見てクスクスと茜李は笑う

「なによ…そんなにおかしい事を言ったかしら」

「ううん…なんだか嬉しいなぁって…ありがとうトリッシュ!」

ニコッと笑う茜李に絆されトリッシュも微笑んでいた

一方ピーターは、息を切らしながら街中を走っていた

「歌手のトリッシュ・ウナ…よくも…訴えてやる…!」

「誰を訴えるんですか?」

ピーターは後ろを振り向けばそこには黄金の三つ編み揺らし、顔が綺麗に整った男

ジョルノ・ジョバァーナが腕を組み壁に持たれかかっていた

「あ、あんたは…!?」

「…」

ジョルノはピーターにゆっくりと近づいては口を開いた

「二度と茜李を怖がらせるな。分かったな」

ドスの効いた声でピーターの耳元で囁けばピーターはその場で腰を抜かし座っていた

「今日はありがとう!また遊ぼうねトリッシュ!」

「えぇ!またね」

トリッシュは茜李と別れ茜李の後ろ姿を見ては考える

ウィンドーという少年は茜李にはジョルノがいる事を分かっていながら彼女を守る事を決めた

茜李の笑顔を壊さぬよう見守り元気付ける

ジョルノと似たようで別の愛の形

「あれも愛というのかしらね」

トリッシュは茜李の背中を見ると薄っすら透けているように見えた

「え?」

瞬きをすれば透けてはいなかった

「気のせい…よね?」


何か嫌な予感がする…そう胸に秘めながらトリッシュは帰ることにした
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