サボ/君が呑まれるなんて珍しい
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カラン、と氷が解けてグラスの中で音を立てる。
隣で語られるさして興味のない話に相槌を打ち始めてもうどれくらいたっただろう。
「-で、これがまた面白いんですよ!お恥ずかしい話、もうお金もどれくらいつぎ込んでしまったかわからないくらいで」
まぁ、とおどけたように笑っておいて、やめられないものですよね、なんて返しておく。
確か携帯アプリの話だ。気持ちが全く分からないわけではないけれど、正直この人が一生懸命話しているアプリは初耳で話についていけない。
―どうしてこんなことになってしまったのか。
くい、とグラスを傾けてことを振り返る。そもそも私はたまには一人でゆっくり飲みたいと、カウンターで一人で飲んでいただけなのだ。
それがどうして、酔っ払いに絡まれそのまま話に付き合う羽目になっているのか。
ふぅ、と相手にわからないように短くため息をついたところで、カランと入口のドアがなる。来客の知らせだ。
「え~!?カタルじゃん!」
と同時に明るい声色。驚いて振り向けば、そこには見知った顔がそろっていて。
「わ、コアラ!サボも!偶然だね~!」
「あとでみんなも来るよ!カタル最近忙しそうで全然飲めなかったもんね~!今度ゆっくり飲もう!」
私の隣の男性をチラリとみて、コアラは使わなくていい気を使ったのかぱちりとウインクをして話を早々に切ってしまう。
違う。それは誤解だ。今はそんな気は使わなくていい。
サボはというと、驚いた表情で私の隣の男性を見ている。いや確かに私にそういう浮いた話はないから驚くかもしれないけど、驚きすぎじゃないかい?
「おい、カタル…」
「ちょっとサボくん!邪魔してないでさっさと行く!」
「あっおい、」
何か言いかけていたサボの耳をぐいぐいと引っ張って、コアラはいつもの調子で彼を奥の座席へと引っ張っていった。
うーん…いつもはありがたいことだけど、今はサボの空気が欲しかったかも。…というか抜け出す理由になれたのに。
――。
それからさらに抜け出すタイミングを失って1時間くらいたっただろうか。
ふと、じっとこちらを見つめている相手の視線が気になり顔をむけた。
「カタルさん、先ほどの方といいご友人が多いんですね」
「あ、あはは…多いなんてほどでもないんですけど」
「僕ともぜひ、これを機に友人になってほしいものです」
などと言いながら、その人はいつの間にか新しいお酒を注文してくれていたらしい。
お近づきの印に、なんて差し出されたのはショートグラス。ロックですらない。
「え…あの、」
「結構お酒がお好きと見えたので。僕の一押しです。よければどうぞ」
さっきまでロックをちびちび飲んでいた私には高すぎるハードルの予感しかしない。
意を決して一口飲んでみれば、舌先についただけでピリピリとした刺激が遅い、あとから鼻を抜けていく強すぎるアルコールのにおいにむせこんだ。
「ッ、けほ、」
「大丈夫ですか?ゆっくり飲んだ方がいいですよ」
「……」
やられた。
はやく帰りたがっているのがわかったのか、こんな飲みにくいお酒を出されてゆっくり飲ます作戦か。
こんなもの無理にでも一気に飲めば一瞬でできあがれる気しかしない。そうなったらますます向こうの思うつぼだ。
「…結構、強いんですね…」
「ふふ、そうですか?女性には少しきつすぎたかな?」
僕、いったんトイレに行ってきますね。そんなことを言って携帯を片手に男が席を立つ。
もう最悪今のうちに逃げてしまおうか。でもグラス全然空いてないし、残していくのも失礼…だよね。
それに会計しているうちに帰ってきてきまづくなったらどうしよう。もしかしたら今携帯で仲間呼んだりしてたりして…。
ってもうトイレから戻ってきた!?はやすぎ、
「よお、カタル」
「へ」
どかりと私の横に座ったのは、さっきまで居座っていた男ではなくなんとサボだ。サボもトイレに行っていてその帰りに寄ったらしい。
「サボ~!めちゃめちゃいいところに…って、できあがるの早くない?」
ん、だかなんだか短い返事をして頬杖をついてこちらを見るサボは、もうお酒がまわりにまわって顔が赤い。ここまで飲んだサボを見るのは初めてじゃないだろうか。
「え、まだ来て1時間そこらでしょ?もうそんな飲んだの?」
「まぁ…な。そういうお前こそ、いつもと違ってえげつねぇの頼んでんじゃねぇか」
「あ~これは違うよ~」
勝手に向こうに頼まれて、しかも私にはきつくて飲めなくて困ってたところ。
そう言うとサボは「ほぉー…」なんてどこか納得していない様子で相槌をうつ。
「酒も残せねぇような相手なのか。相手のペースで飲まされてたらお前、そのまま連れ去られても文句言えねぇぞ」
なぜか怒った口調のサボはどこからどう見てもご機嫌斜めだ。
飲みすぎ…のせいなのかな。絡み酒ってやつ? サボって酔うとこうなるのかな…。
どうしよう。でもあの人よりは酔っ払いでもサボに居てもらった方がとりあえず面倒な場は逃げれるか。
またこのサボもすごく面倒そうだけど。…コアラもいるし、まだいいか。
「おいきいてんのか!カタル」
「わ、」
返事をしない私に無視されていると思ったのか、サボは私に言い聞かせるように腕をつかみ前へ寄ってくる。
目の前にすごくイライラした様子のサボの表情。アルコールの香りにまじって、ふわりとサボがつけている香水の香り。
そう、いつも優雅に香水なんてまとっちゃって、私のことを上から小ばかにしてくるくらいの人なのに。今日みたいにこんなに怒ってるサボは初めて見る。
「き、きいてるよ。サボ、酔いすぎだよ」
「……お前が、適当な態度してるからだろ。そんなだから相手も誤解すんだよ」
「え?」
怒っていたかと思いきや、今度はだんだんと小声になりながら俯いてしまうサボ。
何が何だかよくわからないけど、大丈夫なのかな。 え、これもしかして気持ち悪くなってる?吐きそうになってる?
「ちょっ、大丈夫サボ?」
「な、…」
顔色を窺おうと俯くサボに対して私も顔を覗き込ませる。
と、顔をあげたサボと至近距離で目があったと思ったら、向こうが驚いて林檎みたいに顔を真っ赤にして。
そうして何かを耐えるようにぐっと唇を噛み締めている。…この百面相には一体どんな意図があったのか。
「っ…お前男なめてるだろ」
「え?いやなんでそうなるの?私てっきりサボが吐きそうなのかなぁって…」
「…お前、もしかしてあのままあの男のとこ転がり込むつもりだったんじゃ…」
今度は何かに焦るような表情。私の腕をつかむサボの手に力がこもってきて正直痛い。
「っ…ちが、違うって!だからそうならないように、そのお酒をどうしようかなって悩んでたんでしょ…!」
「……酒…」
ここでサボの視線が私の困りの元のショートグラスに戻る。
何を思ったのか、サボはそのショートグラスを手に取ると、くいっと一口でそれを飲み干してしまった。
あの、むせるような度数の強いお酒を。
「ッ、けほ、げほ」
「ちょ、ちょっとサボ!大丈夫!?ばかじゃないの?」
「ッ~…」
きっと今、猛烈なのどを焼けるような熱さと眩暈に襲われているのだろう。サボはぐっと自分の頭を手で押さえて押し黙ってしまう。
とにかく水。水を飲ませなければ。ふと目に入った水は少し遠い距離にあって、水をとろうと席を立とうとしたところ、
「…行くな」
腕をまた力強くサボに掴まれて。そこからぴくりとも動けなくなった。
「さ、サボ?水取りに行くだけだから…」
「……」
「サボ…」
私の声が届いているのかどうかも怪しかった。ただサボは俯き頭を押さえながら、もう片方の手で私の腕をしっかりと掴んで離さない。
ことを察してくれたマスターがコトンと目の前に水をおいてくれて、とりあえずとサボに水を手渡す。サボはようやくそれを飲んだけど、私の腕はつかんだままだ。
「…あ」
困り果てているところで、存在を忘れかけていた例の酔っ払い男がトイレから戻ってきたようだった。
でもその男の席にはもうサボが居座っていて、しかも項垂れて私の腕を掴んではなさいと来たものだから、男の方も驚いているようだった。
「えーと…その人大丈夫?カタルちゃんの知り合い?」
「あ、そうです彼は…」
言いかけたところで、頭をぐっとおさえられもごっと口に何か当たる。
「そうです。カタルは大事な俺の連れなんです。だから悪いけど今日はもう帰ってくれないか」
耳元でサボの声。どうやらサボの肩に頭を抑え込まれているらしい。
わ、わ、と状況に混乱している中、サボの肩の向こうから、いつからこっちを見ていたのか観戦モードでにやけまくっているコアラが見える。
見られている気恥ずかしさにボッと顔が赤くなるのが自分でわかる。
そうこうしている間に酔っ払い男はおとなしく帰ったようだった。
「……」
「……」
「え…と」
酔っ払い男が退散したのはなんとなく雰囲気でわかるけれど、私の拘束が一向に解かれない。
サボさん、サボさんと頭をぐりぐりと動かして離してほしいと訴えるけど、がっちりと頭をホールドされたまま動けない。コアラと目線が合いまくっていい加減気まずい。
そんなことを思っているとコアラがこっちにやってきて、「やっぱりね~」なんて言いながらよいしょとサボの腕を解いてくれた。
「安心してサボ君ったら、このまま寝ちゃってるよ」
「え、なんちゅう状況で…。それにしても、面倒なの追い払ってくれたのは助かったけど」
「見てて楽しかったよ~!あんな台詞だったけど、どーんな怖い顔して言ったんだか」
「……」
それからはしばらく、あとから合流するみんなを待ってコアラと二人で飲みなおし。
「も~サボ君ったら、カタルが男と2人で飲んでるの見たからか、今日はペース早くって!」
「やっぱペース早かったんだ?酔うのはやいなーって思ってたもん」
「嫉妬したんなら嫉妬したって素直に言えば可愛いのにね~!」
「サボが嫉妬?…ないない。ただの絡み酒でしょ!今回はそれに救われちゃったけど!」
「……(まぁ~サボ君もこれは苦労するかなぁ)」
隣で語られるさして興味のない話に相槌を打ち始めてもうどれくらいたっただろう。
「-で、これがまた面白いんですよ!お恥ずかしい話、もうお金もどれくらいつぎ込んでしまったかわからないくらいで」
まぁ、とおどけたように笑っておいて、やめられないものですよね、なんて返しておく。
確か携帯アプリの話だ。気持ちが全く分からないわけではないけれど、正直この人が一生懸命話しているアプリは初耳で話についていけない。
―どうしてこんなことになってしまったのか。
くい、とグラスを傾けてことを振り返る。そもそも私はたまには一人でゆっくり飲みたいと、カウンターで一人で飲んでいただけなのだ。
それがどうして、酔っ払いに絡まれそのまま話に付き合う羽目になっているのか。
ふぅ、と相手にわからないように短くため息をついたところで、カランと入口のドアがなる。来客の知らせだ。
「え~!?カタルじゃん!」
と同時に明るい声色。驚いて振り向けば、そこには見知った顔がそろっていて。
「わ、コアラ!サボも!偶然だね~!」
「あとでみんなも来るよ!カタル最近忙しそうで全然飲めなかったもんね~!今度ゆっくり飲もう!」
私の隣の男性をチラリとみて、コアラは使わなくていい気を使ったのかぱちりとウインクをして話を早々に切ってしまう。
違う。それは誤解だ。今はそんな気は使わなくていい。
サボはというと、驚いた表情で私の隣の男性を見ている。いや確かに私にそういう浮いた話はないから驚くかもしれないけど、驚きすぎじゃないかい?
「おい、カタル…」
「ちょっとサボくん!邪魔してないでさっさと行く!」
「あっおい、」
何か言いかけていたサボの耳をぐいぐいと引っ張って、コアラはいつもの調子で彼を奥の座席へと引っ張っていった。
うーん…いつもはありがたいことだけど、今はサボの空気が欲しかったかも。…というか抜け出す理由になれたのに。
――。
それからさらに抜け出すタイミングを失って1時間くらいたっただろうか。
ふと、じっとこちらを見つめている相手の視線が気になり顔をむけた。
「カタルさん、先ほどの方といいご友人が多いんですね」
「あ、あはは…多いなんてほどでもないんですけど」
「僕ともぜひ、これを機に友人になってほしいものです」
などと言いながら、その人はいつの間にか新しいお酒を注文してくれていたらしい。
お近づきの印に、なんて差し出されたのはショートグラス。ロックですらない。
「え…あの、」
「結構お酒がお好きと見えたので。僕の一押しです。よければどうぞ」
さっきまでロックをちびちび飲んでいた私には高すぎるハードルの予感しかしない。
意を決して一口飲んでみれば、舌先についただけでピリピリとした刺激が遅い、あとから鼻を抜けていく強すぎるアルコールのにおいにむせこんだ。
「ッ、けほ、」
「大丈夫ですか?ゆっくり飲んだ方がいいですよ」
「……」
やられた。
はやく帰りたがっているのがわかったのか、こんな飲みにくいお酒を出されてゆっくり飲ます作戦か。
こんなもの無理にでも一気に飲めば一瞬でできあがれる気しかしない。そうなったらますます向こうの思うつぼだ。
「…結構、強いんですね…」
「ふふ、そうですか?女性には少しきつすぎたかな?」
僕、いったんトイレに行ってきますね。そんなことを言って携帯を片手に男が席を立つ。
もう最悪今のうちに逃げてしまおうか。でもグラス全然空いてないし、残していくのも失礼…だよね。
それに会計しているうちに帰ってきてきまづくなったらどうしよう。もしかしたら今携帯で仲間呼んだりしてたりして…。
ってもうトイレから戻ってきた!?はやすぎ、
「よお、カタル」
「へ」
どかりと私の横に座ったのは、さっきまで居座っていた男ではなくなんとサボだ。サボもトイレに行っていてその帰りに寄ったらしい。
「サボ~!めちゃめちゃいいところに…って、できあがるの早くない?」
ん、だかなんだか短い返事をして頬杖をついてこちらを見るサボは、もうお酒がまわりにまわって顔が赤い。ここまで飲んだサボを見るのは初めてじゃないだろうか。
「え、まだ来て1時間そこらでしょ?もうそんな飲んだの?」
「まぁ…な。そういうお前こそ、いつもと違ってえげつねぇの頼んでんじゃねぇか」
「あ~これは違うよ~」
勝手に向こうに頼まれて、しかも私にはきつくて飲めなくて困ってたところ。
そう言うとサボは「ほぉー…」なんてどこか納得していない様子で相槌をうつ。
「酒も残せねぇような相手なのか。相手のペースで飲まされてたらお前、そのまま連れ去られても文句言えねぇぞ」
なぜか怒った口調のサボはどこからどう見てもご機嫌斜めだ。
飲みすぎ…のせいなのかな。絡み酒ってやつ? サボって酔うとこうなるのかな…。
どうしよう。でもあの人よりは酔っ払いでもサボに居てもらった方がとりあえず面倒な場は逃げれるか。
またこのサボもすごく面倒そうだけど。…コアラもいるし、まだいいか。
「おいきいてんのか!カタル」
「わ、」
返事をしない私に無視されていると思ったのか、サボは私に言い聞かせるように腕をつかみ前へ寄ってくる。
目の前にすごくイライラした様子のサボの表情。アルコールの香りにまじって、ふわりとサボがつけている香水の香り。
そう、いつも優雅に香水なんてまとっちゃって、私のことを上から小ばかにしてくるくらいの人なのに。今日みたいにこんなに怒ってるサボは初めて見る。
「き、きいてるよ。サボ、酔いすぎだよ」
「……お前が、適当な態度してるからだろ。そんなだから相手も誤解すんだよ」
「え?」
怒っていたかと思いきや、今度はだんだんと小声になりながら俯いてしまうサボ。
何が何だかよくわからないけど、大丈夫なのかな。 え、これもしかして気持ち悪くなってる?吐きそうになってる?
「ちょっ、大丈夫サボ?」
「な、…」
顔色を窺おうと俯くサボに対して私も顔を覗き込ませる。
と、顔をあげたサボと至近距離で目があったと思ったら、向こうが驚いて林檎みたいに顔を真っ赤にして。
そうして何かを耐えるようにぐっと唇を噛み締めている。…この百面相には一体どんな意図があったのか。
「っ…お前男なめてるだろ」
「え?いやなんでそうなるの?私てっきりサボが吐きそうなのかなぁって…」
「…お前、もしかしてあのままあの男のとこ転がり込むつもりだったんじゃ…」
今度は何かに焦るような表情。私の腕をつかむサボの手に力がこもってきて正直痛い。
「っ…ちが、違うって!だからそうならないように、そのお酒をどうしようかなって悩んでたんでしょ…!」
「……酒…」
ここでサボの視線が私の困りの元のショートグラスに戻る。
何を思ったのか、サボはそのショートグラスを手に取ると、くいっと一口でそれを飲み干してしまった。
あの、むせるような度数の強いお酒を。
「ッ、けほ、げほ」
「ちょ、ちょっとサボ!大丈夫!?ばかじゃないの?」
「ッ~…」
きっと今、猛烈なのどを焼けるような熱さと眩暈に襲われているのだろう。サボはぐっと自分の頭を手で押さえて押し黙ってしまう。
とにかく水。水を飲ませなければ。ふと目に入った水は少し遠い距離にあって、水をとろうと席を立とうとしたところ、
「…行くな」
腕をまた力強くサボに掴まれて。そこからぴくりとも動けなくなった。
「さ、サボ?水取りに行くだけだから…」
「……」
「サボ…」
私の声が届いているのかどうかも怪しかった。ただサボは俯き頭を押さえながら、もう片方の手で私の腕をしっかりと掴んで離さない。
ことを察してくれたマスターがコトンと目の前に水をおいてくれて、とりあえずとサボに水を手渡す。サボはようやくそれを飲んだけど、私の腕はつかんだままだ。
「…あ」
困り果てているところで、存在を忘れかけていた例の酔っ払い男がトイレから戻ってきたようだった。
でもその男の席にはもうサボが居座っていて、しかも項垂れて私の腕を掴んではなさいと来たものだから、男の方も驚いているようだった。
「えーと…その人大丈夫?カタルちゃんの知り合い?」
「あ、そうです彼は…」
言いかけたところで、頭をぐっとおさえられもごっと口に何か当たる。
「そうです。カタルは大事な俺の連れなんです。だから悪いけど今日はもう帰ってくれないか」
耳元でサボの声。どうやらサボの肩に頭を抑え込まれているらしい。
わ、わ、と状況に混乱している中、サボの肩の向こうから、いつからこっちを見ていたのか観戦モードでにやけまくっているコアラが見える。
見られている気恥ずかしさにボッと顔が赤くなるのが自分でわかる。
そうこうしている間に酔っ払い男はおとなしく帰ったようだった。
「……」
「……」
「え…と」
酔っ払い男が退散したのはなんとなく雰囲気でわかるけれど、私の拘束が一向に解かれない。
サボさん、サボさんと頭をぐりぐりと動かして離してほしいと訴えるけど、がっちりと頭をホールドされたまま動けない。コアラと目線が合いまくっていい加減気まずい。
そんなことを思っているとコアラがこっちにやってきて、「やっぱりね~」なんて言いながらよいしょとサボの腕を解いてくれた。
「安心してサボ君ったら、このまま寝ちゃってるよ」
「え、なんちゅう状況で…。それにしても、面倒なの追い払ってくれたのは助かったけど」
「見てて楽しかったよ~!あんな台詞だったけど、どーんな怖い顔して言ったんだか」
「……」
それからはしばらく、あとから合流するみんなを待ってコアラと二人で飲みなおし。
「も~サボ君ったら、カタルが男と2人で飲んでるの見たからか、今日はペース早くって!」
「やっぱペース早かったんだ?酔うのはやいなーって思ってたもん」
「嫉妬したんなら嫉妬したって素直に言えば可愛いのにね~!」
「サボが嫉妬?…ないない。ただの絡み酒でしょ!今回はそれに救われちゃったけど!」
「……(まぁ~サボ君もこれは苦労するかなぁ)」
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