即興SS
五月雨が降る中、ジララはマントを頭まで被りドロロの家を訪ねた。ドロロはジララが来るのを分かっていたように湯を沸かして待っていた。ふと、部屋の隅に見慣れないものがあった。白い花瓶に活けられた濃い紫色をした大きな花。ぽつんと置かれているにも関わらず存在感を放っている。ジララは物珍しそうにその花について尋ねた。
「花菖蒲でござるよ」
ドロロは川辺を散歩中に見つけたのだと続けた。一輪だけ摘むと家に帰り花瓶に活けた。
「綺麗でござろう」
にこにこと笑うドロロを見てジララは頷いた。ケロンにはこのような花はない。ほとんどが人工的な花ばかりだからか、ジララはまじまじと花菖蒲を見つめていた。ドロロは湧いた湯でお茶を入れる。雨で気温が下がり肌寒い。湯飲みに注がれたお茶はゆらゆらと湯気を立てていた。
「菖蒲は英語でアイリス。ギリシャ神話の虹の女神の名前から来ているのでござる」
ドロロはいつか読んだ本の内容を思い出す。虹の女神イリス。雨が降る五月に咲く花によく似合う名前だ。
「虹か」
ジララは呟くと窓へ目を遣った。まさか。ドロロはジララと同じ窓へ目を遣る。雨はいつの間にか止み、遠くに薄らと虹が見えていた。ドロロは驚いてジララの顔を見た。
「たまたまだ」
その言葉が本当なのかはドロロに分からない。とはいえいくらジララにも天気を操作することはできないだろう。もしかしたら来る途中に既に虹が見えていたのかもしれない。ジララは湯飲みを手に取るとお茶をすすった。
「良い花だな」
そして口を開くともう一度花菖蒲へ目を向けた。
「花菖蒲でござるよ」
ドロロは川辺を散歩中に見つけたのだと続けた。一輪だけ摘むと家に帰り花瓶に活けた。
「綺麗でござろう」
にこにこと笑うドロロを見てジララは頷いた。ケロンにはこのような花はない。ほとんどが人工的な花ばかりだからか、ジララはまじまじと花菖蒲を見つめていた。ドロロは湧いた湯でお茶を入れる。雨で気温が下がり肌寒い。湯飲みに注がれたお茶はゆらゆらと湯気を立てていた。
「菖蒲は英語でアイリス。ギリシャ神話の虹の女神の名前から来ているのでござる」
ドロロはいつか読んだ本の内容を思い出す。虹の女神イリス。雨が降る五月に咲く花によく似合う名前だ。
「虹か」
ジララは呟くと窓へ目を遣った。まさか。ドロロはジララと同じ窓へ目を遣る。雨はいつの間にか止み、遠くに薄らと虹が見えていた。ドロロは驚いてジララの顔を見た。
「たまたまだ」
その言葉が本当なのかはドロロに分からない。とはいえいくらジララにも天気を操作することはできないだろう。もしかしたら来る途中に既に虹が見えていたのかもしれない。ジララは湯飲みを手に取るとお茶をすすった。
「良い花だな」
そして口を開くともう一度花菖蒲へ目を向けた。
