即興SS
会議終わり、机に散乱した資料の片付けをするためにクルルは残っていた。そして頼まれてもいないのにドロロはそれを手伝っていた。
「ほんと、お人好しッスね。俺に優しくしてもなにもないッスよ」
「拙者がやりたくてやっているゆえ。見返りなど求めてござらん」
クルルにはその考えは理解できないようだった。頼まれてもないことを好き好んでやるなど、クルルからしたらありえないことだった。どんな頼みごとでも現金と引換に引き受ける。それがクルルだった。
「そうだ先輩、今度海行きません?」
クルルは突然言ったが、ドロロにはその言葉の意味がよくわからなかった。何故自分を誘うのか、そもそもこんなにも海が似合わないクルルが海だなど、何か裏があるとしか思えない。ドロロは不審そうな顔をして言った。
「何が目的で?」
「さァ?」
そのニヤつく笑みにはやはり裏しかなさそうだった。
「御免」
ドロロは綺麗にまとめた書類を机の上に置くと、煙幕に包まれて姿を消した。
それから数日後のことだった。夕暮れ時にドロロが土井中海岸をパトロールしていると砂浜に立てられたパラソルの下にクルルがいた。パラソルごとアンチバリアが張っているので地球人には見えないのだが、ドロロはすぐにクルルに気づき声をかけた。
「クルル殿」
ドロロが声をかけるとクルルはアンタか、と顔を上げた。
「断っておきながら来たのかよ」
「いや、たまたまでござるよ。拙者はパトロールであって」
「ふぅん」
半分事実、半分嘘。嘘などついたところでクルルには簡単に見破られてしまうのだろう。ドロロはクルルの表情を見ながら口を開く。
「しかし、なぜわざわざ海に?」
ドロロの問いにもクルルはパソコンから目を離さない。あの、ドロロがそう言いかけてクルルが言った。
「ここに座ってみな」
クルルは自分の隣のパラソルの影になっている砂浜をぽんぽんと叩いた。ドロロはゆっくりとそこに腰掛けた。なぜそんなことを、など聞かずともすぐに分かった。そこは絶景の一等地だった。赤い夕日と、夕日に照らされた赤い海がゆらゆらと揺れていた。ドロロは息を呑む。まさか、クルルはこの景色を見せるために? ドロロがクルルを見ると、クルルは相変わらずパソコンを眺めていた。
「先輩が座ってる場所が、俺がデータから割り出した最高の景色だぜ」
ククッと笑い、ようやくパソコンから目を離した。
「俺にも義理ってモンがあるんスよ。先輩こういうの好きだろ」
義理、そう言われドロロはハッとする。
「いや、だから拙者は見返りのためではなくて」
そう言いながらクルルの顔を見た。その顔は珍しいくらいに穏やかで、それは夕日に照らされているせいなのか、ドロロには分からなかった。ドロロは海に来ることはあってもそれはパトロールのためであり、こうしてゆっくりと海を眺めることなどなかった。
「……ありがとう」
ドロロは呟くように言った。その顔も夕日に照らされてほんのり赤く輝いていた。
帰りは送って行くよ、とドロロは手裏剣型のソーサーを取り出す。クルルはドロロの後ろに乗り、その背中に掴まった。
「先輩、体温低いッスね」
「え、そうかな?」
二人は海から離れ、日向家へと向かった。空は夕日がほとんど沈み、夜になろうとしていた。
「ほんと、お人好しッスね。俺に優しくしてもなにもないッスよ」
「拙者がやりたくてやっているゆえ。見返りなど求めてござらん」
クルルにはその考えは理解できないようだった。頼まれてもないことを好き好んでやるなど、クルルからしたらありえないことだった。どんな頼みごとでも現金と引換に引き受ける。それがクルルだった。
「そうだ先輩、今度海行きません?」
クルルは突然言ったが、ドロロにはその言葉の意味がよくわからなかった。何故自分を誘うのか、そもそもこんなにも海が似合わないクルルが海だなど、何か裏があるとしか思えない。ドロロは不審そうな顔をして言った。
「何が目的で?」
「さァ?」
そのニヤつく笑みにはやはり裏しかなさそうだった。
「御免」
ドロロは綺麗にまとめた書類を机の上に置くと、煙幕に包まれて姿を消した。
それから数日後のことだった。夕暮れ時にドロロが土井中海岸をパトロールしていると砂浜に立てられたパラソルの下にクルルがいた。パラソルごとアンチバリアが張っているので地球人には見えないのだが、ドロロはすぐにクルルに気づき声をかけた。
「クルル殿」
ドロロが声をかけるとクルルはアンタか、と顔を上げた。
「断っておきながら来たのかよ」
「いや、たまたまでござるよ。拙者はパトロールであって」
「ふぅん」
半分事実、半分嘘。嘘などついたところでクルルには簡単に見破られてしまうのだろう。ドロロはクルルの表情を見ながら口を開く。
「しかし、なぜわざわざ海に?」
ドロロの問いにもクルルはパソコンから目を離さない。あの、ドロロがそう言いかけてクルルが言った。
「ここに座ってみな」
クルルは自分の隣のパラソルの影になっている砂浜をぽんぽんと叩いた。ドロロはゆっくりとそこに腰掛けた。なぜそんなことを、など聞かずともすぐに分かった。そこは絶景の一等地だった。赤い夕日と、夕日に照らされた赤い海がゆらゆらと揺れていた。ドロロは息を呑む。まさか、クルルはこの景色を見せるために? ドロロがクルルを見ると、クルルは相変わらずパソコンを眺めていた。
「先輩が座ってる場所が、俺がデータから割り出した最高の景色だぜ」
ククッと笑い、ようやくパソコンから目を離した。
「俺にも義理ってモンがあるんスよ。先輩こういうの好きだろ」
義理、そう言われドロロはハッとする。
「いや、だから拙者は見返りのためではなくて」
そう言いながらクルルの顔を見た。その顔は珍しいくらいに穏やかで、それは夕日に照らされているせいなのか、ドロロには分からなかった。ドロロは海に来ることはあってもそれはパトロールのためであり、こうしてゆっくりと海を眺めることなどなかった。
「……ありがとう」
ドロロは呟くように言った。その顔も夕日に照らされてほんのり赤く輝いていた。
帰りは送って行くよ、とドロロは手裏剣型のソーサーを取り出す。クルルはドロロの後ろに乗り、その背中に掴まった。
「先輩、体温低いッスね」
「え、そうかな?」
二人は海から離れ、日向家へと向かった。空は夕日がほとんど沈み、夜になろうとしていた。
