その他
自惚れかもしれないけどクルル君は僕のことが好きだ。僕がクルル君のラボに行けば嬉しそうな目をして、それを隠そうとメガネを指で持ち上げる。僕が会議に参加しないと「なんで来ないンすか」と不機嫌そうに言う。普段見せることのない顔を僕の前でだけしている、と思っている。だが僕もクルル君の前では顔がゆるんでしまう。「センパイ、そんな顔するんスね」。そう言われてハッとしたことがある。だが、好きな人のそばにいたら気がゆるむのは当然だと思う。だから僕はそんな顔が見たくてクルル君に抱きつく。クルル君は一瞬驚いた顔をして、すぐに僕を受け入れた。「急になんスか」。そっけない声は照れ隠しだと分かっている。「駄目?」「駄目じゃねーけど……重い」クルル君の細い体はいつだって折れてしまいそうだ。「今日はちゃんと食べたの?」「食べましたよ」「嘘、カレーの匂いがしない」クルル君はバツが悪そうに頭をぽりぽりとかく。「アンタ、嗅覚鋭すぎ」。そう言って溜め息を吐いた。「センパイは昼はまだ? 一緒に食べに行きましょ」僕は抱きしめた体を更にぎゅうと抱く。「うどんがいい」「えー」クルル君の声はどこか嬉しそうだったのは僕とご飯が食べられるから、だと思いたい。積み重ねた小さい自惚れに僕はマスクの下で微笑む。僕は君の自惚れじゃなく君が好きだよ、いつかそう言ってみようと思う。
