その他

 会議が終わりケロロが自室へ戻ると、ドロロは隊長ルームに居座って湯飲みでお茶を飲んでいた。当たり前のように綺麗に正座を保っている。ちらりとケロロを見るとゆっくりと口を開いた。
「隊長殿、会議は終わったのでござるか」
 いかにも他人事のように言うドロロにケロロは溜め息を吐いた。お前も参加しろよ、思わず出そうになった言葉を飲み込んで笑顔を作った。
「終わったでありますよ。今日は収穫なし。だらだらしてても仕方ないから解散したであります」
「そうでござったか」
 ケロロは事実を告げた。ドロロは表情を変えずにお茶をすすった。
「それにしてもこんなところで何してるでありますか。もしかして、我輩に会いに来たんでありますか?」
 ケロロはにやにやとドロロに近寄る。意地悪なその表情は昔から変わらない。ドロロはその表情に弱かった。自分より強い存在であるケロロには逆らえない。そう刷り込まれてきたからだ。だがドロロがわざわざ隊長ルームに居る理由は一つしかなかった。構って欲しい、そんなシンプルな欲求だった。
「我輩にどうして欲しいんでありますか、ドロロ?」
 顔をずいと近付ける。その顔が憎たらしくてたまらない。突き放してすらやりたくなるのに逃げられない。何故ならその顔は、あの頃みたいな無邪気なケロロ君そのもので……。
 ドロロは心のどこかで求めている。それでいて真っ黒な目には従う他ない。NOと言わせない恐ろしさすら感じる気迫。これがケロンスターの力なのか。ドロロは湯飲みを床に置いた。
 争いごとを嫌う、戦闘には不向きな性格。優しさゆえなのか、心の弱さなのか。
「ケロロ君」
 ドロロは噛み締めるように言った。
「僕たち友達だよね?」
 ケロロはきょとんとした顔でドロロを見た。そして笑って言った。
「当然であります」
「じゃあ僕のこと、好き?」
「え……まぁ、そりゃ友達だし」
 ドロロはその言葉を聞くと満足そうに笑った。ケロロは訳が分からずに笑うドロロを見つめた。その笑顔はあの頃のように純粋なものだった。
「友達なんだから、たまには会議くらい来いよ」
「……それはどうかな」
 ケロロ小隊から友達へ代わったように口調が砕けた。だがやはりあの頃とは違う重々しさがそこにはあった。
(僕が寝返らなければ、ケロロ君は……?)
 ドロロの青い目が揺れた。しっかりと捉えたケロロの瞳は闇そのものと言えるほど深かった。
18/24ページ
スキ