その他

 秘密基地に現れたゼロロは白いマフラーを首に巻いていた。それを見てギロロはここに来るまでかなり寒かったことを思い出す。冷たい風が肌に刺さるように痛いかった。ゼロロは肩をすくめながら鼻をすする。
「今日は寒いね」
 体の弱いゼロロはすぐに風邪を引く。ギロロはゼロロを心配して声をかけた。
「寒いから家にいたほうがいいんじゃないか?」
「ううん、平気。それにみんなと遊びたいもの」
 ゼロロは微笑みながら言った。だがギロロはゼロロの手に触れる。そして驚いたように声を上げる。
「氷みたいに冷たいじゃないか!」
 ゼロロの手は冷え切っていた。本当に風邪を引きかねない。ギロロはゼロロの手を両手で握り込んだ。
「オレがあっためてやる」
 ギロロは冬だというのに温かい手でゼロロに体温を分けた。そして少しずつゼロロの手が温まるのを嬉しく思った。
 ドロロがギロロを訪ねるや否や「今日は寒いね」と口を開いたものだから、ギロロは昔のことを思い出していた。今も手が冷たいのだろうか、そんな考えが頭をよぎる。ギロロは焚き火の前に並んで座るドロロの手をおもむろに掴んだ。ドロロは驚いてギロロを見た。その手はあの日と変わらず冷たかった。
「お前は昔から手が冷たいな」
 ギロロの言葉にドロロは微笑む。そして口を開く。
「ギロロ君があっためてくれる?」
 ドロロはそう言い手を委ねるとギロロの手はドロロの手を包み込んだ。ギロロはあの時もこうしてドロロを温めた。寒さを言い訳にして互いに触れることができる。こうでもしないと触れることすら叶わない。直に触れる手の感触も体温も全てが愛おしいというのに、損な口下手が憎い。そう思うのは自分だけだろうか、と二人は同じことを考えていた。
 焚き火が爆ぜる音の中で二人は黙って互いの手を握り続けた。ずっとこのままでいたい、そう思うのも二人とも同じだった。どちらかが口を開けば叶うのに、それができない。だから黙って手を握り続けることしかできなかった。
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