その他
十月も終わりに近づきすっかり肌寒くなった。適度な乾燥で焚き火の燃え具合はいい。焼き芋も美味しい季節。そしてテントの中にいても蒸し暑さを感じないいい季節でもあった。ドロロはギロロのテントを訪ねると小さな包みを見せた。丁寧にラッピングされたそれをギロロへと渡す。ギロロは包みを受け取ると包装を開けた。中には小洒落たパッケージのリップクリームが入っていた。
「ギロロ君の唇、いつもカサカサだから」
若い女性に向けられたようなそのデザインに拒否反応を示しつつ、ドロロがくれたのなら素直に受け取ろうとパッケージをまじまじと見た。よく見ると「バニラの香り」の文字まである。ギロロは少し呆れたように溜め息を吐いた。ドロロはその反応まで予想していたように口を開く。
「甘いほうがいいでしょ」
くすくすと笑うドロロの言葉の意味が分からずギロロはしばらく首を傾げていたが、その言葉の意味を理解すると大袈裟なくらい驚いた。赤い顔を更に赤くするのをドロロは微笑みながら見つめていた。
「これ、開けてよ」
ドロロに促されるままにギロロはパッケージを開ける。細いリップクリームのフタを外すと唇へ滑らせた。くどいくらいの甘い香りが鼻を突く。その様子をじっと眺めていたドロロが身を乗り出してギロロへ近付いた。顔が触れるか触れないかという近距離で唇に塗られたリップクリームの匂いを嗅いだ。
「いい匂い」
そして口布を下ろすと自身の唇を押し当てた。柔らかい感触に混ざるバニラの香り。ギロロはドロロの肩を掴むとドロロの唇を食んだ。テントの中に甘い香りが充満して二人の脳を犯していく。ギロロは唇を離すとリップクリームのフタを開け、ドロロの唇へと滑らせた。ドロロはきょとんとした顔でされるがままになっていると、ギロロはフタを閉めながら唇を重ねた。そしてバニラの香りを胸いっぱいに吸い込んだ。そして一瞬唇を離すと呟くように言った。
「すまん、歯止めが利きそうにない」
ギロロは返事も待たずにドロロの唇へ喰らいつく。再びしっかりと掴んだ肩。ドロロは覚悟を決めたように目を閉じるとキスは深く深く蕩けていく。
唇からリップクリームが剥がれても二人は互いの唇を求め合った。涼しかったはずのテントが蒸し暑い。絡めた指が汗ばんで濡れている。
「ギロロ、君」
唇の隙間から微かに声がした。その声を塞ぐようにギロロは唇を重ねる。ドロロのくぐもった声が口の中に流れていく。ギロロは言葉すら許してくれない。歯止めが利きそうにない、その言葉は嘘ではなかった。たかがリップクリームでこんなことになるなんて。ドロロの少しの期待が、予想を遥かに超えて返ってきた。バニラの香りを選んで正解だった……そんなことを頭の片隅で思いながらドロロはギロロの足元に置かれたリップクリームを手に取るのだった。
「ギロロ君の唇、いつもカサカサだから」
若い女性に向けられたようなそのデザインに拒否反応を示しつつ、ドロロがくれたのなら素直に受け取ろうとパッケージをまじまじと見た。よく見ると「バニラの香り」の文字まである。ギロロは少し呆れたように溜め息を吐いた。ドロロはその反応まで予想していたように口を開く。
「甘いほうがいいでしょ」
くすくすと笑うドロロの言葉の意味が分からずギロロはしばらく首を傾げていたが、その言葉の意味を理解すると大袈裟なくらい驚いた。赤い顔を更に赤くするのをドロロは微笑みながら見つめていた。
「これ、開けてよ」
ドロロに促されるままにギロロはパッケージを開ける。細いリップクリームのフタを外すと唇へ滑らせた。くどいくらいの甘い香りが鼻を突く。その様子をじっと眺めていたドロロが身を乗り出してギロロへ近付いた。顔が触れるか触れないかという近距離で唇に塗られたリップクリームの匂いを嗅いだ。
「いい匂い」
そして口布を下ろすと自身の唇を押し当てた。柔らかい感触に混ざるバニラの香り。ギロロはドロロの肩を掴むとドロロの唇を食んだ。テントの中に甘い香りが充満して二人の脳を犯していく。ギロロは唇を離すとリップクリームのフタを開け、ドロロの唇へと滑らせた。ドロロはきょとんとした顔でされるがままになっていると、ギロロはフタを閉めながら唇を重ねた。そしてバニラの香りを胸いっぱいに吸い込んだ。そして一瞬唇を離すと呟くように言った。
「すまん、歯止めが利きそうにない」
ギロロは返事も待たずにドロロの唇へ喰らいつく。再びしっかりと掴んだ肩。ドロロは覚悟を決めたように目を閉じるとキスは深く深く蕩けていく。
唇からリップクリームが剥がれても二人は互いの唇を求め合った。涼しかったはずのテントが蒸し暑い。絡めた指が汗ばんで濡れている。
「ギロロ、君」
唇の隙間から微かに声がした。その声を塞ぐようにギロロは唇を重ねる。ドロロのくぐもった声が口の中に流れていく。ギロロは言葉すら許してくれない。歯止めが利きそうにない、その言葉は嘘ではなかった。たかがリップクリームでこんなことになるなんて。ドロロの少しの期待が、予想を遥かに超えて返ってきた。バニラの香りを選んで正解だった……そんなことを頭の片隅で思いながらドロロはギロロの足元に置かれたリップクリームを手に取るのだった。
