ゾルドロ
宇宙人街の喧騒を離れるようにいつものカフェに向かう。窓際の席に着いてコーヒーを二つ頼むとようやくドロロが口を開いた。
「いつも遠くからご足労いただいて申し訳ないでござる」
「そう思うなら、さっさとこの星を侵略しろ……」
ゾルルは左手をカチャカチャ鳴らしながら言う。
ゾルルは休暇の度にペコポンに来ては宇宙人街でドロロと待ち合わせていた。ゾルルはわざわざドロロに会いに辺鄙なペコポンへ来るのだった。というのも、二人は仮にも恋人。こうでもしなければ会うことなどできなかったのだ。しばらくするとコーヒーが運ばれてテーブルの上に置かれた。湯気の上がるコーヒーにドロロはミルクを入れる。
「でも、たまに会える関係が拙者は結構好きでござるよ」
ドロロはコーヒーをスプーンでかき混ぜながら言う。食器が音を立てないよう配慮するのはドロロの育ちの良さか。
「いつでも会えたら少しつまらないかも」
ゾルルはその言葉に少し驚いた。ドロロがそのように考えているとは思わなかった。何故ならゾルルは会えない間いつもドロロのことを考えていたのだ。ゾルルは複雑な気持ちになりつつそんなこと言えるわけがない。そんな自身への苛立ちをぶつけるように口を開く。
「遥々ペコポンに来る俺のことも考えろ……!」
「ふふ、そうだった」
ドロロは楽しそうに笑う。
「会えない時、少しは僕のこと考えてくれてる?」
「……ほざけ」
ゾルルは苛立ちに任せコーヒーを流し込んだ。口の中に広がる苦味と喉の熱さが心地よかった。コーヒーカップをテーブルに置くとドロロの手がゾルルの手を掴んだ。生気のない冷たい手。体が青いからいつもこんなにも手が冷たいのだろうか、ゾルルはそんなことを考えた。
「温かい」
ドロロは呟いた。ゾルルの金属の左手はいつも冷たい。その代わり右手は生きているのだと感じられる体温がある。ドロロは右手に指を絡ませる。ぴったりとくっついた手に人目が気になってゾルルは落ち着かず手を離そうとするが、ドロロはそれを許さない。
「……せめて場所を移せ」
ゾルルの言葉にドロロは手に力を入れた。離したくないと言うような握り方だった。
「せっかく会えたんだからもう少しこのままでいさせてよ」
ドロロがそう言うとゾルルは諦めたように手をドロロへ預けた。結局ドロロも久々に会えて嬉しいのだと分かったことで安心したのか。相手も同じことを思ってくれているなら本望だ。ゾルルは左手でコーヒーカップを持ち上げ、残りのコーヒーを流し込んだ。ドロロのコーヒーからは湯気が消え、ミルクで薄まった茶色がゆらゆらと揺れていた。
「いつも遠くからご足労いただいて申し訳ないでござる」
「そう思うなら、さっさとこの星を侵略しろ……」
ゾルルは左手をカチャカチャ鳴らしながら言う。
ゾルルは休暇の度にペコポンに来ては宇宙人街でドロロと待ち合わせていた。ゾルルはわざわざドロロに会いに辺鄙なペコポンへ来るのだった。というのも、二人は仮にも恋人。こうでもしなければ会うことなどできなかったのだ。しばらくするとコーヒーが運ばれてテーブルの上に置かれた。湯気の上がるコーヒーにドロロはミルクを入れる。
「でも、たまに会える関係が拙者は結構好きでござるよ」
ドロロはコーヒーをスプーンでかき混ぜながら言う。食器が音を立てないよう配慮するのはドロロの育ちの良さか。
「いつでも会えたら少しつまらないかも」
ゾルルはその言葉に少し驚いた。ドロロがそのように考えているとは思わなかった。何故ならゾルルは会えない間いつもドロロのことを考えていたのだ。ゾルルは複雑な気持ちになりつつそんなこと言えるわけがない。そんな自身への苛立ちをぶつけるように口を開く。
「遥々ペコポンに来る俺のことも考えろ……!」
「ふふ、そうだった」
ドロロは楽しそうに笑う。
「会えない時、少しは僕のこと考えてくれてる?」
「……ほざけ」
ゾルルは苛立ちに任せコーヒーを流し込んだ。口の中に広がる苦味と喉の熱さが心地よかった。コーヒーカップをテーブルに置くとドロロの手がゾルルの手を掴んだ。生気のない冷たい手。体が青いからいつもこんなにも手が冷たいのだろうか、ゾルルはそんなことを考えた。
「温かい」
ドロロは呟いた。ゾルルの金属の左手はいつも冷たい。その代わり右手は生きているのだと感じられる体温がある。ドロロは右手に指を絡ませる。ぴったりとくっついた手に人目が気になってゾルルは落ち着かず手を離そうとするが、ドロロはそれを許さない。
「……せめて場所を移せ」
ゾルルの言葉にドロロは手に力を入れた。離したくないと言うような握り方だった。
「せっかく会えたんだからもう少しこのままでいさせてよ」
ドロロがそう言うとゾルルは諦めたように手をドロロへ預けた。結局ドロロも久々に会えて嬉しいのだと分かったことで安心したのか。相手も同じことを思ってくれているなら本望だ。ゾルルは左手でコーヒーカップを持ち上げ、残りのコーヒーを流し込んだ。ドロロのコーヒーからは湯気が消え、ミルクで薄まった茶色がゆらゆらと揺れていた。
