ゾルゼロ
兵舎でなら逢瀬も思いのままだった。俺はゼロロの部屋を訪ねると本を読んでいたようで栞を挟みこちらを向く。邪魔してしまったと帰ろうとしたところを引き留められた。俺は部屋に入るとゼロロの腰掛けているベッドの隣に座った。
「何を、読んでいた……?」
「ええと、心理学の本……」
ゼロロはどこか気まずそうに目線を逸らす。
「感情のことなんて学ぶべきじゃないんだろうけど」
ゼロロは日頃から感情を捨てるよう強く言われているようだった。だが優しいゼロロにはそれができない。あろうことかゼロロは感情について学ぼうとしている。
「呆れた?」
俺は首を振る。だが感心はしない。
ゼロロは少し黙って、それから口を開いた。
「僕は君じゃないから君の考えてることは分からない。でも、分かりたいって思うんだよ」
ゼロロは俺の手に自分の手を乗せた。温かい肌が言葉のように伝わってきた。まさか、俺のために本を読んでいたというのか。
「俺は、話すのは得意ではない……」
ましてや、感情など。俺は小さく口を開く。その言葉はゆっくりとゼロロの耳に届く。昔から話すのが遅かった。もっと早く喋れと何度も言われてきた。だがゼロロは違う。俺の言葉に耳を傾けて何度も頷いてくれる。それが、とても嬉しかった。
「伝わればいいんだよ」
ゼロロは俺の口元の包帯に手をかける。静かに解かれて露わになった唇にゼロロがキスを落とす。柔らかな唇から何かが伝わるような気がした。
「分かる? 僕の気持ち」
俺は少し間を置いて頷いた。ゼロロの伝えたいこと。優しいキス。ゼロロの目が伏せて俺の手を握る。その手は先程よりも温かい気がした。
「本なんて読まなくてもいいのかもね」
ゼロロは柔らかく笑った。その笑顔で胸がいっぱいになることを、愛おしいというのだろう。俺はマスクに向かってキスをする。ゼロロにこの気持ちを伝えられるだろうか。顔を離すとゼロロは俺を見て笑う。
「うーん、『ゼロロが好きだ!』かな?」
「……違う」
「違うの!?」
目を丸くしたゼロロはやはり愛おしい。俺は再びキスをするとゼロロは幸せそうに目を閉じた。
「何を、読んでいた……?」
「ええと、心理学の本……」
ゼロロはどこか気まずそうに目線を逸らす。
「感情のことなんて学ぶべきじゃないんだろうけど」
ゼロロは日頃から感情を捨てるよう強く言われているようだった。だが優しいゼロロにはそれができない。あろうことかゼロロは感情について学ぼうとしている。
「呆れた?」
俺は首を振る。だが感心はしない。
ゼロロは少し黙って、それから口を開いた。
「僕は君じゃないから君の考えてることは分からない。でも、分かりたいって思うんだよ」
ゼロロは俺の手に自分の手を乗せた。温かい肌が言葉のように伝わってきた。まさか、俺のために本を読んでいたというのか。
「俺は、話すのは得意ではない……」
ましてや、感情など。俺は小さく口を開く。その言葉はゆっくりとゼロロの耳に届く。昔から話すのが遅かった。もっと早く喋れと何度も言われてきた。だがゼロロは違う。俺の言葉に耳を傾けて何度も頷いてくれる。それが、とても嬉しかった。
「伝わればいいんだよ」
ゼロロは俺の口元の包帯に手をかける。静かに解かれて露わになった唇にゼロロがキスを落とす。柔らかな唇から何かが伝わるような気がした。
「分かる? 僕の気持ち」
俺は少し間を置いて頷いた。ゼロロの伝えたいこと。優しいキス。ゼロロの目が伏せて俺の手を握る。その手は先程よりも温かい気がした。
「本なんて読まなくてもいいのかもね」
ゼロロは柔らかく笑った。その笑顔で胸がいっぱいになることを、愛おしいというのだろう。俺はマスクに向かってキスをする。ゼロロにこの気持ちを伝えられるだろうか。顔を離すとゼロロは俺を見て笑う。
「うーん、『ゼロロが好きだ!』かな?」
「……違う」
「違うの!?」
目を丸くしたゼロロはやはり愛おしい。俺は再びキスをするとゼロロは幸せそうに目を閉じた。
