ゾルゼロ
夕食も終えた夜遅く、ゾルルはゼロロに呼ばれ彼の部屋を訪ねた。兵舎の消灯時間間際に足早に向かい、ドアを開ける。ドアは風に押され重たい。開いた窓からは風が吹き込んでいた。ゼロロは椅子に座り外を眺めていた。春の夜風が冷たく二人の肌を撫でた。
「何の用かと呼ばれてみれば……」
ゾルルは部屋を見回した。トラップでもなさそうだ。ゼロロはゆっくりとゾルルを振り返る。ぴたりと遭った目が深い青を抱えていた。それは昔見た人物画に似ていた。ゾルルにはその絵の魅力など分からなかった。だが今は、青に見惚れて目が離せない。
「来てくれたんだ」
ゼロロの目がぱちりと瞬いた。ゾルルはふと我に返る。
「何故、窓を開けている……?」
口にした疑問にゼロロは窓の向こうを指差した。かすかに、ぽつりと見える桃色。老木に花が咲いているようだ。まさか花を見せるために俺を呼んだのか、ゾルルは少し呆れてゼロロを見た。ゼロロは椅子から立ち上がる。
「あれは桜。地球の花なんだけど、なんでこんなところに咲いてるんだろう」
「俺が知るか……」
ゾルルは再び花を見た。遠くてよくは見えないが確かに可愛らしい花だった。
「君に見せたかったんだ」
「……用はそれだけか」
ゼロロは少し寂しそうな目をしてゾルルの腕を掴む。
「用がないと、駄目なの?」
ゼロロの目がゾルルを見つめた。ゾルルの体は硬直してゼロロの手を受け入れることしかできなかった。
「……あの花は、ただの口実」
ゼロロの手がゾルルの腕を上り、頬に触れた。夜風で冷えたのか、冷たい手をしていた。
「……窓を閉めろ」
ゾルルの言葉にゼロロは「少しだけ」とゾルルに抱きついた。頬に熱い息がかかる。上がる体温。ゾルルはゼロロの腰を支える。言葉など無用。密着した肌から心中を察し、ゾルルはゼロロの頬に触れた。
「何の用かと呼ばれてみれば……」
ゾルルは部屋を見回した。トラップでもなさそうだ。ゼロロはゆっくりとゾルルを振り返る。ぴたりと遭った目が深い青を抱えていた。それは昔見た人物画に似ていた。ゾルルにはその絵の魅力など分からなかった。だが今は、青に見惚れて目が離せない。
「来てくれたんだ」
ゼロロの目がぱちりと瞬いた。ゾルルはふと我に返る。
「何故、窓を開けている……?」
口にした疑問にゼロロは窓の向こうを指差した。かすかに、ぽつりと見える桃色。老木に花が咲いているようだ。まさか花を見せるために俺を呼んだのか、ゾルルは少し呆れてゼロロを見た。ゼロロは椅子から立ち上がる。
「あれは桜。地球の花なんだけど、なんでこんなところに咲いてるんだろう」
「俺が知るか……」
ゾルルは再び花を見た。遠くてよくは見えないが確かに可愛らしい花だった。
「君に見せたかったんだ」
「……用はそれだけか」
ゼロロは少し寂しそうな目をしてゾルルの腕を掴む。
「用がないと、駄目なの?」
ゼロロの目がゾルルを見つめた。ゾルルの体は硬直してゼロロの手を受け入れることしかできなかった。
「……あの花は、ただの口実」
ゼロロの手がゾルルの腕を上り、頬に触れた。夜風で冷えたのか、冷たい手をしていた。
「……窓を閉めろ」
ゾルルの言葉にゼロロは「少しだけ」とゾルルに抱きついた。頬に熱い息がかかる。上がる体温。ゾルルはゼロロの腰を支える。言葉など無用。密着した肌から心中を察し、ゾルルはゼロロの頬に触れた。
