ジラドロ
ドロロは壁にかけたカレンダーを眺める。今日は二十四節気の冬至。一年のなかで最も昼の時間が短い日。つまり、今日を折り返しにして昼はどんどん延びていく。始まったばかりの冬だというのに不思議な気もするが、ドロロは長い夜が終わるのは嬉しくもあった。
台所ではくつくつと音を立てて鍋が煮えていた。地球の風習で冬至にはかぼちゃを食べるのだと知り、秘密基地で育てたかぼちゃを収穫してきたのだった。丸々と肥えたかぼちゃは切ってみると濃い黄色をしていて、調理前から美味しそうに見えた。それを煮ながら見つめたカレンダー。もうすぐ今年も終わってしまう。しみじみと今年の出来事を思い出しながら、ドロロはジララの姿を思い浮かべた。
「お口に合うでござろうか」
ぽつりと呟いてドロロは鍋へと歩き蓋を取る。白い蒸気が上がって醤油の香りが立ちこめる。ジララの好みを考えて甘さは控えた。汁気の飛んだ表面がほくほくと美味しそうに煮えていた。
丁度家の外に誰かの気配を感じた。数々のトラップにかすりもしないのは小雪か、あるいは。ドロロは玄関へ向かうと戸を引いた。そこにはジララが立っていた。ドロロはにこりと笑った。
「丁度かぼちゃが煮えたでござるよ」
このかぼちゃはもちろんドロロが食べるためでもあったが、ジララのためでもあった。ドロロは今まで地球の風習を沢山と教えてきた。今日もそのつもりでかぼちゃを煮てジララを待っていた。ジララが囲炉裏の前に座るとドロロは皿にかぼちゃを盛り付けてジララへ供した。
「かぼちゃは栄養満点。冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかないのでござるよ」
ドロロはジララの反対側へ座る。アサシンにとって体調管理は基本中の基本だった。ジララは不器用に箸を握るとかぼちゃを口へ運ぶ。よく味の染みたかぼちゃは優しい甘さだった。ドロロは緊張した面持ちでジララを見つめる。
「……美味い」
低い声が唸るように言った。ドロロの表情が一気に晴れた。ドロロも自分の前に置いたかぼちゃへ口をつけた。なかなか上出来だった。
「春が近付いているのでござるよ」
今年はまだ雪も降っていない。だというのにこんな台詞はおかしいだろうか、そう思いながらもドロロは微笑んだ。
「春……桜を見たな」
ジララは思い出すように言った。あのような素晴らしい景色は決してケロン星では見ることはできない。ジララが脱走したから二人で桜を見られた、とも言える。ドロロも地球に寝返った裏切り者としてジララのことは責められない。
「地球に来てよかったと思ってほしいでござる」
ドロロが柔らかく笑う。まだまだ地球の素晴らしさは伝えきれてはいない。ドロロもまだ知らないことだらけだ。だが二人で素晴らしいものを見たり、見つけたりして思い出を作っていきたいと思った。
「おかわりもあるでござるよ」
ドロロの楽しげな声が冬の寒さも吹き飛ばす。ジララは空になった皿をドロロへ差し出した。
台所ではくつくつと音を立てて鍋が煮えていた。地球の風習で冬至にはかぼちゃを食べるのだと知り、秘密基地で育てたかぼちゃを収穫してきたのだった。丸々と肥えたかぼちゃは切ってみると濃い黄色をしていて、調理前から美味しそうに見えた。それを煮ながら見つめたカレンダー。もうすぐ今年も終わってしまう。しみじみと今年の出来事を思い出しながら、ドロロはジララの姿を思い浮かべた。
「お口に合うでござろうか」
ぽつりと呟いてドロロは鍋へと歩き蓋を取る。白い蒸気が上がって醤油の香りが立ちこめる。ジララの好みを考えて甘さは控えた。汁気の飛んだ表面がほくほくと美味しそうに煮えていた。
丁度家の外に誰かの気配を感じた。数々のトラップにかすりもしないのは小雪か、あるいは。ドロロは玄関へ向かうと戸を引いた。そこにはジララが立っていた。ドロロはにこりと笑った。
「丁度かぼちゃが煮えたでござるよ」
このかぼちゃはもちろんドロロが食べるためでもあったが、ジララのためでもあった。ドロロは今まで地球の風習を沢山と教えてきた。今日もそのつもりでかぼちゃを煮てジララを待っていた。ジララが囲炉裏の前に座るとドロロは皿にかぼちゃを盛り付けてジララへ供した。
「かぼちゃは栄養満点。冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかないのでござるよ」
ドロロはジララの反対側へ座る。アサシンにとって体調管理は基本中の基本だった。ジララは不器用に箸を握るとかぼちゃを口へ運ぶ。よく味の染みたかぼちゃは優しい甘さだった。ドロロは緊張した面持ちでジララを見つめる。
「……美味い」
低い声が唸るように言った。ドロロの表情が一気に晴れた。ドロロも自分の前に置いたかぼちゃへ口をつけた。なかなか上出来だった。
「春が近付いているのでござるよ」
今年はまだ雪も降っていない。だというのにこんな台詞はおかしいだろうか、そう思いながらもドロロは微笑んだ。
「春……桜を見たな」
ジララは思い出すように言った。あのような素晴らしい景色は決してケロン星では見ることはできない。ジララが脱走したから二人で桜を見られた、とも言える。ドロロも地球に寝返った裏切り者としてジララのことは責められない。
「地球に来てよかったと思ってほしいでござる」
ドロロが柔らかく笑う。まだまだ地球の素晴らしさは伝えきれてはいない。ドロロもまだ知らないことだらけだ。だが二人で素晴らしいものを見たり、見つけたりして思い出を作っていきたいと思った。
「おかわりもあるでござるよ」
ドロロの楽しげな声が冬の寒さも吹き飛ばす。ジララは空になった皿をドロロへ差し出した。
