ジラドロ
ジララとドロロはいつものように水車小屋でお茶をしていた。空は晴れているとは言い難い薄曇り。十二月の、冬特有の空だった。
あの日、ジララがケロン星を脱してから今日で一年が経った。彗星のように地球に舞い降り人々を脅かせた存在はすっかりおとなしくなり、今こうしてドロロの家でお茶をすすっている。未だ宇宙人街には手配のポスターが貼られ自由に行動できないなか、人目を忍んでドロロのもとを訪れる。その度にドロロは茶を淹れ、丁寧にもてなした。
地球では一年の間に春が来て夏が来て、秋が終わり、冬が来た。
「また寒くなるでござるな」
ドロロはそう呟いて窓の外を見た。つられてジララも目をやった。あの日と同じ曇り空だった。
「冬は苦手でござるか?」
ジララは首を振る。ドロロには金属でできた義手は冷えそうに見えたが、アサシンにとってそのような些細なことは気にならないのだろう。
ジララはドロロを正面から見つめ、胸に手を当てた。ちょうど心臓の位置。そして低い声で言う。
「近頃、胸がざわつく」
ドロロは驚いて前のめりになった。心臓が悪いのではないか、だが指名手配の身で病院になど行けない……あらゆることが脳内を駆け巡った。
「お前を見ていると、胸がざわつく」
その言葉にドロロは体を固まらせた。先程の危惧はどうやら早とちりだったらしい。ドロロは言いにくそうに言葉を選びながらゆっくりと話す。
「それは恐らく……ジララ大尉は拙者のことが、好き……なのではないかと」
その言葉で辺りはしんと静まりかえる。居心地の悪い空気に包まれながらドロロは赤い顔で俯いているとジララの手がドロロの頭に触れた。ドロロは頭を上げてジララを見た。
「あの」
戸惑うドロロをよそにジララはそのまま頭を撫でる。無表情ながらもその手つきからは優しさがにじみ出ていた。
「心を取り戻せた」
ジララがそう言うとドロロは笑った。この一年、ジララはドロロから様々なことを教わった。それは感情にとどまらず地球の文化慣習まで多岐に渡った。そのおかげか、アサシンとして生きてきた彼が忘れてしまったものを少しずつ取り戻せたようだった。アサシンをやめた今、感情は不要なものではなくなった。ドロロはジララの手を取り自らの胸へ添える。
「拙者も同じ気持ちでござる」
冷たい金属の手がドロロの体温に染まっていく。そのままジララへ体を預けて背中へ腕を回した。幸せとはこういうことを言うのだな、と二人は同じことを考えていた。寒い冬も容易に越えられそうなほど熱い気持ち同士が溶け合っていた。
あの日、ジララがケロン星を脱してから今日で一年が経った。彗星のように地球に舞い降り人々を脅かせた存在はすっかりおとなしくなり、今こうしてドロロの家でお茶をすすっている。未だ宇宙人街には手配のポスターが貼られ自由に行動できないなか、人目を忍んでドロロのもとを訪れる。その度にドロロは茶を淹れ、丁寧にもてなした。
地球では一年の間に春が来て夏が来て、秋が終わり、冬が来た。
「また寒くなるでござるな」
ドロロはそう呟いて窓の外を見た。つられてジララも目をやった。あの日と同じ曇り空だった。
「冬は苦手でござるか?」
ジララは首を振る。ドロロには金属でできた義手は冷えそうに見えたが、アサシンにとってそのような些細なことは気にならないのだろう。
ジララはドロロを正面から見つめ、胸に手を当てた。ちょうど心臓の位置。そして低い声で言う。
「近頃、胸がざわつく」
ドロロは驚いて前のめりになった。心臓が悪いのではないか、だが指名手配の身で病院になど行けない……あらゆることが脳内を駆け巡った。
「お前を見ていると、胸がざわつく」
その言葉にドロロは体を固まらせた。先程の危惧はどうやら早とちりだったらしい。ドロロは言いにくそうに言葉を選びながらゆっくりと話す。
「それは恐らく……ジララ大尉は拙者のことが、好き……なのではないかと」
その言葉で辺りはしんと静まりかえる。居心地の悪い空気に包まれながらドロロは赤い顔で俯いているとジララの手がドロロの頭に触れた。ドロロは頭を上げてジララを見た。
「あの」
戸惑うドロロをよそにジララはそのまま頭を撫でる。無表情ながらもその手つきからは優しさがにじみ出ていた。
「心を取り戻せた」
ジララがそう言うとドロロは笑った。この一年、ジララはドロロから様々なことを教わった。それは感情にとどまらず地球の文化慣習まで多岐に渡った。そのおかげか、アサシンとして生きてきた彼が忘れてしまったものを少しずつ取り戻せたようだった。アサシンをやめた今、感情は不要なものではなくなった。ドロロはジララの手を取り自らの胸へ添える。
「拙者も同じ気持ちでござる」
冷たい金属の手がドロロの体温に染まっていく。そのままジララへ体を預けて背中へ腕を回した。幸せとはこういうことを言うのだな、と二人は同じことを考えていた。寒い冬も容易に越えられそうなほど熱い気持ち同士が溶け合っていた。
