ジラドロ
いつものように俺はドロロと昼の間に逢瀬を重ねる。ドロロの住む水車小屋に行き、ゆっくりと二人きりの時間を過ごす。
普段なら囲炉裏を挟んで向かい合って座るのだが、今日のドロロは俺の隣へ自らの円座を持ってきた。そういう気分なのだと言うように照れ臭そうににこにこと笑うドロロを俺は止めなかった。二人で隣に並んで温かい茶を飲んだ。
おもむろにドロロの手が俺の手に触れた時、己の感覚の鈍さを憎いと思った。義手には決して代わることのできない、生身ならではの繊細な感覚。強くなることしか求めず、心など捨てた俺は初めて自分の手が憎く感じられた。いくらケロンの科学力を持ってしてでも義手に神経まで通すことはできない。ドロロの指が遊ぶようにくるくると俺の手のひらをなぞった。そして俺を見るとふふ、と笑った。生身の体でアサシントップにまでのし上がったとは思えない柔和な笑顔。
「拙者、大尉の手が好きでござるよ」
ドロロはそう言って愛おしむように俺の手を撫でた。俺はそんなドロロを黙って見つめていた。
日が傾き始めたのを合図に俺は立ち上がる。娘と鉢合わせすることは避けたい。土間まで歩くと引き戸に手をかけた。すると後ろからか弱い声がした。
「……キスしてください」
俺は自分の耳を疑う。ドロロが甘えた声でせがんできた。その目は恥じらいに潤み、俺の目をじっと見つめていた。俺はドロロの頬に手を添えると軽くキスをする。手を離し、俺は外へ足を進める。空は赤が落ちてきそうに近い。次はいつ会えるだろう。別れたばかりだというのに俺は既に次のことを考えていた。
普段なら囲炉裏を挟んで向かい合って座るのだが、今日のドロロは俺の隣へ自らの円座を持ってきた。そういう気分なのだと言うように照れ臭そうににこにこと笑うドロロを俺は止めなかった。二人で隣に並んで温かい茶を飲んだ。
おもむろにドロロの手が俺の手に触れた時、己の感覚の鈍さを憎いと思った。義手には決して代わることのできない、生身ならではの繊細な感覚。強くなることしか求めず、心など捨てた俺は初めて自分の手が憎く感じられた。いくらケロンの科学力を持ってしてでも義手に神経まで通すことはできない。ドロロの指が遊ぶようにくるくると俺の手のひらをなぞった。そして俺を見るとふふ、と笑った。生身の体でアサシントップにまでのし上がったとは思えない柔和な笑顔。
「拙者、大尉の手が好きでござるよ」
ドロロはそう言って愛おしむように俺の手を撫でた。俺はそんなドロロを黙って見つめていた。
日が傾き始めたのを合図に俺は立ち上がる。娘と鉢合わせすることは避けたい。土間まで歩くと引き戸に手をかけた。すると後ろからか弱い声がした。
「……キスしてください」
俺は自分の耳を疑う。ドロロが甘えた声でせがんできた。その目は恥じらいに潤み、俺の目をじっと見つめていた。俺はドロロの頬に手を添えると軽くキスをする。手を離し、俺は外へ足を進める。空は赤が落ちてきそうに近い。次はいつ会えるだろう。別れたばかりだというのに俺は既に次のことを考えていた。
