ジラドロ
地球には蛍という虫がいるのだと、ジララはドロロから教わった。何でも尻に発光器官を携えていて光る珍しい虫らしい。ジララはアサシンの技でもよく使われる虫という生き物に興味があった。ドロロに夕方から夜にかけて川辺に行くと見られると言われ、二人は歩いて川へ向かった。
赤い空が徐々に暗くなり始めた時間。ドロロによると蛍を見るには丁度いい時間らしい。その間ドロロは農薬の影響で蛍の数が減少した話などをした。ジララはその話には興味がなくほとんど聞き流していたがドロロの熱の入った話し方には少しだけ関心が湧いた。
川に着くと薄暗い中でぼんやりと黄色が光っていた。黒い体は闇に溶け、黄色だけが主張をする。
「あれが蛍でござるよ」
ドロロが光を指差して言う。蛍は何匹も光っていて辺りを照らしているようだった。確かに綺麗だと見とれているとジララはふと足元に何かが触れたことに気付く。そこにはひっくり返って死んだ蛍がいた。黒光りした体が固く冷えて、それがかつて生きていたようには思えなかった。ジララは死を感じて儚さを知った。地球にはそういう考え方があるのだとドロロから教わったことはあったがジララにはどうにも理解できなかった。
「拙者も始めは理解に苦しんだでござる」
ドロロの手に蛍が留まる。暗闇で顔が照らされてその顔は真剣に蛍を見つめていた。
「昔、貧しくて油が買えずに蛍の光で勉強した人もいるのでござるよ」
蛍は手を離れぱたぱたと飛んでいく。
「冬は雪の明かりで勉強したそうでござる」
雪と聞いてジララは冬に見た雪の眩しさを思い出した。一面の白い世界は異次元のように美しく明るかった。
ドロロは顔を上げて蛍を見つめる。蛍は自由気ままに空を飛び回っていた。
「拙者たちには蛍も雪も必要ないでござろう。恵まれていることに感謝でござるな。何より……」
ドロロはジララの手を取る。
「ジララ大尉がここに居られることが一番の幸せでござるよ」
そう言って笑うドロロをジララはじっと見つめた。ジララが地球に来て様々なことをドロロから教わった。四季折々の植物や生き物、空の美しさ……。日々のなかで失くした感情が少しずつ取り戻されていくような気がした。ジララはドロロの手を握り返す。失くしたなら、また得ればいい。ジララは新しい記憶を積み上げて、一つでも美しいと感じることが増えるよう祈った。
赤い空が徐々に暗くなり始めた時間。ドロロによると蛍を見るには丁度いい時間らしい。その間ドロロは農薬の影響で蛍の数が減少した話などをした。ジララはその話には興味がなくほとんど聞き流していたがドロロの熱の入った話し方には少しだけ関心が湧いた。
川に着くと薄暗い中でぼんやりと黄色が光っていた。黒い体は闇に溶け、黄色だけが主張をする。
「あれが蛍でござるよ」
ドロロが光を指差して言う。蛍は何匹も光っていて辺りを照らしているようだった。確かに綺麗だと見とれているとジララはふと足元に何かが触れたことに気付く。そこにはひっくり返って死んだ蛍がいた。黒光りした体が固く冷えて、それがかつて生きていたようには思えなかった。ジララは死を感じて儚さを知った。地球にはそういう考え方があるのだとドロロから教わったことはあったがジララにはどうにも理解できなかった。
「拙者も始めは理解に苦しんだでござる」
ドロロの手に蛍が留まる。暗闇で顔が照らされてその顔は真剣に蛍を見つめていた。
「昔、貧しくて油が買えずに蛍の光で勉強した人もいるのでござるよ」
蛍は手を離れぱたぱたと飛んでいく。
「冬は雪の明かりで勉強したそうでござる」
雪と聞いてジララは冬に見た雪の眩しさを思い出した。一面の白い世界は異次元のように美しく明るかった。
ドロロは顔を上げて蛍を見つめる。蛍は自由気ままに空を飛び回っていた。
「拙者たちには蛍も雪も必要ないでござろう。恵まれていることに感謝でござるな。何より……」
ドロロはジララの手を取る。
「ジララ大尉がここに居られることが一番の幸せでござるよ」
そう言って笑うドロロをジララはじっと見つめた。ジララが地球に来て様々なことをドロロから教わった。四季折々の植物や生き物、空の美しさ……。日々のなかで失くした感情が少しずつ取り戻されていくような気がした。ジララはドロロの手を握り返す。失くしたなら、また得ればいい。ジララは新しい記憶を積み上げて、一つでも美しいと感じることが増えるよう祈った。
